ロードバイクによる筋肉痛の原因・予防・トレーニング再開のタイミング
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目次
ロードバイクは筋肉痛が治るまで休むべきなのか
ロードバイクの筋肉痛
激しいロードレースやトレーニングの翌日は、筋肉痛になることがあります。
筋肉痛になると、痛みのためにトレーニングへのモチベーションが下がってしまいます。
年齢や性別に関係なく、筋肉痛になります。
筋肉痛は、新しい運動を始めた時や普段より激しくトレーニングした時になります。
筋肉痛が治るまで休む必要はない
痛みを我慢してトレーニングするのか、治るまでトレーニングを休むのか。
結論的には、筋肉痛が治るまで休む必要はありません。
しかし、治るまでは痛みによりトレーニング強度が下がってしまいます。
トレーニング強度についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】パワー・心拍・RPEを使ったゾーン設定とトレーニングへの活用
筋肉痛にメリットはない
筋肉痛になることにメリットはありません。
レースで筋肉痛になるのは避けられませんが、トレーニングで筋肉痛になるのはある程度避けることができます。
筋肉痛になると、その後のトレーニングに支障が出ます。
筋肉痛になるほどのトレーニング強度は、高すぎる可能性があります。
翌日に筋肉が張る程度で抑えた方が、長期的には効率よくトレーニングできます。
筋肉痛によるトレーニング中断は、可能な限り避けた方が良いでしょう。
筋肉痛を知ってトレーニングに活かす
筋肉痛への理解が深まれば、トレーニング再開のタイミングやそもそも筋肉痛にならないようでできます。
筋肉痛になるメカニズムは完全に解明されていない部分が大きいです。
筋肉痛になる部位や治る早さは、人によって異なります。
自分の筋肉痛への理解を深めることが大切です。
1回目の筋肉痛は避けがたいですが、2回目は避けることができます。
ロードバイクの筋肉痛とは
筋肉痛の特徴
ロードバイクに関わらず、様々なトレーニングで筋肉痛になった筋肉は、固くなり柔軟性が失われます。
筋力も低下します。
筋力は概ね60%から70%低下します。
筋肉痛には、痛みが伴います。
筋肉痛の痛みは、筋肉を動かしたときや圧迫したときに生じます。
何もしていないときには、痛みがないのが特徴です。
ロードバイクのトレーニングで激しい運動をした後に生じる筋肉痛を予防するのは難しいです。
筋肉痛になるメカニズムや予防法は分かっていないことが多いです。
筋肉痛の予防についてはこちらの記事を参考に。
筋肉痛は筋肉を動かしたときだけ痛みがあるのが特徴だよ
筋肉痛は悪い事ではない
筋肉痛は、筋肉が炎症することで起こります。
炎症の度合いは、トレーニングの強度・時間・使われる筋群によって異なります。
トレーニングすると、必ず筋肉は炎症を起こします。
筋肉の炎症は、悪いことではありません。
炎症反応は、コントロールされた範囲内であれば筋肉の修復と再生に不可欠なものです。
炎症を起こした筋肉を適切にケアすることが大切です。
ケアは、休養と栄養が重要です。
食事についてはこちらの記事を参考に
睡眠についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクの筋肉痛は防げるのか
筋肉痛を完璧に予防することはできない
運動前にするストレッチやウォーミングアップは、筋肉痛の予防に効果がないことが分かっています。
運動後のアイスバスやアイシング、電気刺激は筋肉痛からの回復を早めることが分かっていますが、完全な方法はありません。
筋肉痛を予防する効果は薄いですが、トレーニング前のウォーミングアップは重要です。
ウォーミングアップについてはこちらの記事を参考に
2回目の筋肉痛は予防できる
筋肉痛を防ぐことはできませんが、繰り返さないことはできます。
1回目の筋肉痛の後に同じ運動をすると、2回目の筋肉痛は軽減されることが分かっています。
この現象は「繰り返し効果 RPE(repeated bout effect)」と呼ばれています。
筋肉痛が続いているときにトレーニングを再開しても、筋肉痛は悪化しません。
治るまでの期間が長くなることはないことも分かっています。
2回目の筋肉痛を予防するためには、1回目の筋肉痛からあまり時間をおかずに同じトレーニングをすることです。
徐々に筋肉痛の程度は低くなります。
同じ強度・時間のトレーニングをすると、初回より2回目の方が筋肉痛になりにくくなります。
初回の筋肉痛を軽くするために、新しいトレーニングは低強度から始める方が望ましいです。
低強度から徐々に負荷を上げることで「繰り返し効果」を最大限に利用できます。
筋肉痛による不快感を最小にしてトレーニングに挑めます。
ロードバイクで起こる筋肉痛の原因
筋肉痛の原因
筋肉痛になるメカニズムは、まだ完全に分かっていません。
筋肉痛の原因については、様々な説があります。
乳酸説、筋けいれん説、筋温度上昇説、筋損傷説です。
乳酸説とは、疲労物質である乳酸が筋肉中に蓄積することにより痛みが生じるという説です。
しかし、運動後に乳酸値は急激に下がります。
乳酸説は矛盾が多く、現在では否定されています。
筋けいれん説、筋温度上昇説も否定されており、現在では筋損傷説が有力です。
短い筋肉より長い筋肉の方が筋肉痛になりやすいです。
低強度の運動より、高強度の運動の方が筋肉痛になりやすいです。
ロードバイクのリカバリー戦略についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクのリカバリー戦略 回復食のタイミング・量・注意点
筋損傷説とは
筋損傷説とは、次のようなプロセスで筋肉痛になるという説です。
①激しい運動により筋繊維や筋組織の構造たんぱく質に損傷が起きる。
②損傷の結果、細胞質内へカルシウムイオンが異常に流入する。
③ミトコンドリアがカルシウムイオンを蓄積し、ATP生産量が減少する。
④カルシウムイオンを細胞外に出す機能が低下する。
筋損傷のメカニズムや炎症反応に関与する細胞についてなど、分かっていないこともたくさんあります。
ロードバイクに必要な筋トレについてはこちらの記事を参考に
筋トレでロードバイクが速くなる スクワット徹底解説【フォーム・効果・注意点】
筋肉が伸びる時に筋肉痛になりやすい
トレーニングをすると筋肉が伸びたり縮んだりします。
筋肉が伸びる動作をエキセントリック収縮といいます。
筋肉が縮む動作をコンセントリック収縮といいます。
コンセントリック収縮はエキセントリック収縮よりも大きな力を発揮できます。
トレーニングに慣れていない人は、コンセントリック収縮で最大のパワーを発揮することができません。
コンセントリック収縮は、低強度でも筋肉痛が起きやすくなります。
逆にエキセントリック収縮は、筋肉痛が起きにくいことが知られています。
ランニングは上りより下りの方が筋肉痛になりやすいです。
下りは大腿四頭筋が伸びる動作(エキセントリック収縮)を伴うためです。
筋肉痛が治る前にロードバイクのトレーニングを再開していいのか
「痛みがない=回復」ではない
激しい運動をした後の筋力、筋肉痛、筋肉の柔軟性、筋肉の腫れ、血漿CK値を調べました。
結果が下の表です。
※血漿CK値とは筋肉にエネルギーを貯める酵素の値で、激しい運動をするとCK値は上昇します。
治るまでの期間 | |
痛み | 10日後 |
筋力 | 40日後 |
柔軟性 | 20日後 |
筋肉の腫れ | 20日後 |
血漿CK値 | 30日後 |
痛みは一番早く回復します。
それに対して柔軟性や筋肉の腫れは倍の期間がかかります。
そして筋力が完全に回復するには40日間もかかるのが分かります。
「痛みがなくなった=筋肉が回復した」とは言えないことが分かります。
痛みは最初になくなりますが、柔軟性が戻るには3週間程度かかります。
痛みのある期間は運動を再開しない方がいい、と言われることがあります。
しかし、痛みは筋肉痛の一つに要因に過ぎません。
痛みがなくなっても、柔軟性や腫れは治っていません。
筋肉痛がある状態でトレーニングを再開するとどうなるか
筋肉痛がある状態でトレーニングを行う実験をしました。
被験者は、トレーニング習慣のない男性8名です。
最初のトレーニングでは、1日目と21日目に筋肉痛を生じる運動をさせました。
1回目と2回目の期間が3週間空いているので、筋肉痛は完全に治った状態でした。
次のトレーニングは1日目に運動し、その2日後、4日後、21日後に再度同じ負荷で運動しました。
筋肉痛が回復していない状態で次のトレーニングを再開させました。
結果は、筋肉痛がある状態で次のトレーニングをした方が21日後の痛みは軽減されました。
筋力も上昇していました。
筋肉痛がある状態で次のトレーニングをした方が2回目の筋肉痛を予防し、筋力も上昇することが分かりました。
筋肉痛がある状態でのトレーニングは激しい痛みを生じるため、負荷については下げる必要があります。
筋肉痛がある期間は筋力が60%から80%に低下しているので、その程度の負荷で行うのがいいでしょう。
筋肉痛が治っていない状態でトレーニングしても筋力はアップするんだね
筋肉痛が治る期間は同じだったよ
結論:筋肉痛が治る前にロードバイクトレーニングを再開するのは正しい
筋肉痛が治る前にロードバイクトレーニングを再開するのは問題ありません。
筋肉痛でもトレーニングにすれば、筋力は増加します。
筋肉痛が治りにくくなることもありません。
筋肉痛の時は、トレーニング負荷は落としましょう。
痛みがなくなっても、3週間程度は影響があります。
筋肉痛を予防することは難しいですが、2回目の筋肉痛は予防できます。
予防するために、1回目の筋肉痛からあまり時間を空けずに同じトレーニングをしましょう。
徐々に筋肉痛の程度は低くなり、やがて筋肉痛にならなくなるでしょう。