ロードバイク Vo2maxが上がらない5つの要因
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ロードバイクでVo2maxが上がらない5つの要因
Vo2max上昇を妨げる要因は5つ考えられるよ
VO2MAXが高い≠レースに勝てる
ロードバイクなどの持久系レースで、Vo2maxは大切な能力です。
Vo2maxとは、筋肉が取り込める酸素量のことです。
最大酸素摂取量と呼ばれます。
持久力を示す指標となります。
Vo2maxが高い人は、ロードバイクでより高いパワーを長く出すことができます。
Vo2maxが高いと、より強い力で長く運動できるんだね
サイクルロードレースは戦術も大切です。
単純に「Vo2maxが高い=レースで勝利する」とは言い切れません。
Vo2maxが高い選手の方が有利にレースを走れるのは事実です。
Vo2maxについてはこちらの記事を参考に
Vo2maxの基準値
Vo2maxを上げるためには、3分間から5分間のインターバルトレーニングが有効です。
Vo2maxインターバルトレーニングは、疲労度が高いトレーニングです。
苦痛ですが、確実に効果の実感できるトレーニングです。
Vo2maxは、トレーニングにより誰でも上昇します。
しかし、永遠に上がり続けるわけではありません。
一般男性の平均は40ml/kg/分程度です。
トレーニング次第では50ml/kg/分から60ml/kg/分まで上がる人もいます。
オリンピックレベルでは70ml/kg/分から80ml/kg/分を超える選手もいます。
Vo2maxは一般男性で40ml/kg/分。
オリンピック選手は80ml/kg/分を超えるよ
Vo2max上昇を妨げる5つの要因
Vo2max上昇を妨げる要因は5つ考えられます。
- 肺の酸素取り込み能力
- 心臓の血液拍出量
- 毛細血管密度
- 酸素運搬能力
- ミトコンドリアの密度
順番に説明していくよ
①肺の酸素取り込み能力
口から吸いこまれた酸素が最初に体内に入るのが肺だよ
酸素は肺で体内に取り込まれます。
肺にある肺胞の毛細血管から、酸素は血液に溶け込みます。
肺の酸素取り込み能力が高いひとほどVo2maxが高いの?
Vo2maxが60ml/kg/分未満の場合は肺の酸素取り込み能力はVo2maxの値に影響しません。
アマチュアレベルのVo2maxは、40ml/kg/分程度です。
Vo2maxが70ml/kg/分以上のエリート選手の場合は、肺の酸素取り込み能力が高いほどVo2maxの値が高くなります。
アマチュアレベルでは肺の酸素取り込み能力はVo2maxの値に影響しないよ
エリート選手では、肺の酸素取り込み能力が高い選手ほどVo2maxが高いんだね
②心臓の血液拍出量
心臓の血液拍出量とは、1分間に心臓から送り出される血液の量のことです。
1回拍出量(mL)×心拍数(回/分)で求められます。
一般的な成人の1回拍出量は約70mLです。
脈拍が70回/分の場合は70(ml)×70(回)=4900(ml)となります。
約5リットルの血液が、1分間に心臓から送り出されていることになります。
持久力の高い選手は、安静時心拍数が低くなります。
1回拍出量が多いので、頻繁に動く必要がなくなるからです。
シドニーオリンピック金メダリストの高橋尚子選手の安静時の脈拍数は33回から36回と言われています。
1回あたりの拍出量が多いので心拍数は少なくなるよ
トレーニングで鍛えられるのは拍出量です。
最大心拍数は、トレーニングによって変化しないと言われています。
最大心拍数は変化しないけど拍出量は増やせるので心臓の血液拍出量は増加するよ
トレーニングを始めた頃は心臓の血液拍出量が増加することによりVo2maxが高くなります。
トレーニング初期で伸びるのは心臓の血液拍出量だよ
③毛細血管密度
持久系トレーニングをすると毛細血管が発達します。
毛細血管が発達すると良いことがあるの?
トレーニングにより毛細血管が太くなります。
断面積や周囲長が増加することで酸素供給のための拡散面積が増えます。
毛細血管が太くなることで血液に取り込む酸素の量が増えるよ
トレーニングにより毛細血管密度も増加します。
毛細血管が太くなり、密度が増すことで血液に取り込む酸素の量が増えます。
末端への酸素運搬能力も増加します。
VO2MAXトレーニングは3分から5分のインターバルトレーニングが有効です。
インタバルトレーニングに加えて、毛細血管密度を増加させるための持久系トレーニングが必要です。
④酸素運搬能力
酸素運搬能力は肺の酸素取り込み能力、心臓の血液拍出量、毛細血管密度に加えてヘモグロビンが関与します。
複合的な要因が合わさって酸素運搬能力が上昇します。
ヘモグロビンって?
ヘモグロビンは酸素を運搬するための赤色色素タンパク質です。
血液が赤いのはヘモグロビンが赤いからです。
鉄分が不足すると、ヘモグロビン濃度が下がります。
脱水状態になると、一時的にヘモグロビン濃度が高くなります。
ヘモグロビン値は鉄分の多い食事によって上昇します。
プロロードレースで以前行われていた血液ドーピングは、ヘモグロビン値を上げることが目的でした。
ヘモグロビンが含まれる赤血球を増やすことによりVo2maxが上昇します。
血液量が900mlから1300ml増加するとVo2maxが4%から9%増加すると言われています。
プロの世界で4%から9%の増加は別人になったくらいの違いがあるよ!
アームストロング氏はEPOと血液ドーピングを併用していました。
酸素運搬能力を増やすことは、パフォーマンスに直結するということが言えます。
ドーピングについてはこちらの記事を参考に
【サイクルロードレースの次世代ドーピング】遺伝子ドーピングとは!?
⑤ミトコンドリアの密度
ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生み出します。
人の運動にミトコンドリアは大きく関わっています。
ミトコンドリアはとても不思議な存在です。
人とは別の独自のDNAを持っています。
細胞内で独立した細菌のように振舞っています。
ミトコンドリアは細胞内に生息する別の生き物と言えるよ
ミトコンドリアの祖先は、原始地球の細菌の一種と言われています。
人を含む多くの生物は、細胞内でミトコンドリアを飼うことでエネルギーを産み出しています。
ミトコンドリアのDNAは母親由来です。
父親のミトコンドリアDNAは子供に引く継がれません。
ミトコンドリアとVo2maxが何で関係あるの?
ミトコンドリアがエネルギーであるATPを作るには、酸素が必要です。
グルコースと酸素を使ってエネルギー(ATP)と二酸化炭素を作ります。
ミトコンドリアの量が多い選手はより多くのエネルギーを作る事ができます。
ミトコンドリアはトレーニングにより増加することが分かっています。
ミトコンドリアについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクトレーニングでVo2maxが上がらない5つの要因 まとめ
- 肺の酸素取り込み能力はアマチュアレベルではVo2maxの値に影響しない
- トレーニングを始めた頃は心臓の血液拍出量が増加することによりVo2maxが高くなる
- 毛細血管が太くなり、密度が増すことで血液に取り込む酸素の量が増える
- 酸素運搬能力は肺の酸素取り込み能力、心臓の血液拍出量、毛細血管密度に加えてヘモグロビンが関与する
- ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを生み出す
- ミトコンドリアの量が多い選手はより多くのエネルギーを作る事ができる