Vo2maxが高ければロードレースに勝てるのか!?
「Vo2maxが高い=ロードレースに勝つ」とは言えないよ
Vo2maxって何?
Vo2maxは1分間に取り込める最大酸素量
簡単に言うと、有酸素運動の限界値のことだよ
Contents
目次
Vo2maxが高ければロードレースに勝てるのか!?
最大酸素摂取量Vo2maxとは
Vo2maxとは、体内に取り込めることができる酸素の1分間あたりの最大量のことです。
Vo2maxは運動能力の指標としてロードバイクトレーニングで使われます。
Vo2maxについてはこちらの記事も参考に。
パワーを落とさずに体重を落とせるのか?格闘技系論文を元に検証
Vo2maxは、陸上競技や水泳でも選手の能力を測る指標に使われているよ
Vo2maxの高い選手は有酸素能力が高く、持久系競技ではレースを有利に戦えます。
Vo2maxが高い人ほど、持久力が高いからロードレースで勝てる気がするけど・・・
陸上競技・水泳のVo2max
今回は論文を元に、Vo2maxと競技成績の関係について考えてみます。
プロロードレーサーのVo2maxの値とレース成績の相関関係を調べたデータはありませんが、陸上、水泳では調査されています。
マラソンでのVo2maxとタイムの関係は下の表のとおりです。
一般男性 | 40㎖/kg/分 |
サブフォー(フルマラソン4時間):初級者 | 50㎖/kg/分 |
サブスリー(フルマラソン3時間):中級者 | 60㎖/kg/分 |
トップ選手 | 70~80㎖/kg/分 |
高校生陸上選手の場合
最初の論文は「持久系競技成績と換気性閾値、Vo2Maxおよび短・中・長距離走力の相互関係」です。
陸上競技や水泳競技でも、Vo2maxは運動能力を表す指標として使われます。
競技能力が低いレベルでは、Vo2maxと競技成績は相関関係があります。
アマチュアレベルでは「Vo2maxが高い=レースに勝つ」と言えます。
競技能力の高い国内トップレベルになると、Vo2maxと競技成績は関係しません。
陸上競技においては、競技レベルが低いとVo2maxの高い選手が勝つよ
トップレベルでは、タイムとVo2maxの値は必ずしも関係しないよ
この論文では、県内トップクラスの高校生18名を対象に調べました。
100mから1万メートルまでのタイムとVo2maxとの関係を調べました。
調査対象者は長崎県内の高校生トップ選手だね
結果は県内トップレベルの有酸素能力のある高校生において、タイムとVo2maxに相関関係はないことが分かりました。
タイムが良い=Vo2maxが高いとは言えなかったんだね
また、800メートルや1000メートルのタイムは1500メートル以上のタイムと相関関係があることが分かりました。
1万メートルのタイムが良い選手は3000メートルや5000メートルのタイムも良いことが分かりました。
1500メートルが速い選手は800メートルのタイムも良いし、1万メートルが速い選手は3000メートルのタイムも速いってことだね
1500mのタイムは4分30秒前後なので、ロードバイクにおけるVo2maxを算出する基準タイムです。
これを自転車のトラック競技に当てはめると、4km個人追い抜きのタイムが良い選手は1kmのタイムも良い、ということが言えそうです。
水泳選手の場合
「大学水泳選手の学年、専門種目、専門距離からみた酸素摂取量の違いについて」
水泳選手の種目別有酸素性エネルギーを表したものが下の表になります。
種目 | 有酸素能力の占める割合 |
50m | 25%から30% |
100m | 50% |
200m | 65%から70% |
400m | 80% |
800m | 90% |
水泳の50mは自転車トラック競技の200mフライング種目に匹敵するスプリント種目で、800mは長距離種目になるよ
距離が長いほど、有酸素能力が必要になります。
性別、年齢別、競技種目別にVo2maxを調査しました。
結果は、女性より男性の方がVo2maxが高く、年齢による差はありませんでした。
男性の方がVo2maxは高いけど、年齢は関係なかったんだね
競技種目別ではクロールが最もVo2maxが高く、平泳ぎが最も低かったです。
クロールで測定したので、平泳ぎを専門にしている選手はVo2maxの値が低く出た可能性があるね
日本水泳連盟は競泳日本代表選手のVo2maxを測定していますが、公表していません。
陸上競技トップ選手の場合
「U20オリンピック育成競技者長距離選手体力測定結果」
近年、高校生陸上競技者のレベルが向上しており、シニア競技者と遜色ないタイムを出しています。
陸上競技における高校生競技者と、シニア競技者のVo2maxの値を調べました。
高校生は大学生に比べてタイムは遅いけど、Vo2maxの値はどうなのかな?
調査対象者はU20オリンピック育成競技者長距離合宿に参加した高校生競技者男子3名女子3名です。
全員が全国大会入賞レベルです。
調査対象者は全国トップレベルの高校生男女6名だよ
結果は、全員がシニア競技者と変わらないVo2max値を示しました。
Vo2maxは変わらないのに、シニア競技者と比較してタイムは遅かったです。
タイムが遅い理由は、無酸素能力やスプリント能力の違いではないかと推測されます。
「Vo2maxが高い=タイムが良い」ではないってことだね
結論:競技レベルが上がるほど、Vo2maxが高い=勝てるとは言えない
なぜVo2maxが高くてもレースに勝てないのか
競技レベルが低ければ「Vo2maxが高い=レースに勝つ」と言えます。
トップレベルでは「Vo2maxが高い=レースに勝つ」とは言えません。
近年はマラソンでもスプリント能力や駆け引きが求められています。
筋持久力だけでなく、選手の経験や戦略が必要になります。
ロードレースにおいても同じことが言えます。
ロードレースは駆け引きの連続です。
Vo2maxが高い選手は有酸素能力が高いので、レースを有利に進めることができます。
しかし、経験や戦略に長けていないと勝てません。
ロードレースで勝利するためには、Vo2max向上の他に、無酸素能力や戦略を磨く必要があると言えます。
Vo2maxが高い方が、ロードバイクのレースを有利に進められるよ
でも、それだけではロードバイクのレースで勝てないことを論文は示しているね