睡眠不足がロードバイクトレーニングのリカバリーへ与える影響
ロードバイクで、トレーニング内容ばかり気になるけど、同じくらい大切なのがリカバリー
リカバリーって回復ってこと？
その通り
トレーニングで強くなるのではなくて、リカバリーで強くなるんだよ
Contents
ロードバイクトレーニングはリカバリーで強くなる
リカバリーの重要性
ロードバイクトレーニングをすると、筋肉や免疫機能、心肺機能が傷つきます。
ロードバイクトレーニングは、体を傷つける行為です。
傷ついた筋肉や免疫機能、心肺機能を回復させるのがリカバリーです。
強くなるにはトレーニングしなければいけないけど、トレーニングすると絶対に体が傷つくよ
傷ついた体を修復させることにより、トレーニングする前よりも強い体になります。
ロードバイクトレーニングを行う以上、リカバリーは避けられません。
リカバリーすることで人は強くなるんだね
リカバリーには栄養摂取やマッサージ、睡眠など様々な方法があります。
その中でも睡眠はリカバリーに最も重要な要素です。
リカバリーには睡眠の他にも栄養やストレッチングなど、様々な要素があるよ
今回は論文を基に睡眠リカバリーについて考えます。
スポーツ系大学生における睡眠行動と主観的健康度に関する研究 順天堂スポーツ健康科学研究 川崎 瑶子・川田裕次郎・広沢 正孝
睡眠のス ポー ツ競技に与える影響 謡鉱形賺治 足利工業大学 他
睡眠時間が翌日終日の認知・運動機能に与える影響 瀬尾明彦（首都大学東京システムデザイン学部） 他
ロードバイクトレーニングによる疲れだけじゃなく、日常生活の仕事などのストレスにもリカバリーが必要！
軽視されがちな睡眠
睡眠の重要性
ロードバイクが速くなるために、トレーニング方法や栄養摂取に気を付けている人は多いです。
睡眠は軽視されがちです。
寝ることはそんなに考えてないかも・・・
厚生労働省の調査によると成人の５人に１人は睡眠に問題を抱えています。
２４時間活動する社会の中で交代制勤務など、不規則な生活をせざるを得ない状態も多いです。
睡眠を軽視すると、体の回復が遅れるだけではありません。
睡眠不足は心理的な負荷も増大させます。
オーバートレーニングや燃え尽きと睡眠は深い関係があるよ
オーバートレーニングについてはこちらの記事を参考に
バーンアウト（燃え尽き症候群）を防げ！～いつまでも情熱的にレースするために～
オーバートレーニングや燃え尽き症候群は、睡眠障害による心理的影響も大きいと言われています。
睡眠している時の人の体では何が起きているのでしょうか？
睡眠中の脳と体
睡眠状態とは、感覚器官は覚知できるが意識は喪失している状態です。
揺さぶったり痛みを与えても覚醒しない昏睡状態とは異なります。
睡眠はゆさぶったり声掛けで覚醒するところが昏睡状態とはちがうよ
睡眠は24時間サイクルです。
睡眠の効果として次のことがあります。
- 免疫系と内分泌系に対する回復
- 神経の回復
- 学習と記憶の修復
睡眠は体の回復だけでなく、脳にも大きな影響があるよ
睡眠はロードバイクトレーニングによって傷ついた筋肉を回復させる生理的な役割もあります。
心理的な回復機能もあります。
睡眠を十分にとることで心身共にリフレッシュできます。
睡眠のサイクル
３つの睡眠サイクル
人は人生の三分の一を寝て過ごします。
個人差がありますが一日に６時間から１０時間睡眠します。
必要な睡眠時間は人によって違うよ
ロードバイクトレーニングにより代謝や神経、免疫の状態は悪化します。
睡眠はこれらを安静時の値に戻す役割があります。
睡眠は「浅い眠り」「深い眠り」「逆説睡眠（レム睡眠）」の３つの状態があります。
効果的な睡眠は３つの状態の全てが必要です。
浅い眠り期間
うとうとしており、わずかな物音でも簡単に目が覚めます。
筋肉は徐々に弛緩していきます。
心拍数や血圧も徐々に低下します。
眠り始めの時間帯だね
深い眠り期間
呼吸がゆっくりになり、いびきをかき始めます。
心肺機能の活動が低下します。
ホルモン系は活発に活動します。
睡眠初期でホルモン系は最も活動します。
ロードバイクトレーニングにより傷ついた組織が最も再生される時間です。
最初の深い眠り期間は、最もホルモン系が活動する大切な時間だよ
逆説睡眠（レム睡眠）期間
深い睡眠期間の８０分から１００分後に訪れます。
脳は活動し覚醒状態にあるのに筋肉は弛緩し休息状態にあります。
夢を見るのはこの時です。
逆説睡眠期間の直後に起きると夢を覚えています。
極端な睡眠不足で急速に逆説睡眠期間になると脳は覚醒状態なのに筋肉が弛緩しているため「金縛り」の状態になります。
ひどく疲れていたり睡眠不足だとこの期間に金縛りにあうのか
睡眠の周期
最初の逆説睡眠期間（レム睡眠）は数分で終わります。
眠りの周期は９０分です。
睡眠時間期間が進むにつれて深い眠り期間は短くなっていきます。
逆に、逆説睡眠期間は長くなります。
眠っている時間の２０％強が深い睡眠期間です。
２０％は逆説睡眠期間です。
睡眠で副交感神経を活発化
睡眠不足による自律神経の不調
交感神経と副交感神経を併せて自律神経と呼びます。
自律神経は心拍数や血圧を調整し、内蔵の活動を司ります。
自分の意志とは関係なく働きます。
交感神経は、ロードバイクトレーニング時や緊張している時に活発になります。
起きている時は交感神経が活性化するよ
副交感神経は寝ている時やリラックスしている時に活発になります。
寝ている時は副交感神経が活性化するんだね
スポーツ選手を３６時間眠らせない実験
スポーツ選手を３６時間眠らせない実験をしました。
その結果、交感神経の活動時間が増加し、副交感神経の活動が低下しました。
睡眠不足で高強度のロードバイクトレーニングを繰り返すと、交感神経と副交感神経のバランスシステムが崩れます。
自律神経のバランスが崩れるとオーバートレーニングにつながります。
副交感神経が活発になる時間が少ないと自律神経のバランスが崩れるよ
睡眠の目的は副交感神経を活発にすること
副交感神経を活発化させるメリット
睡眠によるリカバリーの目的は、副交感神経を活発化させることです。
副交感神経が活発化することにより筋肉は弛緩し、心肺機能は休息します。
ホルモン系は活性化するので、ロードバイクトレーニングで傷ついた筋肉が修復されます。
リラックス状態になるので心理的に回復します。
次のロードバイクトレーニングへのモチベーションが向上します。
副交感神経が活発化すると良いことだらけだね
睡眠不足による筋グリコーゲンへの影響
エネルギー消費の増加
起床時は自律神経が活発化しやすいくなります。
自律神経が活発化すると心拍数が増加し体温、血圧が上昇するためエネルギー消費が多くなります。
持久力への影響
スポーツ選手を３０時間睡眠させない実験では筋グリコーゲン濃度が低下しました。
起きていることにより、付加的なエネルギー消費が起こったためです。
起きていると寝ている時よりエネルギーを多く消費するよ
睡眠時間が短いとエネルギーを余計に使てしまうんだね
ロードバイクトレーニング前に筋グリコーゲンが枯渇していると持久的機能に悪影響があります。
成長ホルモンへの影響
睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を減らします。
成長ホルモンの分泌が減ることで、タンパク質の合成が低下します。
リカバリー能力に悪影響を及ぼします。
睡眠不足は自律神経の乱れの他にも筋グリコーゲンの枯渇や成長ホルモンの抑制などデメリットがたくさん
ロードバイクレース前日の寝不足がレース結果に与える影響
短期的な睡眠不足がパフォーマンスに与える影響
長期的な睡眠不足は、リカバリーを妨げるのでトレーニングに悪影響を与えます。
一日程度の睡眠不足は、翌日に影響を与えるのでしょうか？
ロードバイクレース前日の移動や緊張で睡眠不足になることがあるけど、パフォーマンスに影響するの？
短期的な睡眠不足がパフォーマンスに影響するかは、実験結果によってばらつきがあるよ
ロードレース前日に移動や緊張で、一時的に睡眠不足になることがあります。
３０時間連続覚醒がパフォーマンスに与える影響
３０時間起きたままの状態が、パフォーマンスに影響するかを調べた実験が複数あります。
結果は様々でした。
「睡眠が不足している」という自覚が心理的にパフォーマンスに影響している可能性もあります。
「寝不足だ」と思うことがパフォーマンスに影響する可能性があるよ！
睡眠が精神面に与える影響
睡眠不足の人は自分が不健康だと考える
睡眠不足は精神状態にも影響を与えます。
学生寮で集団生活するスポーツ系学生男女１６１名を調査しました。
学生は朝６時から８時まで朝練があります。
夕方まで授業を受け、夜８時まで練習します。
練習後は自由時間の後に就寝します。
寮で集団生活するスポーツ系の大学生を対象に調査したよ
調査の結果４４．７％の学生が睡眠に問題を抱えていました。
厚生労働省の調査では成人の２０％に睡眠の問題があるので、一般人よりも高い数字です。
睡眠に問題のある人が多いんだね・・・
睡眠に問題があると自覚する学生の主観的な健康状態も不良でした。
睡眠に問題があると自覚している人は、自分は不健康だと考えていたよ
入眠時間と精神的健康度には、相関関係がありました。
睡眠時間が不足していることよりも、寝付けないことが強いストレスにつながっていました。
長い睡眠時間よりも、寝付きやすい環境の方が大切なことが分かりました。
寝付けないことにストレスを感じるんだね
朝型・夜型がロードバイクトレーングに与える影響
人にはそれぞれのクロノタイプ（睡眠型）があります。
夜型や強い夜型の人は朝練に向きません。
クロノタイプについてはこちらの記事を参考に
朝型！？夜型！？クロノタイプを知って朝練ロードバイクトレーニング！！
クロノタイプは生活習慣を変えることで変化する可能性は低いことが分かっています。
夜型であるのに無理に６時から朝練をすることが強いストレスにつながっている可能性があります。
睡眠に対するストレスがリカバリーを遅らせます。
夜型の人が無理に朝練をすることで強いストレスを感じている可能性があるよ！
睡眠に対するストレスはリカバリーの障害になるね！
睡眠リカバリー まとめ
- 睡眠は栄養やストレッチングと同じようにリカバリーの重要な要素
- 睡眠の乱れは自律神経の乱れを招く
- 睡眠の目標は副交感神経の活性化
- 睡眠不足は筋グリコーゲンの枯渇や成長ホルモン系に悪影響を与える
- ロードバイクレース前日の睡眠不足がパフォーマンスに影響するかは分かっていない
- 睡眠の目的は精神面の安定もある
- 睡眠不足よりも眠りに落ちないことの方がストレスに感じる
- 夜型の人が無理に朝練をすると睡眠不足になりリカバリーを遅らせる
睡眠は筋合成に与える影響も大きいけど、何よりも精神面に影響するよ！
十分な睡眠がとれない状態で過剰にトレーニングすると体が回復しないだけじゃなくて心理面で悪影響があるんだね
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