【ロードバイク】科学的根拠のないリカバリーライドと効果のある完全休養のどちらをするべきか
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目次
リカバリーライドは疲労回復に効果があるのか
リカバリー(回復)の目的
レースや激しいトレーニングの翌日は、リカバリーライドした方が疲労回復が早いと言われることがあります。
軽くペダルを回すことで、回復が早くなると言われます。
しかし、リカバリーライドが筋修復を早めるという科学的根拠はありません。
リカバリー(回復)の目的は、次のトレーニングに向けて体を適応させることです。
筋肉の回復に必要な時間と栄養を体に与えることが大切です。
トレーニング中に、体が強くなることはありません。
トレーニングとトレーニングの間の休養中に、体は強くなります。
リカバリーを最適化することは、トレーニングと同じか、それ以上に重要なことです。
リカバリーライドとは
リカバリーライドは、積極的休養とも呼ばれます。
強度の低いライドをすることを言います。
Vo2maxの25%から63%の強度を言います。
トレーニングとトレーニングの間に行います。
トレーニングとトレーニングの間は数秒間から数時間、数日まで様々です。
リカバリーには、トレーニングを全くしない完全休養もあります。
激しいロードレースやトレーニングの翌日にするリカバリーライドは、アクティブリカバリーに分類されます。
アクティブリカバリーは、積極的休養とも呼ばれます。
レースやトレーニングでパフォーマンスレベルを維持することが目的です。
リカバリーライドの効果に科学的根拠はない
リカバリーライドに乳酸除去効果はない
リカバリーライドのメリットに、乳酸の除去効果が言われることがあります。
リカバリーライドに、乳酸の除去効果はありません。
高強度で体内に蓄積される乳酸は、トレーニングの30分で分解・吸収されます。
翌日まで筋肉内に乳酸が蓄積していることは、あり得ません。
乳酸についてはこちらの記事を参考に
乳酸を知ってロードレースに勝つ方法 LT向上ZWIFTワークアウト
筋肉の修復を早める効果があるかは分からない
リカバリーライドには、血流を増加させ筋内の代謝物を除去する効果が期待できると言われています。
傷ついた筋に血流を増加させ栄養素を運ぶとする説もありますが、科学的に証明されていません。
国際レベルのサッカー選手が24時間後と48時間後にアクティブリカバリーをしたところ、効果はありませんでした。
マラソンの翌日に20分から40分のアクティブリカバリーをしたところ、回復が遅れました。
トレーニングで使った以外の筋群を使うアクティブリカバリーは、効果があるとする実験もあります。
クライミングや柔道など、主に上半身を使う選手がペダリング運動をすると回復が促進されました。
下半身を使うことで上半身の筋損傷部位の血流が増加したためと考えられます。
科学的根拠がないのにリカバリーライドをするべき理由
リカバリーライドで体が軽くなると感じることもある
リカバリーライドの効果は、証明されていません。
しかし、リカバリーライドで体が軽くなると感じることがあります。
完全に休養するよりも、リカバリーライドした方が回復が実感できることがあります。
重要なレースやトレーニングの前日は、リカバリーライドをした方が良い場合もあります。
リカバリーライドは心理的効果が大きい
レースや激しいトレーニングの翌日のアクティブリカバリーは、心理的効果があります。
軽い強度でトレーニングすることで、気分をリフレッシュさせます。
新しい気持ちで次のトレーニングに臨めます。
競技レベルの高い人ほど、身体的、精神的に自分を追い込む傾向が高まります。
スポーツ障害の大きな原因の一つが、心理的な要因です。
スポーツにおけるケガの原因の約18%が、心理的な要因であるとする研究もあります。
オフの日は自転車から離れることも、有効なリカバリー方法です。
トレーニングを忘れて、軽くペダルを回すことがリフレッシュになる人は、積極的にリカバリーライドを取り入れましょう。
リカバリーライドの活用方法と注意点
リカバリーライドを最大限に活用する方法
リカバリーライドの目的は、回復です。
トレーニングではありません。
リカバリーライドが、トレーニング刺激になるようでは意味がありません。
リカバリーライド後は、疲れを感じない程度にします。
長すぎてもきつすぎてもいけません。
極度に暑い時や寒い時のリカバリーライドは避けます。
その場合は、適温の室内でリカバリーライドします。
ZWIFTのリカバリーライドについてはこちらの記事を参考に
回復走・リカバリーにおススメ!きつくないZWIFTワークアウト5選!
リカバリーライドは、普段のトレーニング時間の25%以下に抑えます。
最大心拍数の50%以上に上がらないようにします。
心拍計をつけて、アラートを設定するのも効果的です。
リカバリーライドの注意点
リカバリーライドは、走りすぎてしまう危険性があります。
長く走りすぎると、回復効果が少なくなります。
体が次のトレーニングへの適応が不十分なまま休養が終わってしまいます。
このようなリカバリーライドはあまり意味がありません。
極端に暑い日や寒い日は、リカバリーライドを避けます。
完全休養なら確実にリカバリーできる
リカバリーライドVS完全休養
リカバリーライドに対して、トレーニングを全くしない休養を完全休養と呼びます。
完全休養には、アイシングやマッサージも含まれます。
筋グリコーゲンの再合成には、完全休養が効果的です。
完全休養は、リカバリーを確実に行えるというメリットがあります。
完全休養明けのトレーニングは、少しだるさや体の重さを感じることもあります。
完全休養で犯しがちな過ち
完全休養でやってしまいがちな過ちがあります。
完全休養は「完全に」休養します。
トレーニング以外の様々な用事も、体にストレスを与えます。
完全休養日に、トレーニング以外の用事を詰め込むことがあります。
それらはリカバリーを妨げるものです。
リカバリーを最大化するには、トレーニング負荷だけでなく、日常のストレスも最小化する必要があります。
スプリントトレーニング中のアクティブリカバリー
無酸素性インターバルのリカバリー
無酸素能力を向上させるには、数秒間のスプリントの反復が有効です。
スプリントの反復の間は、リカバリーの時間があります。
リカバリーを入れることで体力を回復させ、トレーニング強度を維持する狙いがあります。
スプリントから体を回復させることで次のスプリントに挑めるよ!
リカバリーを入れることで、無酸素性代謝の適応能力が高まると言われています。
スプリントを繰り返すことでは、無酸素性代謝の適応能力は高まらないとする実験結果もあります。
3秒間、6秒間の最大出力のエネルギー源は下の表の通りです。
3秒間と6秒間のスプリントでは、6秒間の方が乳酸性エネルギーの利用が増えます。
3秒間ではATPの利用が増えます。
ATPはもともと細胞内にあるものが使われます。
スプリントインターバルのリカバリー時間や方法は、トレーニングの目的に応じて変える必要があります。
スプリントが5秒以下でリカバリー時間が21秒以下なら完全休養が有利になります。
スプリント時間が30秒以上でリカバリー時間が2分以上なら、アクティブリカバリーが有利になります。
スプリントトレーニングについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクのスプリント力に直結する「無酸素パワー」への大きな誤解
スプリント能力とクレアチンリン酸
スプリント能力は、クレアチンリン酸の利用できる能力が大きく関係します。
優秀な陸上100mのスプリンターは、10秒の間に体内で貯蔵されているクレアチンリン酸を使い切ることができます。
優秀なスプリンターほど、体内のクレアチンリン酸を使い切ってしまうのでリカバリーに時間がかかります。
6秒未満のスプリントを繰り返すことで、体内に貯蔵されているクレアチンリン酸を使い切る能力が向上します。
クレアチンリン酸を使い果たす状況が繰り返されるため、体が適応するからです。
クレアチンリン酸は、1秒で使える量が決まっています。
10秒から12.5秒のスプリントでは体内に貯蔵されている量の40%から70%を使えます。
しかし、6秒未満では35%から55%です。
スプリントトレーニングを繰り返すと、最大スピードや加速力が向上します。
これにはクレアチンリン酸を使える量が増えることも関係しています。
クレアチンリン酸の再合成
クレアチンリン酸は、スプリント終了後25秒以内に50%は再合成されます。
残りは5分間から8分間かけて、トレーニング前の水準に回復します。
クレアチンリン酸の再合成には、有酸素能力やリカバリーの方法が影響します。
4秒間全力ペダリングして21秒間のリカバリーをしました。
リカバリーは32%Vo2max強度でペダリングしました。
アクティブリカバリーの方が、クレアチンリン酸の濃度が低くなりました。
5秒から6秒のスプリントインターバルから回復するには、完全休養が有利です。
エネルギー産生能力を向上させるのが目的のトレーニングの場合は、6秒のスプリントでも少なくとも2分間の完全休養が必要です。
リカバリー時間が不十分だと、解糖系の使用が減り、非乳酸性エネルギーの使用が増えます。
クレアチンリン酸についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】クレアチンリン酸を増やし、繰り返されるアタックやゴールスプリントに勝てる体になる方法【反復スプリント】
中強度インターバルのアクティブリカバリー
中強度インターバルに最適なリカバリー方法
アクティブリカバリー、完全休養、マッサージの3通りの方法が回復に与える影響を調べました結果があります。
110%Vo2maxでできるだけ長く運動した後、5分間リカバリーしました。
結果は、アクティブリカバリーが最も長く運動できました。
90%Vo2max強度などの中強度インターバルの場合は、リカバリー時間が30秒以上ならアクティブリカバリーが有利です。
リカバリー時間が短い場合は、アクティブリカバリーと完全休養に差はありませんでした。
15秒オンー15秒オフのインターバルでは、完全休養が有利になります。
心拍数を調整する時間がアクティブリカバリーより長くなるためです。
アクティブリカバリーは10分間から20分間のリカバリーで有利です。