ロードバイクでトレーニングする時の目的は、人それぞれです。
レース指向の人は、ほんの少しでもワットを上げるために様々な努力をします。
トレーニング機材やトレーニング方法に気を配る人でも、日常の栄養には無頓着な場合があります。
ロードバイクで最高のパフォーマンスを発揮するには、日常の食事が重要です。
ロードバイクが速くなるための食事についてはこちらの記事を参考に
食事の中でも、ビタミンやミネラルは軽視されがちな栄養素です。
ビタミンやミネラルは微量栄養素と呼ばれます。
各メーカーから様々なサプリメントが販売されていますが、微量栄養素を人工的に適正に摂取するのは困難です。
ビタミンやミネラルは摂取目安がありますが、不足しているかどうかが分かり難いです。
短期的な不足で体調不良になることはありません。
長期的な不足で体調が悪くなることがありますが、ビタミンやミネラルの不足と断定することは困難です。
毎日の摂取量を正確に知ることも難しいです。
ビタミンは同じ食材でも、調理法や食材の鮮度により摂取量が大きく異なります。
ビタミンやミネラルが不足しない方法は、色々な食材をバランス良く食べることです。
ビタミンやミネラルは、タンパク質や糖質のように効果が分かり難いので軽視されがちです。
ビタミンやミネラルは、必要量は微量ですがケガの予防や筋肉の成長に必須の栄養素です。
ビタミンは、筋収縮やエネルギー代謝に関係します。
筋肉についてはこちらの記事を参考に
筋タイプを知ってロードレースに勝つ方法 速筋・遅筋を徹底解説
ミネラルは、解糖系や筋収縮に関係します。
ビタミンやミネラルは、微量栄養素と呼ばれ体の維持に不可欠です。
通常の食事をしていれば、ビタミンやミネラルは必要量を摂取できます。
ただし、ビタミンDや鉄分は不足している可能性があります。
適正な食事をしていれば、ビタミンやミネラルのサプリメントは不要です。
現在は、多くのサプリメントが市販されています。
サプリメントの多くは、パフォーマンス向上や疲労回復を謳っています。
自分の置かれた状況次第では、サプリメントを活用することでビタミンやミネラルの不足を補えます。
サプリメントは非常に手軽に摂取できますが、適正量を摂るのは高度な知識が必要です。
ロードバイクに乗り、普段から通常の食生活をしている場合は、ビタミンの不足はあまり起こりません。
ロードバイクに乗っているからと言って、普通の人よりビタミンを多く摂る必要もありません。
ビタミンDと鉄分などのミネラルは、発汗などにより不足する可能性があります。
脱水についてはこちらの記事を参考に
ビタミンやミネラルは摂取の適正量があります。
適正量を超えて過剰摂取しても、効果が増すことはありません。
過剰摂取は、適正量を摂取するよりも効果が劣ることもあります。
ビタミンやミネラルの不足が、すぐにパフォーマンス低下を招くことはありません。
短期間の摂取不足は、酵素の不活性化や栄養濃度の低下を招きます。
しかし、身体的なパフォーマンス低下はさらに時間が経った後に現れます。
ビタミンやミネラルの不足は、皮膚や眼など外観から分かる場合もあります。
パワー測定でベストな値が出ない場合もあります。
数週間程度のビタミン不足がパフォーマンス低下を招く可能性は低いです。
日常的にビタミンが不足している場合は、パフォーマンス低下を招きます。
ミネラル不足は、パフォーマンス低下を招く可能性があります。
鉄欠乏は持久力に悪影響があります。
亜鉛の不足は最大酸素摂取量の低下を招きます。
持久力についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクの有酸素能力を最大限に引き上げるZ2トレーニング徹底解説
ビタミンB群には、ビタミンB1、B2、B6が含まれます。
ビタミンB群は8種類のビタミンがあります。
ビタミンB群は、筋代謝やパワー出力に関係します。
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換する過程に関係します。
ビタミンB2は、脂質をエネルギーに変換する過程に関係します。
ビタミンB6は、アミノ酸の分解や吸収に関係します。
糖質についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクの糖質補給量=酸化速度が最大かつ胃腸の不快感がない量
脂質についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイクと食事】ロードレーサーにとって「良い脂質」「悪い脂質」 脂質を知れば速くなる!
ビタミンB群は、レバーや豚肉に多く含まれます。
脂の少ない肉はビタミンB群を多く含む傾向があります。
特にレバーは、ビタミンB群を多く含むので、積極的に摂取すべき食品です。
植物では、バナナ、さつまいも、玄米などに多く含まれます。
ビタミンB群の必要量は下の表のとおりです。
ビタミンB1 | 1.1mg |
ビタミンB2 | 1.2mg |
ビタミンB6 | 1.1mg |
ビタミンB12 | 240㎍ |
ビタミンB群が数週間の期間でわずかに不足しても、パフォーマンスが明らかに低下することはありません。
複数の研究でスポーツ選手を3週間程度、ビタミンB群を不足した状態にしてもパフォーマンスは低下しませんでした。
長期間の不足は、手足に力が入りにくくなり神経症状が出ます。
リカバリーについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】科学的根拠のないリカバリーライドと効果のある完全休養のどちらをするべきか
ビタミンB1のサプリメント摂取によるパフォーマンス向上効果はありませんでした。
ビタミンB2サプリメントの摂取により神経系機能の改善があるとする研究もありますが、否定する結果もあります。
ビタミンB6サプリメントの摂取は、成長ホルモンの分泌を促進する可能性があります。
ビタミンB1とB2は過剰摂取しても、有害性はあまりありません。
ビタミンB6の過剰摂取は、感覚神経障害を起こすことが知られています。
長期的にサプリメントを摂取する際は、注意が必要です。
ビタミンDは、日光を浴びることで皮膚で合成することができます。
皮膚からの合成の他に、食品から摂る必要もあります。
ビタミンDは骨代謝に関係します。
ビタミンDは健康な骨の発達に欠かせない栄養素です。
ビタミンDはカルシウムの吸収率を増加させます。
骨粗鬆症の治療に使われます。
ビタミンDは筋修復との関係性も示唆されています。
骨についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクばかり乗っていると骨がもろくなるって本当?ロードバイクトレーニングと骨密度の関係
ビタミンDの必要量は8.5㎍です。
ビタミンDはサンマやアジなどの、脂質の多い魚類に多く含まれます。
卵やレバーなどにも、魚類ほどではないものの、多く含まれます。
植物では、キノコ類に多く含まれています。
多くの人がビタミンDの摂取量が不足しています。
肉類が食事の中心で、魚を食べない人は注意が必要です。
ビタミンDが不足すると、疲労骨折のリスクが高まります。
疲労骨折の予防には、ビタミンDとカルシウムの摂取が必要です。
ロードバイクなど、激しい運動をすると体内のビタミンD濃度が上下します。
ロードバイクは屋外スポーツなので、皮膚からのビタミンD合成が促進されます。
ZWIFTなど、インドアトレーニング中心の人は積極的に紫外線を浴びる必要があります。
ZWIFTについてはこちらの記事を参考に
ビタミンDは、食事から積極的に摂る必要のある栄養素です。
サプリメントによる過剰摂取は、注意が必要です。
ビタミンDの過剰摂取による中毒症状が起こる事は、通常ありません。
しかし、ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症や高カルシウム尿症につながります。
あまりにも過剰に摂取した場合は、麻痺を引き起こすことがあります。
ビタミンDサプリメントの摂取と、パフォーマンス向上の関係性は不透明です。
最適な鉄状態を維持するのは、ロードバイクに非常に重要です。
鉄は、酸素運搬やエネルギー産生と大きな関係があります。
鉄はその他にも、感染に対する抵抗値の増加作用などがあります。
人は体内で鉄を作る事ができません。
鉄は、食事から摂る必要があります。
女子長距離選手は、鉄分不足のリスクが高いです。
性別を問わず、ロードバイクなどの持久系スポーツは全て鉄欠乏のリスクがあります。
体内に鉄が十分にある状態では、鉄の吸収率は低くなります。
逆に、鉄が欠乏した状態では吸収率が高くなります。
鉄は野菜、牛乳、卵などに含まれる非ヘム鉄と、肉に含まれるヘム鉄に分かれます。
非ヘム鉄がタンパク質に結合していないのに対して、ヘム鉄はタンパク質と結合しています。
非ヘム鉄は吸収率が低く、ヘム鉄は吸収率が高いです。
ヘム鉄は、赤身肉や魚に多く含まれています。
肉の色は、主に鉄の含有量で決まります。
赤肉ほど、鉄が多く含まれる傾向にあります。
非ヘム鉄は、小松菜などの野菜に含まれています。
ひじきは以前は鉄が多く含まれている食品とされていました。
現在では、ひじきの加工工程が変化したため鉄が多く含まれる食品ではなくなりました。
タンパク質についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクが速くなるためにプロテインは本当に必要!?タンパク質の摂り方とその根拠
鉄の必要量は男性で10mg、女性で18mgとされています。
鉄は、トレーニング強度や発汗量により必要量が大きく異なります。
鉄は、酸素運搬のための必須栄養素です。
鉄は、エネルギーを産生するミトコンドリアへの酸素拡散を促進します。
体内の鉄の60%から70%は、酸素を運ぶ役割のヘモグロビンと結合しています。
鉄が不足すると、VO2MAXが低下します。
疲労までの時間が短くなります。
筋代謝や免疫力が低下します。
ロードバイクなどの激しい運動は、発汗を伴うため、鉄が欠乏しやすくなります。
高強度インターバルも鉄欠乏の要因となります。
鉄が欠乏していない人は、鉄サプリメントの摂取は効果がないため不要です。
体が鉄欠乏の状態の人は、鉄サプリメントの摂取が有効です。
体が鉄欠乏の状態の場合、食事で改善するには数年必要であり有効ではありません。
鉄サプリメントの摂取量は、どの程度鉄が不足しているかによるので一概に言えません。
鉄の過剰摂取は、体に弊害があります。
過剰に摂取された鉄は、臓器に沈着します。
沈着した鉄は、臓器に損傷を起こします。
適正量をサプリメントで補うには、血液検査が必要です。
病院で処方されるビタミン剤や鉄剤などは、保健薬に分類されます。
保健薬は医薬品です。
品質、有効性、安全性のエビデンスが明確で、一般的なサプリメントとは大きく異なります。
入手の容易なサプリメントは、疾病の利用や予防の効果を表示することができません。
食薬区分なので、強い効果のある成分を配合することもできません。
一般的に市販されているサプリメントは、保健薬のような強い効果は期待できません。
ビタミンやミネラルは不足しているかどうかが判断しにくいです。
明らかに不足していて、体に症状が出ている場合は効果の強い保健薬を使うことができます。
ロードバイクのトレーニングに取り組んでいる人は、食事に気を配っている場合が多いです。
バランスの良い食事を心がけていれば、ビタミンやミネラルが不足している可能性は低いです。