ロードバイクの補給に糖質が絶対必要な理由

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ロードバイクで飲むドリンクは何がベスト?
ロードバイクで長時間トレーニングする時に飲むドリンクは人によって様々です。

ポカリスエットなどのスポーツ飲料を薄めて飲む人もいます。
BCAAやEAAを水に溶かして飲む人もいます。
BCAAについてはこちらの記事を参考に。
ロードレーサーにとってのBCAAとEAA 必要なのはどっち?
水を飲む人もいます。
ドリンクを飲む理由は脱水の防止の他に、エネルギー補給があります。

トレーニング中には糖質補給
ロードバイクに長時間乗る場合に、最も気を付けるべきは糖質補給です。
ロードバイクトレーニングの糖質補給についてはこちらの記事を参考に。
ロードバイクの糖質補給量=酸化速度が最大かつ胃腸の不快感がない量

脱水を防ぐナトリウムも大切だけど、エネルギー源になる糖質も同じくらい大切
トレーニング中のエネルギー源は筋グリコーゲンと脂肪です。
中高強度のトレーニングでは筋グリコーゲンが主なエネルギー源となります。
筋グリコーゲンの基は糖質です。

糖質についてはこちらの記事を参考に。
トレーニングに消費される筋グリコーゲン
トレーニング強度が高いほど筋グリコーゲンは消費される
下のグラフはトレーニング強度によって筋グリコーゲンの濃度がどれくらい変化するかを表したものです。

筋グリコーゲンとは、筋肉に蓄えられる糖の種類です。
筋グリコーゲンは、筋収縮のためのエネルギー源になります。
体内のグリコーゲンの8割が筋グリコーゲンとして蓄えられています。
筋グリコーゲンは、トレーニングにとても重要な役割を果たします。
トレーニングすると筋グリコーゲンが分解されてエネルギーになります。

運動強度が高いほど、急速に筋グリコーゲンが分解されていくよ
運動強度が低くても、筋グリコーゲンは徐々に減っていくね
筋グリコーゲンが分解されると、乳酸が発生します。
発生した乳酸の一部は細胞内で再びグリコーゲンに再合成されます。

トレーニング強度が高い→再合成が間に合わない
運動強度が高いと、筋グリコーゲンの再合成が間に合わなくなります。
体内に乳酸が蓄積していきます。
グリコーゲンが再合成されなくなり、筋グリコーゲンが枯渇してしまいます。
運動強度が低いと、筋グリコーゲンが減少するにつれて脂肪が使われるようになります。
しかし、グラフを見れば分かるように、運動強度が低くても徐々に筋グリコーゲンは減っていきます。

トレーニング強度が低くても筋グリコーゲンは減少する

トレーニングが90分以上の長時間に及ぶ場合は血糖値や筋グリコーゲンを維持するために糖質の補給が必要です。

運動強度が低くても時間が長いと糖質はなくなっちゃうってことか
分解と合成が同じなら人は永遠に運動できることになるものね

トレーニング中の糖質摂取はトレーニングの質を上げるだけではなく、リカバリーにも有効です。

トレーニングが終わった後も糖質をとろうね
糖質の必要摂取量

では、トレーニング中はどれくらい糖質を摂ればいいのでしょうか。
「運動中のエネルギー摂取量の違いが長時間・間欠的運動パフォーマンスおよび筋グリコーゲンに及ぼす影響」
を参考に考えてみましょう。
実験の概要
この実験の被験者は、日常的に運動をしている若年男性7名です。
この7名を3グループに分けます。
グループ1:運動中に水のみを摂取
グループ2:運動中に消費エネルギーの約50%の糖質を摂取する
グループ3:運動中に消費エネルギーの約90%の糖質を摂取する
摂取のタイミングは運動の12分前に2/3を、残りを運動中摂りました。
そして長時間(40分間)のインターバルトレーニングを自転車エルゴメーターで行いました。

糖質をたくさんとる人と少しの人、全くとらない人の3グループに分けて運動させてみたんだね
測定項目
(1)運動パフォーマンス
(2)呼気ガス・心拍数
(3)血糖値・血中乳酸濃度
(4)遊離脂肪酸・各種ホルモン
(5)筋グリコーゲン
結果
(1)運動パフォーマンスには影響しない
(2)呼気ガス・心拍数には影響しない
(3)血糖値・血中乳酸濃度は途中までグループ3が高い値で次いでグループ2だったが最後は同じになった。血中乳酸濃度は影響しなかった。
(4)遊離脂肪酸・各種ホルモンには影響しない
(5)筋グリコーゲンはグループ1は最も低下した。グループ2、グループ3は低下するものの、グループ1より緩やかだった。

糖質を摂った方が筋グリコーゲンがあまり低下しないってことか
そして40分の運動では糖質をとってもとらなくてもパフォーマンスには影響しなかったよ

実験結果から分かったこと
・トレーニング中の糖質摂取は運動パフォーマンスには影響しない
・トレーニング中に糖質を摂取した方が筋グリコーゲンの低下は抑制される
・糖質摂取の量が筋グリコーゲンの低下に及ぼす影響は小さい

でも、2時間のトレーニングだとどうなるのかな?
この論文では40分間という比較的(サイクリストにとっては)短い時間でしたが、もっと長時間になればどうなるでしょうか?

長時間のトレーニングでの実験
Coyleらが1986年に行った実験を紹介します。
この実験では7名の被験者に自転車トレーニング中の20分、60分、90分、120分で糖質を摂取させました。

この実験では糖質を補給するグループと補給しないグループに分けて120分以上トレーニングしてみたよ
限界までトレーニングさせた結果、糖質を補給した場合は血中グリコーゲン濃度は低下しませんでした。
運動継続時間は約1.2倍になりました。
糖質を摂取しないグループは60分を過ぎると血中グルコース濃度が低下し始め、130分時点で2.9mmolと低い値を示し運動が継続できなくなりました。

糖質を補給しないグループは130分後にハンガーノック状態になってしまったね
糖質を補給したグループは血中グルコース濃度が下がらずに、運動を続けられたのか

4時間を超える実験
Hargreavesらの実験では50%VO2MAXという比較的低強度で、4時間の運動を被験者にさせました。
1時間ごとにグルコースを摂取させたところ、血中グルコース濃度は低下しませんでした。
グルコースを摂取しないグループは、血中グルコース濃度が徐々に低下していきました。
糖質を摂取したグループは摂取しない場合に比べて筋グリコーゲン濃度が節約できることも分かりました。
運動継続時間も長くなりました。

1時間ごとの糖質補給は血中グルコース濃度の維持だけではなくて、筋グリコーゲンの節約にも役立つんだね
まとめ
紹介した3つの論文の結果によると次のことが考えられます。
- 40分間程度のトレーニングで糖質を摂取すると血中グリコーゲン濃度の低下は防げるが、パフォーマンスには影響しない。
- 1時間を超えるトレーニングでは糖質を摂取した方が血中グリコーゲン濃度の低下が防げて、筋グリコーゲンの節約ができる。
- 1時間を超えるトレーニングでは糖質を摂取した方がパフォーマンスの低下が防げ、長時間運動できる。
- 40分間程度のトレーニングでは摂取する糖質の量は血中グリコーゲン濃度やパフォーマンスに影響しない。
- 1時間を超えるトレーニングでは体重1kgあたり0.5gから1gの糖質を摂取すると良い結果がでた。
いかがでしたか。

今回の結果をまとめると、1時間を超えるトレーニングをする時は糖質を摂取した方がパフォーマンスが上がる。
そして摂取する糖質は体重1kgあたり0.5gから1gが良いってことだね!
