寒い冬がロードバイクに及ぼす4つの影響
Contents
目次
ロードバイクは冬も乗るべき?
大切な冬のトレーニング
ロードバイクのシーズオフである冬は、トレーニングに大切な時期です。
冬に有酸素能力を上げることで、来シーズンに大きく飛躍することができます。
冬のベーストレーニングについてはこちらの記事を参考に
冬のロードバイク 低強度・長時間VS高強度・短時間 どちらがベスト?
冬のロードバイクベーストレーニング アプローチ2選 【量を重視:ハイボリュームトレーニング】VS【質を重視:スイートスポットベーストレーニング】
冬は日照時間が短く、気温も低くなります。
トレーニングの障害が多くなります。
しかし、冬にロードバイクでトレーニングするべき低強度、長時間トレーニングは実走でした方が心理的には楽に感じます。
冬のトレーニングについてはこちらの記事を参考に。
冬におススメ!基礎トレZWIFワークアウト5選!!【1時間未満編】
寒さがロードバイクのトレーニングに及ぼす4つの影響
寒いと体はどうなるか
人の体温は、暑さや寒さに関わらず37℃前後に保たれています。
「熱生産」と「熱放散」を体が調整しているためです。
人は無意識のうちに熱生産と熱放散をして体温を保っているよ
夏などの暑い環境では、熱放散が上手くいかずに体温が上昇し熱中症になります。
冬などの寒い環境では、熱生産が間に合わず深部体温が低下する低体温症になります。
寒いと、体表面からの熱放散を防ぐために末梢血管が収縮します。
手足の指が冷たくなるのは、末梢血管が収縮するためです。
寒いと、体がふるえます。
体がふるえることにより、熱を生産します。
ふるえはVO2MAX強度の40%、安静代謝時の5倍の代謝量になります。
ふるえの代謝量は、低強度の運動を凌ぐ量です。
体がふるえると、低強度運動と同じくらいエネルギーを使います。
寒い環境では、最初にふるえで熱生産しようとします。
寒さが長時間続くと、ふるえは止まります。
次は、非ふるえによる熱生産が始まります。
非ふるえによる熱生産とは、褐色脂肪細胞が熱を生産することにより体温を上昇させる仕組みです。
褐色脂肪細胞による熱生産の仕組みは、まだ全てが解明されているわけではありません。
暑さの影響についてはこちらの記事を参考に
寒さによる影響① 寒冷順化
人の体は、秋から冬にかけて低温に順化していきます。
順化は次の手順で進みます。
①慣れ、環境への適応
秋から冬にかけて徐々に気温が下がり、体も低温に慣れていきます。
②非ふるえによる熱生産の亢進脂肪細胞が熱を作るシステムが働きます。
③皮下脂肪の増加
秋から冬にかけては体重が増加しやすくなる場合があります。
冬に順応するための働きと考えられていますが、仕組みは解明されていません。
寒さによる影響② 身体能力の低下
寒冷環境では発揮筋力、筋収縮速度、最大酸素摂取量のいずれも低下します。
低温なほど身体能力は低下するということです。
寒い時に、高い負荷を掛けようとしても難しいです。
体だけでなく、脳にも影響があります。
寒冷環境では、短期記憶や集中力が低下します。
冬に屋外でロードバイクでトレーニングする時は、様々な注意が必要です。
排尿による脱水、血液循環量が減少することによる軽度の凍傷が起きる可能性があります。
冷たく乾燥した空気を吸うことによる気道の炎症、思考力の低下に注意する必要もあります。
寒さによる影響③ 体重が落ちにくくなる
安静時の代謝量は、10℃の時が一番大きくなります。
体温を上昇させるために、体内で熱生産するからです。
気温と運動強度を変えて代謝量を測定すると、低強度では低温の方が代謝量が大きくなります。
中強度では逆に小さくなります。
気温が高くなるほど心拍数は高くなります。
同じ代謝量でも、気温が高くなるほど心拍数は高くなります。
寒いと、同じ運動強度でも心拍数は上がりにくくなります。
気温が高いほど、心拍数が上がるので負荷が大きくなります。
低強度の運動では、25℃以上で体重減少量が増加します。
中強度の運動では、15℃以上で体重減少量が増加します。
同じ運動をしても、冬の方が体重が落ちにくくなります。
体感温度は、冬の方が夏よりも「暑い」と感じやすくなります。
ダイエットについてはこちらの記事を参考に
寒さによる影響④ ホルモンへの影響
低温はマイオカインに影響します。
マイオカインってなに?
人がロードバイクでトレーニングすると、筋肉量が増えます。
筋肉量の増加は、基礎代謝を増やします。
人の身体は、過剰な筋肉を避けようとします。
このため、トレーニングすると筋肉が過剰に付くのを防ぐミオスタチンというホルモンが分泌されます。
筋肉が増えすぎるとエネルギーを消費するので、生物的には避けなければならないことだからです。
近年になり、ミオスタチン以外にも筋肉が作り出す物質が見つかりました。
それらの総称をマイオカインと呼びます。
ミオスタチンが欠乏した牛は、筋肉が増殖し続けてしまいます。
ボディービルダーの中には、ミオスタチン阻害剤を飲んで筋肉を増やす選手もいます。
成人男性6名をふるえが生じる限界である15℃で運動させたところ、24℃の環境に比べてインスリン濃度が低いことがわかりました。
インスリンは、ミオスタチン濃度を増加させる作用があります。
低温で運動することにより、筋肉の増殖を防ぐホルモンであるミオスタチンの分泌を防ぐことが分かりました。
結論 寒い時にロードバイクでトレーニングすると・・・
寒い時にロードバイクでトレーニングすると心拍が上がりにくくなります。
同じ運動強度でも心拍数が低いので体への負荷が下がります。
発揮筋力、筋収縮速度、最大酸素摂取量のいずれも低下します。
つまり、寒い時は身体能力が低くなります。
寒い時に高強度でトレーニングするメリットは少ないね!
寒い方が体が発熱しようとするので基礎代謝は高くなりますが体重は減りにくくなります。
排尿による脱水、血液循環量が減少することによる軽度の凍傷、冷たく乾燥した空気を吸うことによる気道の炎症、思考力の低下に注意する必要があります。
寒い時にトレーニングするメリットは少ないよ!
集中力や運動能力は落ちるので低強度でのトレーニングがおススメだね!
ただし、寒い時にロードバイクでトレーニングすると筋肥大を阻害するミオスタチンが分泌されにくくなります。
これはメリットかもしれないけど大きなメリットではないね・・・