ロードレースなどの持久系スポーツは、選手生命が長いことで知られています。
40歳代前半でトップレベルを維持している選手もいます。
2013年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合勝利したクリストファー・ホーナーは、41歳と307日でした。
年齢を重ねても、世界トップレベルで戦えることを証明しました。
通常のピーク年齢は、20歳代後半から30歳代前半です。
2019年ツールドフランス勝者の平均年齢である28.5歳と一致しています。
年を重ねると身体が弱るので運動できなくなる、という神話は崩れ始めています。
以前は年を重ねると身体は壊れやすくなるので、無理をしてはいけないと考えられていました。
身体は消耗しているので、簡単な運動しかしてはいけないと考えです。
近年になりこの定説は覆されています。
シニアアスリートでも予想以上の力を発揮できます。
プロロードレーサーの選手寿命についてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】プロロードレーサーは短命!?長生き!?過酷な競技生活で寿命は縮まる!?
〇歳になったらトレーニング方法を変えなければいけない、ということはありません。
年齢に応じてトレーニング方法を変える必要は、ありません。
レースに興味がなく、サイクリングが楽しいという人は自転車に乗ることを楽しむべきです。
気が向いたときに激しく走れば十分です。
ちょうどいいZWIFTワークアウトプランについてはこちらの記事を参考に
きつくない・ちょうど良いZWIFTワークアウト8選
自分の身体能力を上げたいと願っている人は、ただサイクリングするだけでは不十分です。
距離を稼ぐだけでは潜在能力を発揮できません。
年齢は、ロードバイクの能力に影響する大きな要因の一つです。
年齢を重ねると、持久力は維持されやすいですが、瞬発力は衰える傾向にあります。
年を取るとロードバイクが遅くなる理由は様々ですが、主な要因は次のとおりです。
これらの要因は、加齢により誰でも起こります。
体への影響は、工夫次第で食い止めたり和らげたりすることができます。
関節可動域の低下は、ケガのリスクの増加や動作効率の低下を招きます。
男性はテストステロンレベルの低下、女性はエストロゲンレベルの変化といったホルモンの変化も筋肉量や筋力に影響を与えます。
筋力や筋肉量の低下は、最大パワーや持久力に影響します。
さらに、筋肉の修復能力が衰えるためリカバリーに時間がかかるようになります。
心肺能力の低下は、VO2MAXに影響します。
最大心拍数も低下するようになります。
加齢による最も大きな変化のひとつが、VO2MAXの低下です。
VO2MAXとは、体内に取り込める酸素の最大量のことです。
VO2MAXが高い人ほど、酸素を筋肉に多く供給することができます。
VO2MAXについてはこちらの記事を参考に
VO2MAXを決定する要因は色々あります。
最大心拍数、心臓の血液拍出量、血液に酸素を取り込む能力、筋肉の酸素を取り込む能力などです。
加齢によってVO2MAXが低下する大きな要因は、最大心拍数の低下です。
1分間の心拍数が減るということは、筋肉に送る酸素の量が減るということです。
30歳を過ぎると、VO2MAXは10年毎に10%落ちます。
ハードにトレーニングすれば、落ち幅を5%に抑えることができます。
年齢を重ねた人はVO2MAXを高く維持するトレーニングに注力するべきです。
ハードにトレーニングすればVO2MAXの低下を抑えられるよ
FTPの110%から120%で3分間から5分間のインターバルを3回から5回繰り返します。
合計で20分程度のトレーニングです。
ハードなセッションでは、とことんハードに踏みます。
イージーのセッションでは、極限まで落とします。
メリハリをつけることが大切です。
ZWIFTのVO2MAXトレーニングについてはこちらの記事を参考に
ZWIFTワークアウトで速くなるためのVo2maxインターバル5選
有酸素能力は年を重ねても衰えにくいことが分かっています。
ロードレースなどの持久系種目で、年齢を重ねてもパフォーマンスを維持できる大きな理由です。
年齢を重ねると、筋肉量が減少します。
筋肉は速筋と遅筋があります。
スプリントなど、瞬発力に貢献するのが速筋です。
持久力に優れているのが遅筋です。
速筋は遅筋より加齢により減少する割合が高いです。
年を重ねると速筋が減るんだね
速筋・遅筋についてはこちらの記事を参考に
筋タイプを知ってロードレースに勝つ方法 速筋・遅筋を徹底解説
年を重ねると速筋が減りやすいので、スプリト力が衰えます。
耐久レースで活躍する40歳代は多いですが、スプリンターは一般的ではありません。
年を重ねると、ヒト成長ホルモンやテストステロンの分泌量が減少します。
筋肉量を維持し、成長ホルモンの分泌を促進するには筋トレが効率的です。
低重量・高回数ではなく、高重量・低回数の筋トレが筋肥大に有効です。
筋トレは筋肥大が目的です。
軽い重量で回数を行う筋トレは目的から外れてしまいます。
筋肥大を促進するために6回から8回挙がる重量で行います。
種目はビッグ3と呼ばれるスクワット、デッドリフト、ベンチプレスが有効です。
この3種目で全身の筋肉を鍛えることができます。
スクワットについてはこちらの記事を参考に
筋トレでロードバイクが速くなる スクワット徹底解説【フォーム・効果・注意点】
低回数・高重量で行うことを意識しましょう。
高重量で行うことで機械的な刺激が入ります。
機械的な刺激は、骨密度を上げる効果もあります。
骨密度についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクばかり乗っていると骨がもろくなるって本当?ロードバイクトレーニングと骨密度の関係
低重量で高回数の筋トレをしても、骨密度向上の効果は薄いです。
筋トレは週に1回から3回行います。
オフシーズンだけでなく、一年を通して筋トレしましょう。
正しいフォームで継続することが重要
年を重ねると、回復力が落ちます。
年を取ると筋肉の分解が早まるのか、筋合成に時間がかかるのかは議論が分かれています。
事実として、20歳代の頃より身体の回復に時間がかかります。
この事実を受け入れ、回復に時間を使うようにしましょう。
回復力が衰えるのは、トレーニング後だけではありません。
トレーニング中の回復力も低下します。
50歳代や60歳代のアスリートは、インターバルの後半でケガをする可能性が高くなります。
VO2MAXやFTP走など高強度のトレーニングは全体の10%に抑えます。
意識して回復の時間を取ろう
3週間トレーニングしたら1週間回復に充てるなどします。
回復に重点を置き、休息日を明確にします。
「休むときは休む」を徹底します。
中年のトレーニングはメリハリが重要です。
リカバリーについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクトレーニングのアクティブリカバリー(積極的休養)は効果あり!?なし!?リカバリーライドの効果を検証!
基礎代謝が落ちるので体重が増えやすくなるよ
年を重ねると、脂肪率が高くなります。
筋肉が落ち、代謝が悪くなるためです。
若い頃は休息日とトレーニングする日で同じものを食べても問題ありません。
年齢を重ねると、休息日に食べるものに気を遣う必要があります。
トレーニングのある日は、炭水化物を多めに摂ります。
休む日は、炭水化物の量を減らします。
トレーニング量に合わせて炭水化物の量を決めましょう。
トレーニング量に合わせた食事をしよう
夜に炭水化物をカットするのは避けます。
夜に十分な炭水化物を摂らないと、低糖質状態で次の日にトレーニングすることになります。
低糖質の状態でトレーニングすることは、ケガの要因となります。
リカバリー食についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクのリカバリー戦略 回復食のタイミング・量・注意点
タンパク質は年齢に関係なく重要です。
タンパク質の摂取量は1.5g~2g/kgを維持します。
タンパク質についてはこちらの記事を参考に
年齢に関係なく、関節可動域(ROM)を大きくすることは大切です。
関節可動域とは、各関節が生理的に動く限界域のことです。
関節可動域は関節周りの筋肉やじん帯、腱が影響します。
関節可動域(ROM)についてはこちらの記事を参考に
健康にロードバイクトレーニングしたい!!関節可動域(ROM)の話
どうして関節可動域が大切なの?
関節可動域が十分に大きくないと、ペダリングに支障が出ます。
しゃがみこむ動作が出来なくなるので、故障しやすい身体になります。
関節可動域が十分かどうかは、簡単なテストで測定できます。
年齢を重ねると、より長くペース変動の少ないレースが得意になります。
有酸素能力はあまり衰えませんが、VO2MAXやスプリント力が低下するためです。
長年トレーニングしている人は、有酸素能力がかなりのレベルに達している可能性があります。
VO2MAXは低下しますが、心拍出量が向上している可能性があります。
長くトレーニングしている人は自分自身のことをよく知っているよ
経験を積んでいるので、自分の限界を知っています。
ペース配分を最適にして、長時間走ることができます。
長距離レースは危険性も低いね
最近は、グランフォンドと呼ばれるレースが増えています。
グランフォンドは山岳を中心とした長距離系のロングライドイベントです。
落車の危険性が低く、有酸素能力が最重要となります。
長時間のレースなので経験やペース配分の維持が重要です。
遠方でのレースは、移動が伴います。
移動は、体を破壊することを認識しましょう。
レース当日の早朝に移動して、睡眠不足のままレースを走るのは体に大きなダメージを与えます。
レースとレースの間隔を空けることも大切です。
レースは体と心に大きなストレスを与えます。
レースとレースの間は十分に休養し、回復させます。
トレーニングを始めたばかりの人は、年齢に関係なくまだまだ伸びるよ
10年以上適したトレーニングしている人は、有酸素能力が限界まで高まっている可能性が高いです。
40歳代でトレーニングを始めた人や、ロードバイクに乗り始めて間もない人は有酸素能力向上の余地があります。
トレーニングを始める時期によりピークは異なります。
トレーニング経験の浅い人は、いきなり長距離レースに挑むのは難しいかも知れません。
有酸素能力を十分に引き上げる必要があります。
正しいトレーニングによりまだまだ伸びる可能性が高いです。