ZWIFTアカデミー2023 ファイナリスト&全6種類ワークアウト徹底解説
Contents
目次
ZWIFTアカデミーとは
始まりは2018年
ZWIFTアカデミーは2018年に始まりました。
その規模は年々拡大しています。
2023年のZWIFTアカデミーは、6つのワークアウトと2つのレースで構成されています。
ZWIFTアカデミーは例年、年末頃に約1か月間開催されます。
目的① 全てのZWIFTユーザー対象のトレーニングプログラム
ZWIFTアカデミーの最も大きな目的は、全てのユーザーを対象にしたトレーニングプログラムです。
全てのレベルの人がレベルアップできるように設定されています。
ワークアウトはアーカイブとして残され、期間終了後いつでも参加できます。
目的② プロ選手発掘プログラム
2つ目の目的は、プロ選手の発掘です。
ZWIFTは、世界のどこに居てもオンラインで参加できます。
その人のパワーが分かるので、隠れた才能を見つけることができます。
2018年から始まったZWIFTアカデミーから、多くのプロ選手が生まれています。
2023年は、女性イギリス人と男性イタリア人の選手がプロチームと1年間の育成契約を結びました。
2人は16万人以上のZWIFTアカデミー参加者から選ばれました。
ZWIFTアカデミー2023優勝者
プロ育成チームとの契約
ZWIFTアカデミー2023の男子優勝者は、Alpecin-Deceuninckとの契約を勝ち取ります。
女子優勝者は、CANYON//SRAMとの契約を勝ち取ります。
男子優勝者は、ドイツ出身のLouis Kitzki選手でした。
女子優勝者は、南アフリカ出身のMaddie Le Roux選手でした。
2名の選手は、それぞれ育成チームに所属します。
男子優勝者Louis Kitzki選手
男子優勝者は、ドイツ出身のLouis Kitzki選手でしたが、最終選考に残った他の2選手も素晴らしい成績でした。
一人目はMattia Gaffuri選手です。
この選手は、コーチング業と選手をしています。
2023年ヨーロッパヒルクライム選手権2位、2021年U23ジロ・デ・イタリア出場、2020年U23イル・ロンバルディア出場の経歴があります。
二人目はAnton Schiffer選手です。
Anton Schiffer選手はコンチネンタルチームに所属するセミプロ選手です。
ZWIFTアカデミーのテストでは20分間に410W(6.5W/kg)のパワー値を出しています。
この数値は、ワールドツアーでも十分に通用する値です。
女子優勝者Maddie Le Roux選手
Maddie選手はトライアスロンをバックボーンに持ちます。
教員をしていましたが、3年前からフルタイムでロードレーサー選手をしています。
2024年3月にガーナで開催されるアフリカ選手権に南アフリカ代表として出場します。
優勝にはパワープラスαが必要
2名の選手はZWIFTアカデミー2023に参加した10万8000人以上から選ばれました。
最終選考には男子3名、女子3名が残りました。
選考基準は、パワーだけではありません。
最終選考に残った選手は、実際のロードレースや合宿を行いました。
男子のLouis選手は、最終選考に残った中で最年少であり、将来性を買われました。
女子のMaddie選手は、レース中にエース選手をサポートした姿勢が評価されました。
最終的に選ばれなかった選手も、将来的にワールドツアーで活躍する可能性が十分にあります。
2人の選手は、2024年1月からチームに合流しキャリアをスタートさせています。
6種類のワークアウト×ロングバージョン・ショートバージョン
ロングバージョンとショートバージョン
ZWIFTアカデミーのワークアウトは6種類あります。
それぞれ、ロングバージョンとショートバージョンがあります。
ロングバージョンは概ね90分です。
ショートバージョンは概ね40分です。
No | ワークアウト名 | ロング | ショート |
1 | Explosive 30s | 1時間19分 | 42分 |
2 | Fatigue Fighter | 1時間26分 | 44分 |
3 | The Finisher | 1時間31分 | 42分 |
4 | Fast Twitch HIIT | 1時間5分 | 37分 |
5 | The Steady State | 1時間21分 | 49分 |
6 | All Out Burn | 1時間22分 | 45分 |
ZWIFTアカデミー2023 ワークアウト全6種類
ワークアウト① 無酸素パワーとVO2MAX向上ワークアウト
このワークアウトは30秒間と2分間という、それぞれ重要な能力に焦点を当てています。
30秒間の全力走に必要なのは、無酸素パワーです。
無酸素パワーとは、エネルギーを生み出すシステムに酸素が関与しにくいパワー域のことです。
100%酸素が関与しないエネルギー生産はあり得ませんが、割合が低くなります。
30秒間の最大パワーは、レース中の短い上りやゴールスプリントで必要となります。
ロードレースでは、何回も30秒間もがける能力が試されます。
無酸素域パワーのトレーニングについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクのスプリント力に直結する「無酸素パワー」への大きな誤解
2分間の全力走に必要なのは、VO2MAXの能力です。
VO2MAXとは、最大酸素摂取量のことです。
血液に酸素を取り込む能力を意味します。
VO2MAXが高い人ほど、ロードレースを始めとする持久系スポーツで勝ちやすくなります。
ZWIFTアカデミーのプロ選手発掘で、最も重要視されたのもFTPとVO2MAXの値でした。
VO2MAXについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイクのVO2MAX判定】自分のVO2MAXは普通より高いor低い?【海外プロロードレーサーと比較】
ワークアウト② 疲労耐性向上ワークアウト
このワークアウトの目的は、疲労耐性能力の向上です。
脚がある程度疲れた状態で、8分間の全力走をします。
ワークアウトの前半は、FTPパワー前後でのインターバルです。
ロングバージョンの最後は、4分間×4回のFTPインターバルがあります。
脚が疲労した状態で、8分間の全力走をします。
疲労した状態からの8分間は、とても長く感じます。
最初から飛ばしすぎると、失速してしまいます。
最初は、FTPより低いパワーから始めます。
もし耐えられるようなら、徐々にパワーを上げましょう。
最後までやり切ることが何よりも大切です。
疲労回復についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクのリカバリー戦略 回復食のタイミング・量・注意点
ワークアウト③ スプリントトレーニング
このワークアウトの目的は、スプリント能力の向上です。
ロードレースのスプリントは、脚が疲労した状態です。
競輪などのトラックレースとは、異なった状況です。
このワークアウトでは、予備疲労させてからスプリントします。
ロングバージョンの場合、8分間のFTP走を2回した後に7分間のビルドアップをします。
最後に、30秒間と2分間の全力走をそれぞれ2回行います。
脚に疲労が溜まった状態でスプリントすることで、より実践的な能力が身に付きます。
ロードレースのスプリントに必要な能力についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】クレアチンリン酸を増やし、繰り返されるアタックやゴールスプリントに勝てる体になる方法【反復スプリント】
ワークアウト④ HIITインターバル
このワークアウトの目的は、VO2MAXと疲労回復能力の向上です。
3セットのインターバルを行います。
インターバルは後半にかけて長くなりますが、パワーは少し下がります。
HIITインターバルは、高強度と低強度を短時間で繰り返すトレーニングです。
時間効率よく、トレーニングできます。
ベースとなる考え方は「タバタ式トレーニング」です。
厳密な意味でのタバタ式トレーニングは、プロ選手向けです。
アマチュア選手が行うには、強度が高すぎるため困難です。
タバタ式トレーニングをアマチュア選手用に変更したのがHIITトレーニングです。
タバタ式トレーニングとHIITトレーニングの違いについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】タバタ式・HIITのやり方・メリット・デメリットと5つのZWIFTワークアウト
HIITインターバルは、非常に時間効率の良いトレーニングです。
短時間で効率的に強くなれます。
VO2MAXも向上します。
VO2MAX向上に必要なのは、筋持久力、心臓の最大血液拍出量、ミトコンドリアの数、毛細血管の発達など様々です。
VO2MAXが向上すると、FTPも向上します。
「VO2MAXが高い=レースに勝つ」とは言い切れませんが、有利にレース展開できるようになります。
VO2MAXとレースの関係についてはこちらの記事を参考に
ワークアウト⑤ 心拍ドリフトを抑えるワークアウト
このワークアウトの目的は、心拍ドリフトを抑えることです。
心拍ドリフトとは、ペースが一定なのに心拍数が上昇する現象です。
一定のパワーでペダルを回すと、最初の数分は心拍数が上昇します。
これは自律神経系による心拍数の上昇であり、心拍ドリフトとは別の現象です。
数分後に、心拍数がある程度高い状態で安定します。
数十分経つと、徐々に心拍数が上昇し始めます。
この現象が心拍ドリフトです。
心拍ドリフトが起こる要因は大きく2つ考えられます。
- 発汗による水分量の減少
- 体温維持のための血液循環量の増加
冬よりも夏の方が心拍ドリフトが起こりやすくなるのは、発汗量の増加と体温上昇のためと考えられます。
心拍ドリフトは、持久力の低い人ほど起こりやすくなります。
このワークアウトは、30分間のフリーライドがあります。
30分間は、限界まで追い込む必要はありません。
心拍計を装着し、一定ペースでペダルを回しましょう。
心拍ドリフトを抑えるには、十分な水分補給が大切です。
水分補給についてはこちらの記事を参考に
パワーが一定なのに、心拍数の上昇が激しい場合は有酸素能力が不足している可能性があります。
有酸素能力向上トレーニングについてはこちらの記事を参考に
ワークアウト⑥ オールアウトインターバル
このワークアウトの目的は、オールアウトです。
2分間のVO2MAX強度と、5分間の全力走で限界まで追い込みます。
VO2MAXインターバルは、ロードレースを想定しています。
レース中は、インターバルの連続です。
インターバルに付いていけなくなった時が、集団から千切れる時です。
集団から千切れると、復帰するのはかなり困難です。
普段のトレーニングから高強度インターバルを取り入れると、レース適応能力が高まります。
VO2MAXインターバルについてはこちらの記事を参考に
ZWIFTワークアウトでVO2MAXを高めて速くなる【効果的なVo2maxインターバル5選】