ミトコンドリアを増やすとロードバイクが速くなる理由と効率的なミトコンドリアの増やし方
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目次
ロードバイクとミトコンドリアの深い関係
ロードバイクのエネルギ源はATP
ロードバイクを漕ぐには、エネルギーが必要です。
エネルギーの基になるのがATP(アデノシン三リン酸)です。
ATPからリン酸が切り離されるときに、エネルギーが放出されます。
ATPはロードバイクなどのトレーニングだけではなく、全ての生命活動に必要です。
ATPは貯めることができません。
一日に作られるATPは数十キロにもなります。
ATPは毎日生産され、消費されます。
ミトコンドリアがATPを作る
体内でエネルギー(ATP)を作っているのが、ミトコンドリアです。
ミトコンドリアは、食べ物からエネルギーを取り出す役割があります。
ミトコンドリアについて深く知っても、トレーニング方法が変わるわけではありません。
ロードバイクが速くなったりもしません。
ミトコンドリアの知識があっても、ロードバイクは速くならないよ
しかし、自分の体内でミトコンドリアという不思議な生き物がエネルギーを作り出してくれているということを知ることは、トレーニングに深みを与えてくれます。
ミトコンドリアは不思議な生き物だよ
ミトコンドリアって何?
エネルギーを作るミトコンドリア
ロードバイクトレーニングに必要なエネルギー(ATP)を産み出すのは、ミトコンドリアです。
ミトコンドリアは、細胞内に含まれる小器官です。
1つの細胞内には、300個から400個のミトコンドリアがいます。
人の体重の10%がミトコンドリアです。
体重60kgの人なら6kgがミトコンドリア
全ての生物にミトコンドリア
地球上のほぼ全ての生物にミトコンドリアはいます。
例えばトンボは1秒間に数十回羽を動かすために大量のミトコンドリアがいて、エネルギーを産み出しています。
トンボが羽を高速で動かせるのもミトコンドリアの働きだよ
酸素とグルコース(ブドウ糖)をエネルギー(ATP)と二酸化炭素に変換します。
無酸素でエネルギーを作り出す時は、1分子のグルコースから2分子のATPができます。
ミトコンドリアが酸素を使ってエネルギーを作り出すと1分子のグルコースから38分子のATPができます。
ミトコンドリアのおかげで効率よくエネルギーが作れるよ
グルコースについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクトレーニングの補給食をコンビニで調達!一番大切なのは糖質!
ミトコンドリアは人と別の生物!?
ミトコンドリアは人と共生
ミトコンドリアは、絶えず融合と分裂を繰り返しています。
独自のDNAを持ち、細胞内で別の生物のように振舞っています。
ミトコンドリア独自のDNAは、ミトコンドリアDNAと呼ばれています。
大古の地球で生息していたミトコンドリアが生物の体内に取り込まれて共生し、現在の形になっているという「細胞内共生説」もあります。
自分と違う生き物が体の中にいてエネルギーを作っているって不思議・・・
ミトコンドリアDNAは母親由来
ミトコンドリアのDNAは、母親由来です。
母親の持つミトコンドリアのDNAのみが、子供に引き継がれます。
自分のミトコンドリアDNAは母親由来だよ
ロードバイクでミトコンドリアを増やす方法
ミトコンドリアが増えればVo2maxが上昇する理由
ミトコンドリアは、必要があれば分裂し増殖します。
ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを作る発電所の役割があります。
ミトコンドリアは、体内に取り込まれた酸素の最終到達地点です。
ミトコンドリアの密度が高いほど、効率よくエネルギーを作る事ができます。
ミトコンドリアの密度が高いほどVo2maxが高くなるよ
ロードバイクで強くなるんだね
Vo2maxについてはこちらの記事を参考に
ミトコンドリアの増やし方
ミトコンドリアは、刺激を受けて増殖します。
ミトコンドリアを刺激するのは、運動によるシグナル分子の活性化です。
シグナル分子?
シグナル分子は3種類あります。
- エネルギーを燃やすことによるATP/AMP比の変化
- カルシウムのイオン濃度の変化
- 活性酸素、メカノストレスの増加
3つの刺激を受けてミトコンドリアが増殖するよ
シグナル分子を活性化させる方法
ミトコンドリアを増殖させるためには、シグナル分子を活性化させる必要があります。
短く、きつい運動がシグナル分子を最も活性化させます。
短時間・高強度の運動の後にシグナル分子が活性化されるよ
血中乳酸濃度も、ミトコンドリアの増殖に影響を与えます。
他の要因を同じにして血中乳酸濃度のみを変化させたマウスを使った実験があります。
この実験では、血中乳酸濃度が高い方がミトコンドリアが増殖しました。
人もマウスと同じように、血中乳酸濃度が高い方がミトコンドリアが増殖する可能性があるよ
短時間・高強度のロードバイクトレーニングについてはこちらの記事を参考に
短時間・高強度にこだわる必要はない
短時間・高強度の運動のみが、ミトコンドリアを増殖させるわけではありません。
ジョギングやウォーキングなど低強度・長時間の運動でも、シグナル分子が活性化されミトコンドリアは増殖します。
効率よくミトコンドリアを増殖させるには、短時間・高強度の運動が適しています。
低強度・長時間の運動でもミトコンドリアは増殖するよ
短時間・高強度のトレーニングはVO2MAX向上に有効です。
低強度・長時間のトレーニングは筋肉の毛細血管を発達させ、LT(乳酸作業閾値)を向上させます。
ミトコンドリア増殖による体の変化
血中乳酸濃度の低下
短時間・高強度トレーニングや持久トレーニングで、ミトコンドリアが増えます。
ミトコンドリアが増えると、糖よりも脂肪のエネルギー利用率が高まります。
脂肪のエネルギー利用率が高まる要因は他にも次のことがあります。
- 毛細血管が増え、末端まで酸素が行き渡るようになる
- 脂肪の輸送が容易になる
- アドレナリンの分泌が抑えられ、糖利用が低下する
脂肪は糖よりエネルギーにするのに手間がかかりますが、体内に豊富に蓄えられています。
脂肪と糖についてはこちらの記事を参考に
ミトコンドリアが増えると、より多くの乳酸をエネルギーに変えることができます。
乳酸は疲労原因物質ではなく、エネルギー源であることが分かっています。
乳酸とエネルギーの関係についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】乳酸の出来にくい・溜まりにくい体になれる乳酸閾値上昇トレーニングとは!?
ミトコンドリアが増えると、同じ強度でトレーニングしても乳酸の生成量が減少し、使用量が増えます。
結果として、血中乳酸濃度が下がります。
血中乳酸濃度が下がると、より高い強度で長くペダルを踏むことができるようになります。
速筋の遅筋化
ミトコンドリアを増やすために持久トレーニングの量を増やすと、筋内の毛細血管が増えます。
毛細血管の増加は、遅筋の特徴です。
ミトコンドリアを増やすトレーニングは結果的に速筋を遅筋化させます。
速筋の酸化能力が向上します。
速筋と遅筋についてはこちらの記事を参考に
筋タイプを知ってロードレースに勝つ方法 速筋・遅筋を徹底解説
同じトレーニング強度でも速筋を使う割合が減ります。
結果として、LT(乳酸作業閾値)が上昇します。
LTについてはこちらの記事を参考に
乳酸を知ってロードレースに勝つ方法 LT向上ZWIFTワークアウト
VO2MAXは呼吸循環能力が大きく影響します。
LTは筋肉内の酸化能力が大きく影響します。