パワー・スピード・プロフィールは上りや平坦の強さを数字で表すことができるよ!
広く使われているパワー・プロフィール
広く使われているのはパワー・プロフィール
自分の得意分野や苦手分野を知る方法として広く使われているのがパワー・プロフィールです。
パワー・プロフィールは5秒、1分、5分、FTPのパワー値を体重で割ってパワーウェイトレシオを算出したものです。
自身の各時間のパワーウェイトレシオが他の選手と比べてどのレベルにあるのかを見て、得意分野や苦手分野を知ることができます。
体重1kg当たりのパワー値であるパワーウェイトレシオを使うんだね
パワー・スピード・プロフィールとは
選手の体格に合わせた空気抵抗も計算に入れるのが特徴だよ!
パワー・スピード・プロフィールはパワー・プロフィールに代わる次の指標となるかも知れません。
パワー・スピード・プロフィールは空気抵抗を計算に入れているのが特徴です。
空気抵抗を考慮に入れた自分の値とエリート選手の値を対比させます。
パワーウェイトレシオに空気抵抗の補正を加えることで実際のパフォーマンスをより精密に予測します。
空気抵抗を計算に入れると良いことあるの?
体重の軽い選手は上りの数値が良いけど平坦では数値が悪くなったりするよ
パワー・スピード・プロフィールは空気抵抗を計算に入れるので上りと平坦での自分の力を数値化することができます。
FTPの値がレース結果と常に相関関係がないことは広く知られています。
FTPが高いからといってレースに勝てるわけではかりません。
レースは1つ又は複数の決定的な動きで決まります。
逃げが決まる時のアタック、独走、集団でのゴールスプリントなどです。
パワーとレース結果の関係性についてはこちらの記事を参考に
空気抵抗を考慮し上りと平坦を比較できる
パワー・プロフィールはパワーウェイトレシオが基準になっています。
パワー・プロフィールは非常に優れた指標ですがパフォーマンスを予測する上で欠点もあります。
走行時の空気抵抗を考慮していません。
パワーウェイトレシオが基準になっているため上りでは有効ですが平坦での強さを十分に示せません。
平坦ではパワーウェイトレシオではなく、絶対的なパワー値が重要です。
この差は自分と身長や体重が異なる選手と比較する際に顕著になります。
体重が軽い選手はパワーウェイトレシオが高くなるのでパワー・プロフィールでは良い結果が出ます。
しかし体重が軽い選手は絶対的なパワー値が低いことが多いので平坦では不利になります。
ヒルクライムが得意な選手はクリテリウムで勝てなかったりするね
パワー・スピード・プロフィールは身長や体重が違う選手でも空気抵抗を考慮し比較することができます。
2018年にVan・BonとVroemenにより発表されました。
パワー・スピード・プロフィールの指標は3つ!
パワー・スピード・プロフィールの指標は次の通りです。
3つの指標を使ってパフォーマンスインデックスを作成します。
8つのクリティカル・パワー
クリティカル・パワーとは「ある時間の最大平均パワー」です。
パワー・プロフィールでは4つのクリティカル・パワーを使います。
パワー・スピード・プロフィールは長さの異なる8つのクリティカル・パワーを基準にします。
平坦と上りがあるのが特徴だね!
5秒・15秒・30秒・1分・4分(平坦)・4分(12%上り)・60分(平坦)・60分(8%上り)です。
アタックやスプリントなどレースを決定付けるための出力パワーを測定します。
全てを計測する必要はありません。
テスト結果から推定します。
全てテストしなくても数値を入力すれば推定値が出るよ!
空気抵抗の推定
空気抵抗は、空気密度×速度の二乗×空気抵抗係数×前方投影面積で求められます。
空気密度は気温と気圧によって変化します。
空気密度と速度は外的要因です。
ロードバイク+選手の空気抵抗(CdA)は空気抵抗係数(Cd)×前方投影面積(A)で表します。
タイムトライアル:CdA=0.7×A
ロードバイク:CdA=0.88×A
空気抵抗を減らすためのフォームは個人差があります。
空力テクニックは考慮できないので、選手間のテクニックは同じと仮定します。
実際はフォームによって空気抵抗に差が出るよ!
プロツアートップ選手との対比
パワー・スピード・プロフィールはトップ選手の数値を指標とします。
プロツアートップ選手は脚質により1つ又は複数の優れた能力を持っています。
プロツアートップ選手の数値は入手可能な最高値に基づいています。
基準となる数値は入手できる最高値のものを使っているよ!
簡易テストと通常テストの2種類あるよ!
2つのテスト方法
テスト方法は2通りあります。
1回で終わらせる簡易テストと2回に分ける通常テストです。
簡易テストは1回で終わりますがテストは15秒、4分、20分のみです。
簡易的なテスト方法です。
通常テストは2日に分けて行います。
テストは6秒、30秒、1分、4分、20分です。
テスト数が多いので精度が上がります。
より完全なテスト結果が知りたい場合は通常テストで行います。
テストの間は1日空けることが推奨されています。
今まで蓄積されたパワーデータがあれば使うこともできます。
1秒、5秒、15秒、4分、20分のパワーデータがあればすぐに分析できるよ!
簡易テスト(90分)
時間 | %FTP | |
ウォーミングアップ(25分) | 4分 | 40%~50% |
2分 | 65% | |
2分 | 75% | |
2分 | 85% | |
2分 | 100% | |
5分 | フリーライド | |
3秒 | 全力 | |
3分 | 40%~50% | |
3秒 | 全力 | |
5分 | フリーライド | |
メインセット(60分) | 15秒(テスト) | 全力(ケイデンス140rpm以下) |
10分 | フリーライド | |
4分(テスト) | 全力(目標:FTP120%~135% ケイデンス90~110rpm) | |
5分 | フリーライド | |
20分 | 60% | |
20分(テスト) | 全力(目標:FTP102%~110% ケイデンス90~110rpm) | |
クールダウン(5分) | 5分 | 40%~50% |
2分割テスト(60分+75分)
1日目(無酸素域テスト 60分)
時間 | %FTP | |
ウォーミングアップ(24分) | 4分 | 40%~50% |
2分 | 65% | |
2分 | 75% | |
1分 | 85% | |
1分 | 100% | |
5分 | 40%~50% | |
3秒 | 全力 | |
3分 | 40%~50% | |
3秒 | 全力 | |
6分 | 40%~50% | |
メインセット(28分) | 6秒(テスト) | 全力(ダンシングスタート) |
6分 | 30%~50% | |
30秒(テスト) | 全力(ケイデンス140rpm以下) | |
8分 | フリーライド | |
12分 | 60% | |
1分(テスト) | 全力(ケイデンス60rpmでスタートし最終的に140rpm以下) | |
クールダウン(8分) | 8分 | 40%~50% |
2日目(有酸素域テスト 75分)
時間 | %FTP | |
ウォーミングアップ(18分) | 4分 | 40%~50% |
2分 | 65% | |
2分 | 75% | |
2分 | 85% | |
2分 | 100% | |
6分 | 40%~50% | |
メインセット(49分) | 4分(テスト) | 全力(目標:FTP120%~135% ケイデンス90~110rpm) |
5分 | フリーライド | |
20分(テスト) | 60% | |
20分 | 全力(目標:FTP102%~110% ケイデンス90~110rpm) | |
クールダウン(8分) | 8分 | 40%~50% |
どうやってパワー・スピード・プロフィールを作成するの?
作成方法
パワー・スピード・プロフィールはパフォーマンスインデックスをグラフ化したものです。
まずはパフォーマンスインデックスを計算するよ!
パフォーマンスインデックスはプロツアートップ選手の記録を100倍したもので自分の数値を割ります。
(例)1分 自分8.0w/kg トップ選手10.5w/kg
パフォーマンスインデックス:8.0/10.5×100=76.2
プロツアートップ選手のパフォーマンスインデックスは100です。
下の表がパフォーマンスインデックスの目安だよ!
パフォーマンスインデックス | レベル |
90~100 | 世界トップクラス |
80~90 | 非常に良い~良い |
70~80 | まずまず~普通 |
プロツアートップ選手が基準なので90あればワールドクラスかも
パフォーマンスインデックスは基準とする選手の値に大きく左右されます。
今回はプロツアートップ選手を基準としています。
パフォーマンスインデックスが70~80の「普通」はプロツアートップ選手を基準にした場合です。
計算方法が分からないけど・・・
自動で作成できるページがあるよ!
こちらにパフォーマンスインデックスの自動作成ページがあります。
身長と体重を入力することでパワー・プロフィールでは考慮されない空気抵抗を計算に入れることができます。
テスト結果を入力すると自動的にパフォーマンスインデックスが作成されます。
簡易テストの入力は「PSPCombiーTest」を選択するよ!
簡易テストの結果を入力する場合は「PSPCombiーTest」を選択します。
作成例
作成できたら分析してみよう!
こちらはある選手のパワーインデックスです。
5秒は低いけど1分以上はとても高いね!
30秒以上のパフォーマンスインデックスは高いものの、5秒から15秒のパフォーマンスインデックスが低いことが分かります。
上りが繰り返されるコースでは有利ですが、集団スプリントでは負ける可能性があることを示しています。
上りと平坦で数値が違うこともパワー・スピード・プロフィールの特徴だよ!
4分と60分の上りの パフォーマンスインデックスは80と非常に高い値を示しています。
上りよりもタイムトライアルのパフォーマンスインデックスが低いのは空気抵抗を計算に入れているためです。
この選手のパワーウェイトレシオは非常に高いものの、体重が軽いため絶対的なパワーは少し低くなります。
上りよりも平坦で少し不利になる可能性が示されています。
パワープロフィールでは表せない数値だね!
オールラウンダーの選手はパフォーマンスインデックスの偏りが少なくなります。
スプリンター選手の例です。
スプリンターのパフォーマンスインデックスは5秒や15秒に偏ります。
60分の平坦や上りは極端に低くなります。
体重があるので上りと平坦はほぼ同じ数値を示しています。
苦手分野を伸ばす方が良いのか、得意分野を伸ばす方が良いのかは、選手の考え方次第だね!
レースの走り方についてはこちらの記事を参考に
どんな分析方法にも限界があるよ!
パワー・スピード・プロフィールの限界
パワー・スピード・プロフィールは空気抵抗を考慮に入れているため、より実際のレースに近い分析が行えます。
上りでのダンシングによる空気抵抗の増加を考慮に入れていないことや、個人間のフォームの違いなど、限界もあります。
パワー・スピード・プロフィールを作成することで自分の弱点を把握し、トレーニングにつなげることができます。
ある程度レース経験を積んだ人ならパワー・スピード・プロフィールの分析結果に納得いくのではないでしょうか。
パワーが全てではない
レース結果を決めるのはパワーだけではないよ!
パフォーマンスインデックスが100の選手はワールドチームのトップ選手です。
レースで勝つためにパフォーマンスインデックスが100である必要はありません。
コーガンによるとプロ選手のFTPは5.15w/kg以上が必要とされています。
パワー・スピード・プロフィールに当てはめると60分5.15w/kgのパフォーマンスインデックスは81.1です。
5.15w/kgより低いにも関わらずレースで活躍するプロ選手もいます。
FTPだけがレース結果を決めないことを表しています。