ロードレース当日に最高のパフォーマンスを発揮するには、テーパリングが必要です。
テーパリングとは、徐々に疲労を抜き最高のコンディションを作り上げることです。
テーパリングは主に2種類の方法があります。
レース前にトレーニング量を大幅に上げ、その後に休息期間を作るのが「超回復理論」です。
「疲労は早く低下するが、パフォーマンスはゆっくり低下する」という特徴を利用したのが「フィットネス理論」です。
以前は、超回復理論に基づくテーパリングが行われていました。
現在は、フィットネス理論に基づくテーパリングが主流です。
失敗しないテーパリングのために、先ずはこれらの理論を理解することが最も重要です。
「超回復理論」と「フィットネス理論」についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイクのテーパリング】メカニズムと実践法を知ってレースで最高のパフォーマンスを発揮する方法
勘や経験に頼った方法で、運よく最高の体調でロードレース当時を迎えることもあります。
しかし、同じ方法で次も上手くいくとは限りません。
勘や経験に頼った方法は、再現が難しいためです。
テーパリングは、トレーニングの期間、量、強度を調整することです。
テーパリングは理論に基づいて、再現性のある方法を選択することが重要です。
ロードバイクのパワートレーニングを行っている人の多くが、トレーニングピークスなどの解析ソフトを利用しています。
パワートレーニングでは疲労をATL、パフォーマンスをCTL、調子をTSBで表します。
トレーニングピークスでは、疲労をFITNESS、パフォーマンス(体力)をFATIGUE、調子をFORMで表します。
ロードレース当日に最高のパフォーマンスを発揮するには、徐々に疲労を抜き調子を上げる必要があります。
ATL、CTLとTSBの関係についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクでパワートレーニング CTL・ATL・TSBでパフォーマンス管理
ロードレース当日に最高のパフォーマンスを発揮することが理想ですが、最も避けるべきなのはテーパリングの失敗です。
テーパリングが失敗すると、体調不良のままレース当日を迎えることになります。
スタート前から体が重い状態だと、心理的にも負担が大きく望んだ結果を得ることはできません。
テーパリングは成功することよりも、失敗しないことを重視します。
失敗を避けるためには、「フィットネス理論」をしっかりと理解し、実践することが大切です。
レースの数週間前に限界まで追い込んで、その後に疲労を抜く「超回復理論」を実践する人もいます。
この方法は、科学的根拠に乏しく失敗する可能性の高い方法です。
「超回復理論」でもピーキングに成功し、ロードレースで良い結果を残せる場合もありますが再現性は低いです。
「超回復理論」は追い込んでから回復する過程で、疲労が抜けるので調子が上がっているように錯覚します。
疲労が抜ける感覚と、調子が良いと感じる感覚は似ています。
しかし、実際は疲労が抜けるだけで調子がピークなる訳ではありません。
また、「超回復理論」は疲労が抜けきらないままレース当日を迎える可能性があります。
「フィットネス理論」を使ったテーパリングは、この失敗を避けることができます。
ピーキングは、ロードレース当日に自分の能力を最大限に発揮する方法です。
ピーキングをする前に、自分の能力を最大限に引き上げておく必要があります。
トレーニングが不足しているのに、ピーキングを行ってもパフォーマンスは低下していしまいます。
持っている以上の力を発揮することはできません。
自分の能力を引き上げるトレーニングは数週間ではなく、数か月は必要です。
トレーニングが体に及ぼす影響はマイナス要因である疲労と、プラス要因であるパフォーマンスという2つの要素があります。
トレーニングが不足していると、疲労が低いレベルにあります。
疲労が低いレベルでテーパリングを行うと、パフォーマンスは低くなります。
マイナス要因である疲労は、テーパリング前にしっかりと蓄積させる必要があります。
もしトレーニングが不足した状態でロードレース当日を迎える場合は、テーパリング方法を変える必要があります。
方法は2つです。
テーパリング中は負荷を4割から6割減らします。
もしトレーニングが不足している場合は、減らす割合を2割から4割にします。
ロードレースが近づいているのに調子が良くならず、焦ってトレーニン量を増やす場合があります。
この方法は、かえって調子を下げてしまい失敗する可能性が高くなります。
調子が上がらない要因は次の2つが考えられます。
どちらの場合も、テーパリング中の負荷を調整することで対応します。
トレーニング量が不足している場合は、テーパリング中の減らす負荷の割合を2割から4割にします。
トレーニング量が多すぎる場合は、テーパリング中の減らす負荷の割合を6割から8割にします。
トレーニング量が不足している場合は、ロードレースに対する準備が不足している状態です。
テーパリングによって準備不足を補うことはできません。
トレーニング量が多すぎて調子が上がらない場合は、疲労を抜くことに専念します。
トレーニング量が多すぎる状態は、燃え尽き症候群につながります。
レースの結果が伴わないと、心理的ダメージも大きくなります。
燃え尽き症候群についてはこちらの記事を参考に
バーンアウト(燃え尽き症候群)を防げ!~いつまでも情熱的にレースするために~
テーパリングの理想は、ロードレース当日に体調のピークを迎えることです。
ロードレース当日よりも早く体調のピークを迎えた場合は、体力が低下していきます。
体力の低下を防ぐためには、疲労を増やす必要がありますが調子が低下してしまいます。
ピークのタイミングが早くなりすぎる要因は次のことが考えられます。
テーパリング期間を適切に設定し、徐々に疲労を抜くとピークを合わせやすくなります。
ピークのタイミングが早く来すぎる失敗は「超回復理論」で、多く見られます。
トレーニングピークスなどの解析ソフトを使えば、ピークをロードレース当日に合わせることができます。
トレーニングの予定を解析ソフトに入力することで、調子を予測できるためです。
テーパリングは、自分の能力を最大限に引き出す方法です。
テーパリングによって、自分の能力以上の力を発揮することはできません。
テーパリングによる能力の向上は平均で3%です。
最も重要なのは、毎日のトレーニングです。
テーパリングは最後の仕上げです。