JプロツアーとはJBCFが主催するプロ選手によるシリーズ戦です。
JCF(日本自転車競技連盟)の構成団体だったJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が2011年に任意団体になりました。
そのタイミングでそれまでのJサイクルツアーからJプロツアーになりました。
Jプロツアーは日本で唯一のプロロードレーサーによるシリーズ戦です。
JBCFはアマチュアロードレーサーも加入しており、306チーム、2542名の登録があります。
アマチュアロードレーサーはジャパンエリートツアー(JET)に参戦します。
JETはE1,E2、E3にカテゴリー分けされ、レースのリザルトにより昇格、降格があります。
JETのE1カテゴリーのレースはアマチュアとして日本最高峰のカテゴリーとなります。
そしてE1の上にプロ選手のレースであるJプロツアーがある構図です。
Jプロツアーには2020年は18チームが参戦し、全16戦(コロナの影響で5戦中止)で戦われました。
レースごとにポイントが与えられ、総合ポイントが最も高い選手がルビーレッドジャージを着用します。
U23選手にはピュアホワイトジャージが与えられます。
JBCFは他にも東日本チャレンジ、西日本チャレンジ、九州チャレンジ、といった未登録選手を対象としたレースも主催しています。
Jプロツアーのレースはアマチュアも参加できるジャパンエリートツアーと一緒に開催されることが多いよ!
JCF、JBCF、Jエリートツアー、Jプロツアーって話がややこしくなってきたよ
要するに、国内プロ選手はJプロツアー、アマチュアはJエリートツアーでレースをしているんだよ
チーム名 | 本拠地 | メインスポンサー |
マトリックスパワータグ | 大阪 | ㈱マトリックスパワタグ |
宇都宮ブリッツェン | 栃木 | MERIDA(ミヤタサイクル) |
KINAN Cycling Team | 和歌山 | 株式会社キナン |
愛三工業レーシングチーム | 愛知 | 愛三工業株式会社 |
Team Ukyo | 神奈川 | 株式会社ゼンリン 横浜ゴム株式会社 |
TEAM BRIDGESTONE Cycling | 静岡 | BRIDGESTONE |
那須ブラーゼン | 栃木 | 藤和那須リゾート株式会社 株式会社リクルートライフスタイル |
Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team | 神奈川 | Hincapie LEOMO |
弱虫ペダルサイクリングチーム | 茨木 | 弱虫ペダル |
eNShare Rcaing Team | 広島 | 丸善製薬株式会社 |
レバンテフジ静岡 | 静岡 | ミヤタサイクル |
さいたまディレーブ | 埼玉 | |
シマノレーシング | 大阪 | 株式会社シマノ |
イナーメ信濃山形 | 長野 | ㈱シュポン・ラボ サンボルト㈱ ㈱IBS ㈱ディッセターレ |
稲城FIETSクラスアクト | 東京 | 株式会社クラスアクト |
VICTOIRE広島 | 広島 | |
群馬グリフィンレーシングチーム | 群馬 | Win&WIN株式会社 |
VC福岡 | 福岡 | 福岡トランス株式会社 株式会社イシバシ |
なるほどね~
それで、JCLってなに?
JCLはJプロツアーとは全く別のサイクルロードレースリーグとして来年2021年から始動するよ!
Jプロツアーじゃダメなの?
JCLの基本理念は「地域創生」
チーム、自治体、JCLの三者連携でリーグを構成するのがJプロツアーとの違いだね
Team Ukyo SAGAMIHARA | さいたまディレーブ | VICTOIRE広島 |
宇都宮ブリッツェン | レバンテフジ静岡 | VC福岡 |
那須ブラーゼン | KINAN Cycling Team | スパークルおおいた |
JCLはJプロツアーとは全く別のサイクルロードレースリーグとして2021年に発足します。
キーワードは「自転車を通じた地方活性化推進」
地域密着型チームにより構成され、ホームチーム、自治体、JCLの三者連携でリーグを盛り上げていきます。
OITAサイクルフェス!!など地方自治体と連携した大会を目指しているんだね!
2021年1月に19チーム目として新チームスパークルおおいたの参戦が発表されました!
JCL参加チームについてはこちらの記事を参考に
スパークルおおいたについてはこちらの記事を参考に
レースは生中継される予定です。
YOU TUBEで中継されるよ!
チェアマンは片山右京氏。
代表取締役は廣瀬佳正氏。
片山右京氏は元F1ドライバー。
1992年から1997年までF1に参戦した伝説的ドライバーです。
本格的な自転車との関りは2009年。
宇都宮ブリッツェンが発足した当初からチーム立ち上げに関わっています。
2010年には宇都宮ブリッツェンの選手としてジャパンカップに出場しています。
2012年に自らのチームであるTeamUkyoを立ち上げ、Jプロツアーに継続参戦しています。
2018年から2020年までJBCF理事長に就任し、Jプロツアーの中心人物でした。
抜群の知名度と人脈を活かしたスポンサー獲得も素晴らしく、TeamUkyoのジャージにはゼンリン、横浜ゴム、吉野家、スバルといった日本を代表する一流企業が名を連ねています。
元F1ドライバーの人脈を活かしたスポンサー獲得は他の自転車選手には真似できないね
新チームの立ち上げやJBCF理事長経験など、自転車業界とも深く関わっているよ
会場でも気さくにファンと交流している姿をよく見かけるよ!
廣瀬佳正氏は宇都宮市出身の元プロロード選手。
全日本選手権U23タイムトライアル優勝を経てブリジストンアンカー、シマノレーシングに所属。
2008年に自ら企画し宇都宮ブリッツェンを立ち上げた後は選手兼監督として走ります。
2012年からは宇都宮ブリッツェンのゼネラルマネージャーとしてチームを率いています。
廣瀬氏は現役選手時代から宇都宮ブリッツェンの立ち上げを企画立案するほどバイタリティ溢れた人物。
宇都宮ブリッツェンを10年以上も盛り上げるとは凄い!
じゃあ、JCLは順風満帆だね!
ところが、心配なところもあるよ・・・
参加チームが少ない!
参加チームをもう一度よく見てみると、マトリックスパワータグ、愛三工業レーシングチーム、TEAM BRIDGESTONE Cycling、弱虫ペダルサイクリングチーム、シマノレーシングといったチームの名前がありません。
これらのチームは今のところ引き続きJプロツアーに参戦する予定です。
JBCFの2021年は、「原点回帰」で「継続、拡大、向上」を基本方針に掲げ、これまでの規程や企画運営は基本的に継続し大きな改変は致しません。選手ファースト精神のもと各ツアーにおける価値の向上、強化、選手育成を主体とした運営でオリンピックへと続く道筋を示してまいります。
JBCF「お知らせ」
2019年のトップ6チームのうち4チームがJCLに参加しないというのは痛手です。
特にマトリックスパワータグは2017年、2019年、2020年チャンピオンチームです。
Jプロツアーは国内トップの18チームで争う面白さがあったのですが、それが二分割されてしまいます。
トップチームが参戦しないと魅力が半減だね・・・
アマチュアとの交流がない
JCLはプロチーム単独でリーグ戦をしますのでJプロツアーのようにアマチュアレースと併催しません。
アマチュアレースを応援に来たお客さんがJプロツアーを見てその魅力に気付くという形があったのですが、JCLにはそれがありません。
まだまだ日本ではマイナー競技であるサイクルロードレースをJCLだけで集客するのは大変な作業です。
E1昇格を目指してエリートツアーに参加しているアマチュア選手は引き続きJBCFに加入するのでJプロツアーを観戦する機会が多いと思うよ!
※追記:JCLホビーロードレース事務局よりホビーレースも併催されることが発表されました。
JCLホビーロードレースは、JCLの市民向けロードレースシリーズとして、JCL大会コ
ースを使用した併催レースや、各地サーキットコースを使用したエンデューロレース、
またヒルクライムレースを開催してまいります。
サイクルロードレースのプロスポーツとしての発展をプロレースが担うのに対し、JCL
ホビーロードレースは、自転車競技者の裾野を広げていく事を目的とし、ホビー(趣
味)或いは健康増進の為にスポーツサイクルを活用している“サイクリスト”など、幅広
い層がご家族や仲間と共に気軽に参加できる場を作ります。
レース運営への不安
レース運営にも不安が残ります。
サーキット場や広島森林公園など施設を貸し切って開催する場合はともかく、公道レースを行う場合は運営員の技量が問われます。
JプロツアーはJBCFからほぼボランティアで運営員を派遣できましたが、JCLにそれができるのか?
レース運営の裏方は選手以上に大変です。
JCLの役員は元JBCFなのでそんなことは百も承知でしょうが、軌道に乗るまでは相当な苦労があると思います。
自転車レースは開催するまでが大変だものね
団体が分裂したり独立するのはどのプロスポーツにもあることです。
プロレス団体などは分裂と統合の歴史で、ファンはそれも含めて楽しんでいます。
プロレスは団体や選手間のごちゃごちゃが楽しいんだよね~
プロバスケットボールの歴史
今のプロロードレースの状況を見ていて思い出されるのがプロバスケットボールの変革です。
バスケットボールチームは元々は企業がチームを持つ実業団形式でした。
陸上長距離チームと同じイメージです。
ところが、スラムダンクが流行ったことやアメリカのマイケル・ジョーダンといったNBAの盛り上がりを受け、日本でもプロ化の話が持ち上がりました。
マンガきっかけの盛り上がりって弱虫ペダルを思い起こすね!
その流れを受けてJBL(日本バスケットリーグ)が設立されました。
JBLは立ち上がりましたが、実業団チームはプロ化を嫌がりました。
現状維持を選択したのかな?
JBLの分裂
プロ化を望む派閥とプロ化したくない派閥にJBLが分かれてしまい、結局2チームがJBLを飛び出し、bjリーグを立ち上げます。
bjリーグは地域密着型チームとして地道に活動を続けますが、JBLはbjリーグの選手を世界選手権に出場できなくする、などの嫌がらせをします。
結局プロ化しなかったJBLですが、赤字体質に陥り、協会費の相次ぐ値上げを敢行します。
他にも運営上の不手際が表に出てきて、会員から猛反発が出ます。
JBCFに似てきたような・・・
JOCからも資格停止処分を受け、世界選手権やオリンピックに出場できないという異常事態が発生します。
2団体の統合
一方のbjリーグはショービジネス路線に変更し、ハーフタイムでショーを取り入れるなどビジネスとして成功していきます。
瀕死状態のJBLを改革したのは日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏でした。
川淵氏はJBLとbjリーグの統合を目指して独裁的ともいえる手腕を発揮します。
そしてソフトバンクと100億円超のスポンサー契約を締結し新リーグであるB.LEAGUE(Bリーグ)を立ち上げます。
B.LEAGUEはエンターテインメント性の高い演出と高い集客力によりバスケットボールを盛り上げているのはご存じの通りです。
JCLはオープン戦も計画しています。このオープン戦はJCL以外のチームも参加するとありますので、JBCF加入チームと全く関わらないということではないようです。
Jプロツアーのチームが一緒に走る可能性もあるのか~
JCLのもう一つ楽しみなところは育成チームの保有義務です。
【育成方針】
JCLホームページより
JCL加盟チームは3年以内にジュニアチーム、ジュニアユース、U23、女子チームいずれかの下部育成チーム
の保有を義務付けております。下部組織チームの活動する場所におきましては、公益財団法人日本自転車競技
連盟(JCF)の加盟団体である各都道府県車連様、全日本実業団自転車競技連盟様の大会へ参加する事を予定
しており、JCFを中心とする日本の自転車競技の発展に積極的に参画してまいります。
今年のインカレは男女ともに高校生が優勝!
ジュニアのレベルは上がってきているから楽しみだね
そしてJCFとの連携について書かれていることも注目だね!
JCLに期待するところや不安なところ、色々ありますが、私たちファンが望むのは日本のサイクルロードレース活性化です。
大きな改革に痛みはつきもの。
サイクルロードレースの未来のためJCLに期待します!
一番の応援はJCLに関心をもつこと!
みんなで応援しよう!!
2021年2月24日にJCLのタイトルスポンサー及び資本パートナーに三菱地所株式会社を迎えることが発表されました!
株式会社ジャパンサイクルリーグ(以下「JCL」という。)は、JCL による新たなロード
レースリーグであるジャパンサイクルリーグ(以下「新リーグ」という。)のタイトルス
ポンサー及び資本パートナーとして、三菱地所株式会社(以下「三菱地所」)をお迎えし
たことを発表致します。
三菱地所株式会社は三菱グループの中核企業です。
不動産業界では三井不動産に続く2位の位置にいます。
大きなスポーツへの協賛として2014年体操日本代表「体操ニッポン」オフィシャルスポンサーとなっています。
2019年ラクビーワールドカップ日本大会オフィシャルスポンサーとなっています。
ラクビーについては2020年からラクビー日本代表オフィシャルスポンサーとなっています。
ロードレースは「体操」「ラクビー」に続くオフィシャルスポンサーとなるよ!
2019年に全日本選手権ロードが開催された富士スピードウェイとも関係が深いです。
三菱地所は2000年11月までは富士スピードウェイ株式会社の株式の80%を保有していました。
2000年11月以降も31%の株式を保有しています。
三菱地所がタイトルスポンサーになったことによりJCLのレースは「三菱地所JCLロードレースツアー」となります。
三菱地所が単年契約するとは考えにくいよ。
おそらく複数年に渡ってタイトルスポンサーに就くと予想されるね!
2021年3月27日、28日に開幕したJCL!
開幕戦で色々なことが見えてきたよ!
どんなこと?
YouTubeライブがハイクオリティ
サイクルロードレースファンが最も驚いたのはYouTubeライブがハイクオリティなことです。
映像関係者やYouTubeライブ専門業者約20名が携わった中継は圧巻の一言でした。
バイクカメラやカメラ台を組んだ固定カメラ、ドローンからの映像を巧みにスイッチングして中継しました。
映像はとても美しく、スリリングでした。
実況、解説が付くことでロードレースを初めてみる視聴者でも十分に楽しめる配信でした。
JCLのYouTubeライブ中継についてはこちらの記事を参考に
JCLプロロードレースツアー開幕戦大成功!圧巻のYouTubeライブ!!
無線使用可能
開幕2連戦は無線の使用が許可されていました。
賛否両論ある無線使用ですが、今後のレース全てに許可されるかは分かりません。
今後予定されているツールド熊野などステージレースでは各チームの無線戦略が勝敗を分けるかも知れません。
ゼッケン番号が固定で分かりやすい!
JCLはシーズンを通して各選手のゼッケン番号が固定されます。
最も東に本拠地を置く那須ブラーゼンが「1」。
最も西に本拠地を置くスパークルおおいたが「13」です。
例えばスパークルおおいたの黒枝士揮選手はチーム内番号が「1」です。
ゼッケン番号はチーム番号「13」+「1」で「131」になります。
一年を通して同じ番号なので選手を識別しやすい工夫がされています。