脱水を防げ!ロードバイクの水分補給を徹底解説

Contents
脱水のメカニズムを理解して水分補給
ロードバイクで脱水になるメカニズムを理解し、水分補給することが大切です。
体に起こる変化を理解することでより良い水分補給ができます。
水分補給に電解質が必要なことは常識になりつつあります。
電解質が必要な理由や補給量、糖質の必要性を理解すると、自分に合った水分補給ができるようになります。
必要な水分補給量や種類は人によって大きく異なります。
同じ人でも時期やトレーニング量、体調により違いがあります。
本記事は脱水について知ることで、自分に合った水分補給を目指すことが目的です。
暑熱順化についてはこちらの記事を参考に

人は水で出来ている
体内の水分量が個人差が大きい
日常的にロードバイクトレーニングしている人は体の50%から70%が水です。
体内の水分量は年齢、性別、筋量により大きく異なります。

体内の水分量は個人差がとても大きいよ!
筋量の65%から75%、脂肪量の50%が水です。
成人は一日2.5リットルもの水を飲む必要があります。

毎日2リットルのペットボトル1本以上!
そんなに飲めないよ!!
暑い環境でトレーニングする人は5リットルから10リットルが必要と言われています。
しかし、多くの人が必要な水を摂れていないのではないでしょうか。

ほとんどの人が必要な水分を摂れていないよ!
普段から水のペットボトルを持ち歩こう!!
水の役割
移動手段
水は栄養素や老廃物の移動手段です。
水は電解質を溶解し、体の構造や形を造るものです。

栄養を運んだりする他に、体の形も造ってるんだね!
体温維持
水は熱を吸収する性質があります。
水は体温の維持に大きく貢献しています。

水は温まりにくく、冷めにくい性質があるよ!
だから体温を一定に保つのに必要なんだね!

体内の水分が少なくなると血漿量が減ります。

血漿量が減ると心拍数が増加します。

血漿ってなに?
血漿は血液の液体成分のこと。
血漿が減ると血がどろどろになるよ!

水分の減少が多過ぎると心拍数の増加だけでは対応できなくなります。
心拍数増加の次に起きるのが心臓の拍出量の減少です。

脱水になると血漿が減るので、体の血液量が減ってしまうよ!
脱水になると最大心拍出量が減少します。
1%の脱水で心拍数は10拍上昇します。

少ない血液を回さないといけないから心拍数が上がるんだね!
心拍数が上がるので疲れやすくなるよ!

脱水で体に起きる変化

- 血液粘性の増加
- 皮膚表面の熱変換効率の悪化
- 排泄機能の低下
- 活動筋の不活性化
- 心臓ポンプ機能の低下
- 血漿量の減少
- 動脈圧の減少
- 筋肉と皮膚の血流量の減少
- 心拍数の増加
脱水になると血液成分が減少するので筋肉に十分な酸素を送れなくなります。
心臓は少ない血液を無理に送ろうとします。
心拍数は上昇するのに拍出量は減少します。
心拍数は高いのに酸素が送れず、疲労感が増します。

内蔵に与える悪影響

脱水は内蔵にも悪影響があります。
脱水になると血漿量が減ります。
血漿量が減ると内蔵血漿量が減ります。
内蔵血漿量が減ると消化器損傷のリスクが増大します。

血液の量が減ることで内蔵にもダメージを与えるよ
有酸素能力が低下
脱水は有酸素能力にも悪影響があります。
水分損失が2%で有酸素能力が20%減ったとする実験があります。
別の実験では自転車競技者が1.8%の脱水になるとVo2max90%強度で維持できる時間が32.8%短くなりました。
脱水になるとロードレースはかなり不利になります。
適正に水分補給している選手に勝てなくなります。
トレーニングの質も保てなくなります。

脱水になるとレースで勝てないね・・・
レースが暑く、長時間になるほど影響は大きいよ!


スプリント力への影響は小さい
脱水は短時間の無酸素運動にはあまり影響しません。
脱水により、スプリント力はあまり低下しません。

瞬発的なパワーに影響は少ないんだね
ただし、判断能力の低下や回復の遅れといった影響はあるよ

脱水は、瞬発系トレーニングからのリカバリーには影響があります。
脱水の判定方法

自分が脱水かどうか判定する方法があるよ!
毎回のトレーニングで自分が脱水状態かどうか判定することが大切です。
毎回判定することで必要な水分補給量が分かるようになります。
暑い時期のトレーニングは小まめに脱水判定をしましょう。
気温、湿度、時間、体調、トレーニング量など脱水に与える要素は様々です。
同じ条件はありません。
脱水判定を繰り返すことで自分に必要な水分補給量が分かります。

トレーニングの度に脱水状態を判定することで自分の水分状態が分かるようになるよ
水分損失量の判定

脱水は発汗により起こります。
体重の0.5%の脱水なら悪影響はありません。
しかし、通常のトレーニングをすると0.5%以上の脱水にすぐになります。

トレーニングすれば0.5%の水分はすぐに失うね
水分損失が水分補給を超えた状態が脱水です。
自分が脱水状態かは体重で判断することができます。
運動前の体重ー運動後の体重=水分損失量(ml)
水分損失量÷運動前の体重×100=脱水率
(例)
体重60kgの人がトレーニング後に58kgになりました。
60kgー58kg=2(ml)
2÷60×100=3.3%(脱水率)

脱水率が体に与える影響は下の表だよ
脱水率 | 体への影響 | 体重60kgの場合 |
2% | のどの渇き | ー1kg |
3% | 強いのどの渇き・食欲不振 | ー1.5kg |
4% | 皮膚の紅潮・イライラ・体温上昇 | ー2.5kg |
5% | 頭痛 | ー3kg |
8%から10% | 体の痙攣 | ー5kgからー6kg |
20%以上 | 無尿・死亡 | ー12kg |

体重60kgの場合はトレーニング後の体重が58.5kg以上に抑えた方が良いんだね!
トレーニング前と後で体重が変わらないのが理想だけど実際は難しいね!

体重は衣服を脱いで体が乾いた状態で測ります。
排尿をした後で測ります。

体重はトイレを済ませてウェアを脱いで汗を拭いてから測ろう!

体重減少を極力少なくする
トレーニングする前の体重と後の体重を同じにすることはほぼ不可能です。
同じ人が同じ内容のトレーニングをしても体重減少は毎回違います。
トレーニング前後の体重減少量を少なくする水分補給が理想です。
トレーニングの度に水分損失を測定することで必要な補給量が分かります。

小まめに水分損失を測ることで自分に適した水分摂取量が分かるようになるよ!
脱水を防ぐ電解質補給の必要性と方法

汗と一緒に電解質もなくなるんだよね!
水だけじゃだめってよく聞くよ!
発汗による電解質の損失
発汗により電解質も流出します。
発汗により失われる電解質の大部分がナトリウムや塩化物です。
ナトリウムや塩化物は塩の成分です。
ナトリウムや塩化物が失われると酸素運搬能力や神経伝達能力に影響があります。
血圧低下、立ち眩み、倦怠感、精神不安定、眠気、脱力感などさまざまな脱水症状が現れるようになります。
発汗により、カリウムイオンやマグネシウムイオンは、あまり失われません。

汗でなくなる電解質のほとんどが、ナトリウムや塩化物
水のみを与えて長時間運動させると25%の低ナトリウム状態になりました。

水だけ飲んでも低ナトリウムになるんだね
長時間トレーニングするには水とナトリウムを補給する必要があります。
ナトリウム錠剤は不快感を招く
ナトリウム錠剤は腸の内部で水を分泌させる作用があります。
胃腸に不快感が生じることもあるため、適しません。

ナトリウムを錠剤で摂るのは腸の内部で水が分泌し、胃腸に不快感が出るのでおススメできないよ!
電解質と糖質を同時補給

ナトリウムと糖質を同時に摂取すると吸収が促進されます。
糖質の中でも単糖類(グルコース)は水分吸収の増大とナトリウムの輸送に貢献する作用があります。

ナトリウムと単糖類(グルコース)を同時に摂るとより効果的だよ
グルコースはブドウ糖のことだね

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グルコースを摂るメリットは他にもあるよ!
下痢を予防する作用もあります。
グルコースは高濃度すぎると、水の吸収能力が落ちます。
4%から7%が適量です。

グルコースの量には適量があるんだね
水だけの補給は無意味
長時間のトレーニングで、水だけを補給すると、尿量が増えるだけで水分状態は改善されません。
ナトリウムを含まない水分摂取は、水分補給の意味をなしません。

水だけを飲んでも尿が増えるだけで水分状態は良くならないよ!
補給食で脱水予防
食べ物から電解質を補給することもできます。
レモンやバナナはカリウムを豊富に含んでいます。
オレンジジュースやトマトジュースを飲むことで3リットルの発汗量に含まれるカリウム、カルシウム、マグネシウムを補給できます。


レモンやバナナ、オレンジジュースやトマトジュースも良いんだね!
電解質の必要補給量は個人差が大きい

電解質はどれくらい摂れば良いの?
電解質の損失量は個人差がとても大きいので一概には言えないよ!

電解質の損失量は個人差があります。
同じ人でも気温や季節により異なります。
暑熱順化しているかも大きく影響します。
暑熱順化についてはこちらの記事を参考に
トレーニング後の体重をこまめに測定して今の自分に適した水分摂取量を把握することが大切です。
トレーニング翌日の疲労感によって、水分補給が適正だったか判断できます。

水分摂取量の適量は気温や季節、暑熱順化によって絶えず変化するよ!
ポカリスエットに含まれる電解質・糖質
ポカリスエットがアクエリアスより向いている理由

水分補給にはポカリスエットが適しています。
ポカリスエットは電解質に加えて糖質も多く含まれています。
電解質と糖質を同時に補給することで効率よく吸収できます。
炭水化物 | 6.2g |
食塩 | 0.12g |
ナトリウム | 47mg |
カリウム | 20mg |
カルシウム | 2mg |
マグネシウム | 0.6mg |

ポカリスエットはナトリウムに加えて糖質も含まれているので水分補給に最も適しているよ!
アクエリアスじゃダメなの?


アクエリアスはポカリスエットに比べて糖質の量が少ないよ!
脱水予防という観点からはポカリスエットの方が良いね!
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アイソトニック飲料ORハイポトニック飲料
アイソトニック(等張性)飲料とは体に含まれる水分と電解質濃度が同じ飲料のことです。
ハイポトニック(低張性)飲料とは体に含まれる水分よりも電解質濃度が低い飲料のことです。

どっちが良いの?
「電解質を補給する」という観点からならアイソトニック飲料飲料を選ぶべきだよ!

トレーニング時には大量の汗をかくので電解質の損失が大きいです。
極端な低張性飲料では失われた電解質を補給することができません。

「ハイポトニック飲料は薄い」とイメージすれば良いね!
電解質を補給するという観点からはアイソトニック飲料が適しています。

ポカリスエットはアイソトニック飲料だよ!
血漿量を適切な浸透圧に保つために必要な電解質の濃度は下の表の通りです。
ナトリウム | 50mg/100ml |
塩化物 | 70mg/100ml |
カリウム | 10mg~20mg/100ml |
トレーニング前の水分過剰摂取は無意味

トレーニング前に水分をたくさん飲めば脱水になりにくくなるの?
トレーニング前に水分をいっぱいとるのはあまり意味がないよ!

トレーニング前に水分を過剰摂取すると起きる事
トレーニング前に水分を過剰に摂取することは無意味です。
体内に貯蔵できる水分量は多くありません。
水分を過剰摂取しても尿量が増えるだけです。

トイレが近くなるだけ!
トレーニング中に少量をこまめに摂ることが有効です。

トレーニング中にこまめに飲むことが大切なんだね!
水分補給の最適温度
最適は5℃
5℃、15℃、25℃のドリンクを摂取したところ、5℃が最も吸収が良かった実験結果があります。
トレーニングの30分前に体重1kgあたり7gのクラッシュアイスを摂取しました。
摂取しない場合と比べて15分後までの発汗量が少なくなりました。
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冷たい飲料は深部体温の上昇を抑えます。
無駄な発汗を防ぐことが出来ます。

冷たい飲み物は体温上昇を抑えるので無駄な汗が減るよ!
最大パワーの65%の運動を4℃のドリンクと37℃のドリンクを摂取した場合で比べました。
結果は4℃のドリンクの方が長く運動することができました。

冷たい飲み物の方がパフォーマンスが上がるんだね!
リカバリードリンクに電解質
回復に必要な電解質
トレーニング後は1時間以内に損失水分の100%から120%の水分を摂取します。
この時、塩化ナトリウムを足したドリンクの場合は20分以内で血漿量が回復しました。
真水を摂取した場合は1時間経っても回復しませんでした。

トレーニング後のドリンクにも電解質を入れた方がリカバリーが早いよ!
脱水を防ぐには まとめ

脱水の悪影響は次の通り
- 血液粘性の増加
- 皮膚表面の熱変換効率の悪化
- 排泄機能の低下
- 活動筋の不活性化
- 心臓ポンプ機能の低下
- 血漿量の減少
- 同脈圧の減少
- 筋肉と皮膚の血流量の減少
- 心拍数の増加

ロードバイクトレーニングのような有酸素能力に影響が大きいんだね!
脱水率は次の方法で計算するよ

運動前の体重ー運動後の体重=水分損失量(ml)
水分損失量÷運動前の体重×100=脱水率
(例)
体重60kgの人がトレーニング後に58kgになりました。
60kgー58kg=2(ml)
2÷60×100=3.3%(脱水率)

脱水率が3%を超えると危ないね!
脱水防止には電解質と糖質を考えた水分補給が大切


アクエリアスよりポカリスエットが良いんだね

「電解質を補給する」という観点ならアイソトニック飲料を選んだ方が良いよ
ドリンクの温度は5℃くらいの冷たい方が良いよ


トレーニング後の水分補給もナトリウムと糖質を加えることでリカバリーが早くなるんだね
自分に適した水分摂取量は気温や季節、暑熱順化しているかで全然違うよ


トレーニング前後の体重を小まめに測って把握することが一番だね!
