ロードバイクが速くなるベータアラニンの効果と摂取するべき人
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目次
ベータアラニンは効果が実証されている数少ないサプリメントの一つ
効果が実証されているサプリメントは少ない
健康への関心が高まるにつれて、多くのサプリメントが販売されるようになりました。
多くのサプリメントが販売されているので、本当に必要なものを見極めるのは非常に困難です。
知識がないと、広告の言われるがままに闇雲にサプリメントを摂取することになります。
栄養の基本は、食事です。
バランスの良い食事を摂れば、サプリメントはほぼ必要ありません。
トップアスリートを目指さない場合は、サプリメントの必要性は低いです。
効果的なサプリメントはBCAA、クレアチン、今回紹介するベータアラニンなど限られたものです。
BCAAについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクにアミノ酸が必須な理由とBCAAの効果 EAAとの違いも解説
クレアチンについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】クレアチンリン酸を増やし、繰り返されるアタックやゴールスプリントに勝てる体になる方法【反復スプリント】
その他の栄養補助食品としてプロテインがあります。
プロテインについてはこちらの記事を参考に
ロードレーサーにプロテインが必要な3つの場合と540プロジェクトを薦める3つの理由
サプリメントはこだわり過ぎるとキリがありません。
サプリメントは必要な物を見極め、摂取する必要があります。
サプリメントよりも、トレーニング中に摂取する炭水化物の量や普段の食事に気を配る方が効果的です。
摂取すべき炭水化物についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクのレースやトレーニングで必要な炭水化物量の計算方法と炭水化物酸化量を維持する方法
インターバルが強くなる
ベータアラニンを摂取すると、高強度インターバルが強くなる可能性があります。
強いロードバイク選手は、高強度インターバルを週に複数回行う傾向があります。
ゾーン3以上のトレーニング割合が高い人は、ベータアラニンを摂取する意味があります。
ベータアラニンは筋肉の酸化を抑制する
ベータアラニンは、効果が実証された数少ないサプリメントの一つです。
ロードバイク選手の中でも、ワールドツアーやプロツアーなどハイレベル選手に人気のあるサプリメントです。
ドーピングの対象ではなく、オリンピック委員会(IOC)の承認もあります。
ベータアラニンは、タイムトライアルやレース中の数分間の登りに対して効果的とされています。
ベータアラニンは非必須アミノ酸の一種です。
ベータアラニンは筋肉の酸化を抑制する効果があります。
ベータアラニンは筋肉のカルノシン含有量を増加させるます。
カルノシンの量が多いと、筋肉のパフォーマンスをより長く保てるようになります。
運動すると、筋肉に乳酸が蓄積します。
乳酸は、疲労原因物質ではありませんが筋肉のPHを下げます。
PHは6.2から6.3まで下がります。
PHが6.2まで下がると、筋肉の最大収縮速度は70%から85%に低下するという研究もあります。
乳酸についてはこちらの記事を参考に
筋肉のPHが下がると、筋肉が酸化し疲労を感じるようになります。
ベータアラニンで筋肉が増えることはない
ベータアラニンを摂取しても、直接的に筋肉が増えることはありません。
高強度インターバルの強度が上がるので、間接的に筋肉が増える可能性はあります。
ベータアラニンを摂取すると、カルノシンの貯蔵量が増加します。
カルノシンは、筋肉疲労の要因である酸の蓄積を減らす効果があります。
カルノシンは、タンパク質の糖化反応抑制、筋収縮のカルシウム感受性の増加効果もあります。
ベータアラニンを摂取すると、60秒から240秒のパフォーマンスが向上します。
この効果は、ロードレースの途中でも現れるとされています。
数時間のレースの途中の比較的短い登りでも、筋肉内に貯蔵されたカルノシンは効果を発揮します。
ベータアラニン摂取によるパフォーマンス向上は1%から2%程度
ベータアラニンは魔法のサプリメントではありません。
パフォーマンス向上は1%から2%程度です。
ベータアラニン摂取により最も向上するのは60秒から240秒のパフォーマンスです。
ベータアラニンを摂取しても60秒以下のパフォーマンス向上はあまりありません。
240秒を超える場合は効果が低くなりますが、10分程度までは効力があるとされています。
アマチュアトップレベルの選手を対象にベータアラニンを28日間摂取させた研究では、4分間の全力ペダリングパワーが1.5%程度向上しました。
4kmのタイムトライアルも1.8%から2%向上しました。
4kmタイムトライアルの場合、2秒から5秒程度のタイム向上になります。
この研究は15名を対象にしましたが、効果が表れなかった選手も居ました。
タイムトライアルについてはこちらの記事を参考に
ベータアラニンの摂取方法・価格
ベータアラニンとは
アラニンはアミノ酸の一種で、アルファアラニンとベータアラニンに細分化されます。
一般的にアラニンとは、アルファアラニンを指します。
アルファアラニンは、タンパク質構成成分の一つです。
アルファアラニンは体内の多くの細胞に含まれます。
アルファアラニンに対して、ベータアラニンは主に筋肉に存在します。
アミノ酸についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクが速くなるためのビタミン・ミネラル摂取法【サプリメントVS食事どちらが効果的!?】
ベータアラニンの摂取方法
ベータアラニンを含むアラニンは、食べ物から摂取することもできます。
多く含まれるのは豚肉のゼラチン部分です。
魚介類や海藻類にも多く含まれます。
サプリメントで摂取する場合は、1.6g~12g/日です。
効果的なのは3g~6g/日とされています。
ベータアラニンを摂り始めた当初は、摂取量を増やします。
筋肉のカルノシン貯蔵量を増やすためです。
2週間から6か月で筋肉のカルノシン量が20%~200%の割合で増加します。
多くの場合、2週間から4週間で貯蔵量は最大値に達します。
筋肉に含まれるカルノシンが最大量に達した後は、1g/日~3g/日のベータアラニンを摂取すると最大量を維持できます。
筋肉のカルノシン量は個人差が非常に大きいです。
食事、トレーニング量、サプリメントの摂取状況など複数の要因が関与します。
ベータアラニンの価格
ベータアラニンは500gで1000円から3000円程度です。
毎日3g摂取した場合、一日当たり6円から12円です。
価格だけ考えると、摂取しやすいサプリメントと言えます。
ベータアラニンはマイプロテインなどが販売しています。
https://www.myprotein.jp/p/sports-nutrition/beta-alanine/10529809/
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ベータアラニンの副作用
ベータアラニンは副作用があります。
最も大きい副作用は、皮膚のしびれなどの感覚異常です。
皮膚のしびれは、顔や手足に出る場合があります。
皮膚のしびれはベータアラニン摂取後30分程度で消失します。
遅くとも60分から90分以内に消失します。
少量を複数回に分けて摂取すると、皮膚のしびれを回避することができます。
ベータアラニンの大量摂取は知覚異常のリスクを高めます。
慢性的に長期間ベータアラニンを摂取した場合の健康リスクは分かっていません。
冬季に基礎的なトレーニングをする場合は、ゾーン3以上の強度に達しません。
冬季にベータアラニンの摂取を中止すると、健康リスクを減らすことができます。
ゾーンについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】パワー・心拍・RPEを使ったゾーン設定とトレーニングへの活用
ベータアラニンを摂った方が良い人・摂らない方が良い人
摂った方が良い人
ベータアラニンを摂取するとパフォーマンスが向上しますが、その程度は1%から2%です。
向上率を大きいと捉えるか、小さいと捉えるかはその人のロードレースに対する取り組み次第です。
わずか数パーセントの違いが勝敗を決するアマチュアトップレベルやプロ選手にとっては大きな違いです。
トレーニング次第でパフォーマンス向上の余地が大きい人や、趣味でレースに参加する人にとっては小さな違いです。
アマチュアレベルの人は、トレーニングや食事の管理次第で数パーセントのパフォーマンスは容易に向上します。
摂取するサプリメントはなるべく少ない方が健康的です。
ベータアラニンは、トレーニングを限界まで追求し尚且つパフォーマンスを向上させたい人のみが摂った方が良いでしょう。
摂らない方が良い人
ロードバイクに乗る目的が、健康維持や気分転換の人はベータアラニンを摂る意味は少ないです。
ベータアラニンは60秒から240秒の全力ペダリングで効果を発揮します。
LSDなどが速くなる訳でもなく、体を健康にする訳でもありません。
グランフォンドなどの長距離レースや、ヒルクライムなど240秒を超える一定ペースで走るレースがメインの人もベータアラニンを摂る意味は少ないです。
高強度インターバルをトレーニングに取り入れていない人は、摂取する意味が低くなります。
ベータアラニンの効果を理解し、摂取することが重要です。