見直されつつある古典的トレーニングSFRは無意味なのか!?

Contents
目次
SFRは効果のない古典的トレーニングなのか
古くから行われている定番のトレーニングSFR
SFRとは、低いケイデンスで高いトルクをかけるトレーニングです。
イタリア語のSalite Forza Resistenza=SFRが語源になっています。
クライミング・ストレングス・レジスタンスを意味します。
SFRはその名の通り、主に上り坂で行います。
SFRは、低ケイデンス・インターバル・トレーニングと言い換えることもできます。
トルク・トレーニングと呼ばれる事もあります。
ヒルクライムについてはこちらの記事を参考に
Mt.富士ヒルクライムのブロンズを獲得するためにZWIFTクライムポータル「Mt FUJI」を90分で走る方法
SFRの目的は、高いトルクを出せるようになる事です。
パワーは、トルクとケイデンスの掛け算で算出されます。
同じパワーで高いトルクを出すには、ケイデンスを低くする必要があります。
従って、SFRは低ケイデンスのトレーニングになります。
傾斜が15%を超えるような場合、高いケイデンスを維持するのは不可能です。
通常はあり得ない激坂を登るレースでは、低ケイデンス・高トルクのSFRが活きる場面です。
なぜSFRは疑問視されるのか
SFRは1980年代から行われているトレーニングです。
2010年頃は、定番のトレーニングでした。
プロ選手も取り入れていたSFRですが、近年はその効果が疑問視されることもあります。
現在は、SFRにトレーニング効果はないとする意見が主流になっています。
SFRのデメリット
SFRが疑問視される理由には、次のようなものがあります。
- 90rpm程度の最適なケイデンスの方が高いパワーを発揮できるので、トレーニング効果が高い
- 50rpm以下の低いケイデンスは膝に負担をかけ、ケガのリスクを増大させる
- SFRはケイデンス50rpmの力を増大させるかも知れないが、実際のレースには役立たない
- トレーニングは自分にとって最適なケイデンスで行うべきである
なぜ一昔前はSFRが流行したのか
一昔前は、自転車選手に筋トレは不要という考えがありました。
プロロードレーサーでも、ジムに通う選手はほとんどいませんでした。
その様な状況で、SFRは筋トレの代替的な役割があったと考えられます。
SFRは、ペダルを力強く踏めば脚が強くなるという理屈です。
現在は、多くの選手がジムに通うようになりました。
バーベルを使ったトレーニングは、筋力を増加させ、柔軟性を増すことができます。
ジムでの筋トレは、筋肥大という観点から見ればSFRより効果的であり安全です。
筋トレについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクが速くなるには筋トレが必須 その理由と目標重量
他にも要因が考えられます。
一昔前は、大きなギアを低ケイデンスで回すのが定番でした。
上りで大きなギアを、低ケイデンスの回す選手の映像が多く残っています。
正にSFRそのものです。
そういった事情も、SFRが定番のトレーニングだった一因かも知れません。
プロ選手についてはこちらの記事を参考に
【ZWIFTアカデミー2024】プロロードレーサー発掘のための3つの変更点と6つのワークアウト
見直されつつあるSFR
見直されつつあるSFR
SFRに代表される低ケイデンス・インタバール・トレーニングを支持する意見もあります。
パワーとは、単時間あたりのエネルギーです。
サイコンは、トルクとケイデンスを計算してパワーを算出します。
同じケイデンスでより高いトルクを出せるようになれば、パワーは向上します。
ケイデンスを維持しているのにパワーが下がる場合は、トルクが下がっている事を意味します。
トルクを上げるトレーニングは、十分に価値のある事と考えられています。
SFRのやり方
SFRは、50rpmから60rpmのケイデンスを維持します。
パワーゾーンは、FTPの85%から90%です。
SFRは長時間ではなく、インターバルで行います。
パワーをかける時間は3分間から5分間です。
セット間に数分のレストをとります。
パワーゾーンについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】パワー・心拍・RPEを使ったゾーン設定とトレーニングへの活用
SFRにより低ケイデンスでの身体の動きを習得
SFRの主目的は、トルクをかけることです。
300ワットを90rpmで出すのが最適な人が、50rpmで同じパワーを出す場合、より大きなトルクをかける必要があります。
大きなトルクをかける能力は、身体全体を上手く使う必要があります。
筋トレは筋肥大を効率的に行えますが、高トルクをかける身体を動きを作れる訳ではありません。
ロードバイクでトルクを出す動きは、ロードバイクで習得する必要があります。
より多くの筋繊維を動かす
300ワットを出す場合に、90rpmと50rpmでは、動員される筋繊維の種類が少し異なります。
高いパワーになるほど、低いケイデンスは疲労感が増します。
VO2MAX以上になると、疲労度の違いは歴然です。
どちらのケイデンスが重要かという話ではなく、SFRでより多くの筋肉を動かすという考えです。
当然ですが、筋繊維はトレーニング中に動員された部分しか鍛えられません。
SFRにより、普段は使う頻度の少ない筋繊維が活性化されます。
速筋・遅筋についてはこちらの記事を参考に
筋タイプを知ってロードレースに勝つ方法 速筋・遅筋を徹底解説
大きなギアを回せるようになる
現在は、小さなギアを高ケイデンスで回すのがトレンドです。
しかし、タイムトライアルなどでは大きなギアで高いトルクをかけてタイムを出します。
トルクをかけるペダリングを体に覚えさせるために、古典的なSFRを取り入れる選手は多くいます。
SFRはクライマーのためのトレーニングにされがちですが、全ての人に役立つ可能性があります。
有酸素系の負担を減らしながら筋力を向上
SFRは、有酸素能力の向上はあまり期待できません。
逆に言えば、同じパワーを出すトレーニングでもSFRは有酸素系に負担をかけることがありません。
冬のベーストレーニングの時期は、有酸素系に大きな負荷がかかっています。
時々SFRを取り入れることで、有酸素系の疲労をぬきつつロードバイクに必要な筋力を向上させる効果が期待できます。
有酸素能力についてはこちらの記事を参考に
ロードレースで勝つには有酸素トレーニングが絶対に必要な理由とその方法
