ロードバイクが速くなるために呼吸筋力ではなく呼吸筋持久力をトレーニングするべき理由

Contents

ロードバイクで呼吸筋が重要な理由

ロードバイクと呼吸の関係

ロードバイクなどの持久系スポーツは、筋肉の有酸素性能力の向上と心肺機能の向上が重要です。
呼吸機能の向上のため、呼吸トレーニングを行うことがあります。
呼吸トレーニングは、主に呼吸筋の向上を目的に行われます。
呼吸筋力は、息を吸う力と吐く力に分けられます。


息を吸うことで、肺に酸素を送り込みます。
息を吐くことで、二酸化炭素を排出します。
息を吐く力は、最大呼気口腔内圧(Pemax)で表されます。
息を吸う力は、最大吸気口腔内圧(Plmax)で表されます。
体に酸素を取り込む仕組みは、呼吸と循環です。
人が息を吸い込むと、酸素が肺胞に送られます。
肺胞で酸素は血液に取り込まれます。
血液に取り込まれた酸素は、ポンプである心臓によってミトコンドリアに運ばれます。
ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギーを生み出します。

ミトコンドリアについてはこちらの記事を参考に

ミトコンドリア増殖でロードバイクが速くなる理由と効率的な増やし方

酸素を取り込む仕組み

酸素が肺胞に取り込まれるまでが呼吸の役割です。

酸素が血液に溶け、筋肉に運ばれエネルギーになるのは、心臓やミトコンドリアなどの働きによるものです。

呼吸に使われる呼吸筋

安静時に息を吸う時は、横隔膜の収縮によって行われます。
安静時に息を吐くときは、筋肉を使いません。
横隔膜の伸展によって行われます。

横隔膜


運動時に息を吸うのに使う筋肉は、胸鎖乳突筋と斜角筋です。
運動時に息を吐くのに使う筋肉は、内斜角筋、腹直筋、腹斜筋です。
呼吸筋は大きく3つのグループに分かれます。
横隔膜(吸気)、胸郭筋(呼気と吸気)、腹筋(呼気)です。
これらは、呼吸筋と呼ばれます。
3つのグループの内、横隔膜は交感神経の影響をあまり受けません。
胸郭筋と腹筋は交感神経の影響を受けます。
腹筋は横隔膜と共に、「補助心臓」の役割を果たします。
呼吸することで、心拍出量の増加に寄与します。
強度の高い運動をする時は、安静時とは逆に息を吐く力が大きく使われます。

リカバリーについてはこちらの記事を参考に

ロードバイクのリカバリー戦略 回復食のタイミング・量・注意点

エリート選手の呼吸筋力は高くない理由

エリート選手の呼吸筋力は高くない

ロードレースなど、強度の高い運動は多くの酸素が必要になります。
プロロードレーサーなどの持久系エリート選手は、息を吸う力と吐く力である呼吸筋力が高いと思われがちですが、実際はそうではありません。
逆に、呼吸筋力が高い人が持久能力が高いとは言えません。
持久系エリート選手の呼吸筋力は、一般の人と比べて明確に高いわけではありません。
最大換気量は一般の人と同じか、低かったとする研究もあります。

マラソン選手の呼吸筋力は高くない

プロロードレーサーについてはこちらの記事を参考に

プロロード選手がZWIFTレースで勝てない6つの理由とトップ選手5つのこだわり

エリート選手の呼吸筋力が高くない理由

最大換気量は、呼吸筋力や胸郭の硬さが影響します。
肺活量は、性別、年齢、体格に大きく関係します。
胸郭の硬さや呼吸筋力も多少関係します。
一般人とエリートランナーを比較すると、肺活量に大きな差はありませんでした。
中強度の運動までは、1回換気量が関係します。
長時間の運動では、呼吸回数を増やすことで酸素の取り入れ量を増やします。
運動強度・運動時間が上がっても、呼吸の回数が増えるだけです。

肺活量は、持久力に大きく関係しないと考えられます。

呼吸筋力が向上して肺活量が増加しても、持久力はあまり変わりません。

一般人とエリート選手で呼吸筋力に差がないのは、呼吸筋が疲労を起こすまで最大換気量が増加しないためと考えられます。

エリート選手についてはこちらの記事を参考に

【ロードバイクFTP判定】自分のFTP 高いor低い?国内プロ・海外プロと比較!

ロードバイクが速くなるためにトレーニングするべきは呼吸筋持久力

呼吸筋トレーニングは呼吸筋力と呼吸筋持久力に分かれる

呼吸筋のトレーニングは、呼吸筋力と呼吸筋持久力に分けて考えることができます。
呼吸筋は持久力の高い筋肉です。

ロードバイクなどの持久系種目で、最大酸素摂取量であるVO2MAXは重要な能力です。
VO2MAXは、心拍数、心臓の1回拍出量、動静脈酸素分圧差で決まります。
呼吸筋力が向上すれば、最大換気量が少し増えますが、持久力には大きく影響しません。
普通の呼吸ができる人なら、呼吸筋力はVO2MAXに大きく影響しません。
呼吸筋をトレーニングすると、呼吸筋力が高まります。
しかし、VO2MAXには大きく影響しません。

VO2MAXについてはこちらの記事を参考に

ロードバイク VO2MAXとFTPの深い関係

エリート選手は呼吸筋持久が高い

持久系種目のエリート選手は、呼吸筋力が優れているわけではありません。

しかし、呼吸筋持久力は優れています
短時間のトレーニングで呼吸筋が疲労することは、あまりありません。
ロードレースやマラソンなど、長時間の運動の後は呼吸筋が疲労しています。

呼吸筋が疲労すると、呼吸困難感が出現します。

呼吸困難感とは、呼吸する時に感じる苦しさや不快感です。

呼吸の努力感に対して、十分な換気量が得られない状態です。

長距離ランナーを対象にした調査があります。
長時間のトレーニング後に、呼吸困難感を感じる選手と感じない選手を調査しました。

それぞれの選手で、呼吸筋力に差はありませんでした。
しかし、呼吸筋持久力に優れる選手は、トレーニング後の呼吸困難感が低いことが分かりました。
ロードレーサーにとって、呼吸筋は強弱ではなく、持久力が重要な可能性があります。

持久力に優れる選手は呼吸器官への血流が少ない可能性

ロードレース中は、脚への血流が増加します。
呼吸筋への血流が、脚などの運動筋より優先されるかは分かっていません。
プロロードレーサーは呼吸筋への血流が少なくても、激しい運動ができるという研究もあります。

明確には判明していませんが、エリート選手はより少ない血流で呼吸できる可能性があります。

呼吸筋持久力のトレーニング方法

呼吸筋力を向上させるために、多くのトレーニング器具が販売されています。

トレーニング器具の多くは、呼吸筋力の向上を目的にしています。
通常に呼吸ができる人なら、呼吸筋力はロードバイクの速さに大きく影響しない可能性があります。
トレーニングするべきは、呼吸筋持久力です。
呼吸筋群は、遅筋です。
他の遅筋群と同じく、低負荷で長時間の負荷によって向上します。

速筋と遅筋についてはこちらの記事を参考に

筋タイプを知ってロードレースに勝つ方法 速筋・遅筋を徹底解説   
器具を用いたトレーニングは、高強度・短時間のトレーニングです。
呼吸筋持久力は向上しない可能性があります。
呼吸筋持久力をトレーニングするには、長時間・低強度のロードバイクトレーニングが有効です。

有酸素能力を向上させるための長時間・低強度トレーニングは、同時に呼吸筋持久力も向上します。

有酸素トレーニングについてはこちらの記事を参考に

ロードレース必勝法!有酸素運動能力トレーニング!!

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