「筋の硬さ」は「筋肉が張っている」「柔らかい筋肉」などと表現されます。
「関節可動域」は体が柔らかいなどと表現されます。
両者は似ているようですが、別の話です。
筋の硬さは筋肉そのものの硬軟です。
トレーニング、年齢、性別の影響も受けますが、遺伝的要素も大きいです。
関節可動域は肩、膝など、関節の運動範囲のことです。
関節可動域はストレッチングなどで改善することが可能です。
関節可動域(ROM)についてはこちらの記事を参考に
健康にロードバイクトレーニングしたい!!関節可動域(ROM)の話
筋の硬さはトレーニング歴や年齢などによって変化します。
筋肉の硬さは指圧などで測ることができます。
筋の硬さは、短軸方向と長軸方向があります。
指圧で測るのは短軸方向の硬さです。
筋肉に指を押し込む事で、短軸方向の柔らかさが分かります。
指で測るので、脂肪の厚さや測定者の主観的な影響を受けます。
短軸方向の硬さは、筋肉の凝りや張りを評価できます。
長軸方向の硬さは、超音波装置を使って測定されます。
筋の硬さを客観的に測定するには、押圧型筋硬度計や超音波エラストグラフィなどの測定器が必要です。
専門機関での測定が必要なので、一般的には難しい方法です。
男性は、年齢によって筋の硬さが変ることはありません。
若年層と中年・高年の筋の硬さは同じです。
女性は年齢が上がると、筋が硬くなる傾向があります。
筋は厚いほど柔らかくなります。
女性は、年齢が上がると筋厚が薄くなるのが筋が硬くなる原因とする説もあります。
若年層では、性別による筋硬度の違いはないとされています。
年齢が上がると、女性の方が筋が硬くなります。
加齢によるトレーニングについてはこちらの記事を参考に
肉離れなどの筋損傷は、短軸方向ではなく長軸方向の硬さ伸びにくさの影響を受けます。
筋が伸びにくいと感じたら、筋損傷の前兆かも知れません。
長軸方向の硬さは超音波装置を使って測定されますが、体感することも可能です。
短軸方向の硬さは、局所的な筋硬度の変化を表します。
筋肉を指で押したときに、局所的に硬い部分をトリガーポイントと呼びます。
指で押すと、トリガーポイントだけが痛み、硬くなります。
トリガーポイントは局所的に筋収縮がとれていない状態で、広範囲にわたることは少ないです。
トリガーポイントは、ストレッチングにより改善することが可能です。
トリガーポイントのほぐし方についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイクの最適ストレッチ】フォームローラーで驚くほど体を柔らかくする方法
筋の柔らかさはトレーニングの影響もありますが、遺伝的要素もあります。
短距離選手は速筋繊維は多いです。
良い成績を出す短距離選手の筋は硬い傾向があります。
短距離選手は硬い筋の選手の方がタイムが良いと言えます。
長距離選手は遅筋繊維が多いです。
長距離選手は柔らかい筋の選手の方がタイムが良いです。
筋が柔らかい方が良いか、硬い方が良いかは競技特性によります。
筋肉は、伸び縮みすることでバネの役割を果たします。
「バネのある選手」などの表現は、筋の縦軸方向の硬さに基づいています。
硬い筋は、硬いバネの役割を果たします。
瞬発性の高い硬い筋肉は力伝達力に優れています。
速筋・遅筋についてはこちらの記事を参考に
筋タイプを知ってロードレースに勝つ方法 速筋・遅筋を徹底解説
ハードなトレーニングの後は、筋肉痛と筋の硬化があります。
筋肉痛は、安静時に痛みがなく、動かした時のみ痛みがあるのが特徴です。
筋肉痛についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクによる筋肉痛の原因・予防・トレーニング再開のタイミング
筋の硬化は、次のような特徴があります。
①は、トレーニングにより損傷した筋が短縮している状態です。
②はハードなトレーニングによって損傷した筋が腫脹(はれ)しているのが原因です。
①は、ストレッチングにより4日以降に改善します。
①は長軸方向の伸展を妨害している
②は短軸方向の腫れです。
ストレッチポールなどにより、ほぐすことができます。
トレーニング後は筋内水分量が増加し、筋内圧の増加するので筋硬度が変化するという説もあります。