SIT(スプリント・インターバル・トレーニング)は、最大パワーのスプリントと長時間のレストを組合わせたトレーニングです。
最大パワーでスプリントした場合は、次のセットまで2分から5分のレストが必要です。
SITは、以前は競輪選手など限られた短距離選手のみに必要と考えられていました。
SITの目的は、解糖系を含む無酸素性エネルギー供給能力の向上です。
スプリントのエネルギー供給源は主に次の3つがあります。
SITは、②と③の解糖系エネルギー供給能力と有酸素性エネルギー供給能力両方を向上させる効果があります。
ミトコンドリアのエネルギー産生に関わる酵素を活性化させます。
①のATP-CP系についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】クレアチンリン酸を増やし、繰り返されるアタックやゴールスプリントに勝てる体になる方法【反復スプリント】
ロードレースだけでなく、陸上長距離選手なども積極的にSITを取り入れています。
ミトコンドリアについてはこちらの記事を参考に
ミトコンドリアを増やすとロードバイクが速くなる理由と効率的なミトコンドリアの増やし方
SITと混同されるのがHIIT(High Intensity-Interval Training)です。
HIITとは、高強度インターバルトレーニングです。
SITと同じように強度の高いインターバルを繰り返しますが、レストの時間が短いのが特徴です。
SITとHIITは別のトレーニングです。
HIITは高強度インターバルですが、SITよりも最大パワーが低いです。
HIITは、30分から45分のトレーニングを想定しているためです。
HIITは、ワークアウト中は常に心拍数の高い状態をキープします。
レストを短くして、高い心拍数を維持することでトレーニング効果を上げる狙いがあります。
SITの最大パワーを10とすると、HIITは6から8の範囲になります。
SITとHIITはどちらが効果的かという問題ではありません。
どちらも優れたトレーニングであり、目的が異なります。
HIITについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】タバタ式・HIITのやり方・メリット・デメリットと5つのZWIFTワークアウト
SITは30秒前後の全力スプリントと、2分間から4分間のリカバリーを組合わせます。
インターバルの本数は4セットから6セットです。
各セットは、全力のスプリントで行います。
最大パワーを落とすと、HIITになってしまいます。
SITで重要なのは、スプリントの時間とレストの間隔です。
SITの目的は、解糖系を含む無酸素性エネルギー供給能力の向上です。
スプリントを10秒間、30秒間、45秒間で比較した場合、10秒間は最も効果が低くくなります。
10秒間のSITは、有酸素性能力向上の効果も低くなります。
一方、30秒間と45秒間はどちらも効果が確認されています。
レストの時間を4分間と20分間で比較した場合は、4分間が効果的でした。
4分間のレストでインターバルをすると、1本目以降は最大パワーが下降していきます。
20分間のレストでインターバルすると、1本目以降も最大パワーを維持することができます。
しかし、20分間のレストでは、ミトコンドリアのエネルギー産生に関わる酵素の1つであるクエン酸合成酵素の活性化を改善できませんでした。
これらのことを考えると、SITは20秒間から45秒間の全力スプリントを4分間のレストを挟んで4本から6本行うのが適切となります。
ベーシックなSITワークアウトです。
20秒間のフリーライド+3分40秒間のレストです。
20秒間のフリーライドは余力を残すことなく、全力で脚を回します。
SITはHIITとは異なり、全力スプリントで行います。
回復の時間が十分にあるので、限界まで追い込みましょう。
ゼットの後半はパワーが落ちてくるはずです。
心拍数も併せて計測すると、自分の回復力も分かります。
ZWIFTでできるHIITについてはこちらの記事を参考に
【HIITトレーニングでロードバイクが速くなる】30-30インターバルの効果とZWIFTワークアウト5選
20秒間FTP200%を10セット行います。
セット間のレストは3分間です。
フリーライドとは異なり、パワーの上限が決まっています。
ERGモードを使う事で、設定パワーを自動的にクリアーできます。
ZWIFTのERGモードは、セットが始まる3秒前からパワーをかけるとスムーズに上げることができます。
スプリントワークアウトについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】スプリント強化トレーニング法とZWIFTワークアウト5選
FTPの2.5倍で20秒間追い込みます。
セット間のレストは4分20秒間です。
全体で45分間のワークアウトですが、オンの時間はわずか100秒です。
セットの20秒は全力で取り組みましょう。