ロードバイクのオーバートレーニング 9つの原因と予防方法
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目次
オーバートレーニングとは
トレーニング>リカバリー=オーバートレーニング
トレーニングには過負荷の原則があります。
今よりも少しだけ高い負荷をかけることで、より強く成長します。
人は負荷によって強くなるのではなく、リカバリーする時に強くなります。
過度の負荷をかけ続けたり、リカバリーが不十分だとオーバートレーニングになります。
オーバーリーチングとの違い
オーバートレーニングと混同されるものにオーバーリーチングがあります。
オーバーリーチングとオーバートレーニングの最も大きな違いは「短期的でコントロールされているか」です。
一週間程度の合宿で毎日追い込むと、後半は疲労が蓄積しパフォーマンスが低下します。
この状態がオーバーリーチングです。
オーバーリーチングは意図的にオーバートレーニングの状態を作っています。
オーバーリーチングは選手自身に自覚があります。
適切なリカバリーによってオーバートレーニングにつながるのを防止できます。
燃え尽き症候群についてはこちらの記事を参考に
バーンアウト(燃え尽き症候群)を防げ!~いつまでも情熱的にレースするために~
①オーバートレーニングの兆候を無視
心拍数・体重の変化は当てにならない
オーバートレーニングの兆候として次の事が言われます。
- 朝の心拍数の変化
- 体重の変化
- トレーニング後に心拍数が下がらない
これらの変化がなくても、オーバートレーニングになる事もあります。
逆に、これらの変化があるのにオーバートレーニングでない事もあります。
重要なシグナルはパフォーマンスとやる気の低下
オーバートレーニングの兆候として最も重要なのは、パフォーマンスとやる気の低下です。
トレーニングパフォーマンスが低下したり、何日もロードバイクに乗る意欲がわかない場合は、オーバートレーニングの兆候があります。
ロードバイクはパワーでパフォーマンスを数値化できます。
パフォーマンス低下は数値で自覚することができます。
やる気の低下は本人しか分かりません。
気持ちが落ち込んでいるのに、無理に奮い立たせるとオーバートレーニングに陥ります。
②急速にロードバイクトレーニング負荷を上げる
ロードバイクトレーニングの負荷は少しづつ上げる
トレーニング負荷は少しづつ上げるようにします。
目標を早く達成するために、一気にトレーニング負荷を上げる事は避けるべきです。
体はロードバイクトレーニングの負荷の急増に対応できません。
少しの過負荷と十分な回復を繰り返すことが大切です。
負荷は定期的に上げましょう。
負荷を増やす目安は下の表の通りです。
週単位の増加量 | 5%~15% |
月単位の増加量 | 10%~25% |
年単位の増加量 | 10%~25% |
適切に負荷を増やすには、長期的な視点が必要です。
初心者や中高年は低いパーセンテージでトレーニング負荷を増やします。
若い人は高いパーセンテージでトレーニング負荷を増やします。
年齢とロードバイクについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクに年齢は関係なし!?中年でも強くなれる5つの秘訣
③ロードバイクトレーニングの負荷が高すぎる
頻度とボリュームのバランス
ロードバイクトレーニングは、高強度で追い込む日とリカバリーの日を設定することが大切です。
高強度トレーニングの頻度は、トレーニングレベルや経験によって変えます。
年齢も重要な要素です。
年齢 | 週あたりの高強度回数 | 週あたりのリカバリー回数 |
20代・30代 | 3日~4日 | 2日~3日 |
50代 | 2日~3日 | 3日~4日 |
60代 | 1日~2日 | 4日~5日 |
トレーニング時間を増やすほどリカバリーが減る
トレーニング時間が多ければ多いほど、リカバリーが必要になります。
しかし、トレーニング時間が増えるほど、リカバリーに費やせる時間は少なくなります。
最も避けるべきなのは、リカバリーを疎かにする事です。
④日常生活のストレス要因が大きい
ストレス要因はトレーニングだけではない
身体的・精神的ストレスはトレーニングによるものだけではありません。
社会生活を送る上で、様々なストレスがかかります。
仕事、学校、家庭などストレスの要因は人それぞれです。
トレーニングストレスとリカバリーのバランスがとれていれば成長します。
ストレスが過多でリカバリーが不十分だとオーバートレーニングに陥ります。
日常生活の様々なストレスは、オーバートレーニングの大きな要因となります。
ストレスを軽減するには良質な食事と十分な睡眠が不可欠です。
睡眠についてはこちらの記事を参考に
⑤自分に不向きなロードバイクトレーニングをする
無理なトレーニングは逆効果
ロードバイクトレーニングは、目標を設定することが大切です。
しかし、その日の体調によっては目標を達成できない事もあります。
目標設定したトレーニング強度が出せないのに、無理にトレーニングしても得るものは少ないです。
トレーニング効果は得られないのに、疲労が蓄積するだけです。
無駄なリカバリーが必要になります。
高強度のトレーニングをする時は、限界の一歩手前で止めることが大切です。
無理に体を動かしても疲労が増すだけです。
自分に向いていないトレーニングをする
人はそれぞれ体質が異なります。
自分の体の特性を把握することが大切です。
トレーニングの適応性や成長スピードは人それぞれです。
結果を出している人のトレーニング内容が自分にも当てはまるとは限りません。
10人いれば10通りのトレーニング方法があります。
一般的なトレーニングプログラムや、他人のトレーニング内容が自分に合っているとは限りません。
⑥トレーニング総量を把握できていない
ロードバイクトレーニングは数値化できる
パワーメーターを使っている場合、ロードバイクトレーニングの量は数値化できます。
筋トレやジョギングなど、別のスポーツもしている場合はトレーニング量の把握が難しくなります。
総トレーニング量を把握できないと、過剰な負荷がかかっている可能性が高まります。
総トレーニング量の把握方法
種類の違うトレーニングの負荷を数値化することは難しいです。
負荷には5つのタイプがあります。
- 期間
- 頻度
- ボリューム
- 強度
- 種類
これらを考慮して、負荷を数値化します。
最も簡単なのは時間で管理することです。
体感的なものをTSSで表して管理することもできます。
TSSについてはこちらの記事を参考に
トレーニング・ストレス・スコア TSSはロードバイクトレーニングの優れた指標だが限界もある!!
色々な種類のトレーニングは効果的
定期的にトレーニング内容を変えることは、体に新し刺激が入るので非常に有効です。
新しいトレーニングは最初の負荷が大きくなります。
新しいトレーニングを取り入れた場合は、週当たりのトレーニング時間を減らします。
筋トレについてはこちらの記事を参考に
⑦リカバリーのバランスと質
リカバリーは最重要課題
トレーニング内容にこだわる人でも、リカバリーを軽視する人がいます。
リカバリーはトレーニング以上に大切な要因です。
トレーニングについて考えるのと同じように、リカバリーについても考えましょう
トレーニングとリカバリーのバランス
トレーニング量に見合ったリカバリー量が必要です。
トレーニング量とリカバリー量のバランスが崩れると、オーバートレーニングになります。
バランスは週単位、月単位、年単位で考えます。
リカバリーの質
トレーニングにより、様々な老廃物が発生します。
老廃物は腎臓に送られ、排泄されます。
高強度のトレーニングをした後は、ゆっくり筋肉を動かして老廃物の排泄を手助けしましょう。
ストレッチやマッサージが有効です。
軽視されがちな睡眠時間
リカバリーで最も重要なのは睡眠です。
十分なリカバリーに必要な睡眠時間は8時間から9時間です。
多くの人は睡眠時間が不足しています。
睡眠は機材のようにコストはかかりません。
時間を確保するだけで、誰でも良質な睡眠が得られます。
⑧栄養不足
ロードバイクトレーニングが終わった直後から、次のトレーニングへの準備が始まります。
素早く栄養を補給して、リカバリーに備えます。
炭水化物がエネルギー源
トレーニング中のエネルギーは脂肪と炭水化物から供給されます。
どんな痩せた人でも脂肪は十分に蓄えられています。
炭水化物の量は限られています。
トレーニング後は十分な炭水化物を摂る必要があります。
炭水化物が不十分だと、慢性的なグリコーゲン不足になります。
炭水化物についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクの補給食をコンビニで調達するなら、糖質を最重視すべき理由
水分補給を十分に
水分補給も大切です。
尿の色が正常になるまで補給しましょう。
脱水についてはこちらの記事を参考に
必要な栄養は食事から摂る
タンパク質、炭水化物、脂質を意識した食事を摂りましょう。
様々なメーカーからサプリメントが販売されています。
バランスのとれた食事をしていればサプリメントは不要です。
ロードバイクと栄養についてはこちらの記事を参考に
⑨オーバートレーニングの知識を高め、予防する
オーバートレーニングの原因は一つではない
オーバートレーニングの原因は一つではありません。
複数の問題が連鎖してオーバートレーニングになります。
少しづつ蝕まれる
オーバートレーニングは少しづつ進行します。
気が付いたときは手遅れになっています。
多くの場合、なぜ自分がオーバートレーニングになったのかすぐに分かりません。
予防に最も効果的なのは、パフォーマンス低下と気分の落ち込みを早期に察知することです。