FTPとはFunctional Threshold Powerの頭文字をとったものです。
1時間維持できるパワーの平均値です。
FTPの値を基準にしてトレーニングゾーンを決定します。
FTPの計測方法についてはこちらの記事を参考に
FTPが高い=レースに勝てるとは限りません。
FTPを上げることばかりに注視しがちですが、大切なのはFTPをトレーニングの指標に上手く使うことです。
詳しくはこちらの記事を参考にして下さい。
プロ選手もFTPを計測しています。
FTPを知ることで長い登り坂をどの程度のパワーで登るかを決められます。
ツールドフランスでクリス・フルーム選手がパワーの表示されたサイクルコンピューターを見ながら坂を上る姿は印象的でした。
タイムトライアルでもFTPは大きな役割を果たします。
自身が何ワットで何分走れるかを把握できるためです。
自分のFTPはプロ選手と比べてどうなのかは誰もが気になるのでないでしょうか。
ロードバイクの良い所は数値でプロ選手と比較できるところです。
サッカーや野球だとこうはいきません。
プロ選手のZWIFTワークアウトについてはこちらの記事を参考に
ZWIFTで会えるプロロードレーサー ワレン・バルギル選手!
渡邉正光選手のZWIFTワークアウト徹底紹介!日本でただ一人 競輪S級とJプロツアーを走る漢!!
FTPテストを正確に行うには、技術が必要です。
FTPテストは4週間から6週間ごとに行う必要があります。
FTPテストの方法は数種類あります。
ZWIFTなら、自動的にFTPを計測することができます。
ZWIFTのFTPテストについてはこちらの記事を参考に
ZWIFT FTPテスト全4種類徹底解説 20分テスト・ランプテスト ベストなFTPテスト方法を紹介
パワートレーニングの第一人者であるアンドリュー・コーガンが作ったチャートを見れば自分のレベルが分かります。
この表を使えばスプリントが強いのか、持久力があるのかが分かります。
まず自分のパワーウェイトレシオ(PWR)を計算します。
パワーウェイトレシオはFTPを体重で割って算出します。
例えば体重60kgでFTP250Wの男性のパワーウェイトレシオは250÷60=4.16となります。
チャートで「FT」の欄を見ると4.16は「good」の上限でなります。
「very good」まであと一歩です。
下の表は体重59kgの男性選手のデータです。
5秒のパワーは平均的だけど5分のパワーが高いことが分かります。
5秒 | 1分 | 5分 | FTP | |
平均パワー | 982W | 533W | 378W | 304W |
パワーウェイトレシオ | 16.64 | 9.03 | 6.40 | 5.16 |
ランク | good | very good | 国内プロ | verygood/excellent |
この選手は5秒の数値は低いものの、時間が長くなるにつれてランクが上がります。
瞬発力は劣るものの、5分のパワーは高いことが分かります。
自分のパワーを当てはめて長所や短所を見つけることができます。
下の表は、初心者・中級者のパワーウェイトレシオの目安です。
現在のFTPがこの表より低いからといって、今後もそうだとは限りません。
適切なトレーニングを重ねれば、FTPは必ず向上します。
FTPは選手の能力の一部を明らかにするデータです。
プロ選手の多くはFTPを明らかにしていません。
少数のプロ選手は走行データをオンラインで明らかにしています。
グランツールに出場するレベルのトッププロのパワーウェイトレシオは下の表くらいと言われています。
5秒 | 1分 | 5分 | パワーウェイトレシオ |
24W/kg | 11.5W/kg | 7.5W/kg | 6.4W/kg |
記録されたパワーウェイトレシオの中で最高値の一つが2011年のパリ・ニースを走ったイギリスのブラッドリー・ウィギンスと言われています。
この時のウィギンスのFTPは456Wでパワーウェイトレシオは6.6W/kgであると言われています。
トッププロのパワーデータは公表されていないものもありますので下の表は推定値も含まれています。
選手名 | FTP | 体重 | パワーウェイトレシオ(PWR) |
Egan Bernal(エガン・ベルナル) コロンビア | 383 | 59 | 6.50 |
Mathieu van der Poel(マチュー・ファン・デル・プール) ベルギー | 485 | 75 | 6.46 |
Angel Madrazo(アンヘル・マドラゾ) スペイン | 389 | 61 | 6.38 |
Tom Dumoulin(トム・デュムラン) オランダ | 431 | 69 | 6.25 |
Michal Kwiatkowski(ミカル・クヴィアトコウスキー) ポーランド | 420 | 68 | 6.18 |
Mikael Cherel(ミカエル・シュレル) フランス | 400 | 65 | 6.15 |
Dylan Sunderland(ディラン・サンダーランド) オーストラリア | 395 | 65 | 6.08 |
Alessandro De Marchi(アレッサンドロ・デ・マルキ) イタリア | 399 | 66 | 6.05 |
George Bennett(ジョージ・ベネット) ニュージーランド | 350 | 58 | 6.03 |
ツールドフランス覇者 エガン・ベルナル
2019年ツールドフランス総合優勝、2021年ジロデイタリア総合優勝のベルナル選手がPWR6.50W/kgでした。
ツールドフランス山岳ステージで首位のアラフィリップからタイム差を奪い取りそのまま総合優勝した姿が印象的です。
自転車競技に死角なし マチュー・ファン・デル・プール
ロードレース、シクロクロス、マウンテンバイクで圧倒的な強さを見せるマチュー選手は身長184cm体重75kgと大柄な選手です。
FTPの絶対値が485Wと高い値です。
パワーウェイトレシオも6.46W/kgと極めて高い値です。
FTPの絶対値の高さがシクロクロスの強さを生み出しています。
スペインのトップクライマー アンヘル・マドラゾ
マドラゾ選手は斜度がきつく、短い距離の上りが得意な選手です。
短い上りで何度もアタックして勝利を掴みます。
2019年ブエルタ・エスパーニャ第5ステージの区間優勝しています。
世界トップクラスのタイムトライアル選手 トム・デュムラン
トム・デュムラン選手はタイムトライアルで圧倒的な強さを見せます。
世界選手権タイムトライアル優勝もしています。
東京オリンピック個人タイムトライアルでは銀メダルを獲得しました。
マチュー選手に匹敵するFTPの絶対値の高さがあります。
女性ロードレーサーのレベルは年々高まっています。
Women World Tour(WWT)を頂点としたレースが世界中で開催されています。
2022年には女子ツールドフランスがZWIFTをメインスポンサーにして全8ステージで開催されます。
アナ・ファンデルブレヘン選手やアネミーク・ファンフリューテン選手などオランダ勢が世界をリードしています。
アメリカも女子プロ選手の台頭が激しい国の一つです。
アメリカは伝統的に女子選手が強い国でした。
かつてはクリスティン・アームストロング選手、イヴィー・スティーブンス選手、ジョージア・グールド選手が世界トップクラスで戦っていました。
近年は新世代の女子選手が自転車競技のトップクラスに登り詰めています。
日本人では與那嶺恵理選手がプロ選手として世界で活躍しています。
2022年からはHuman Powered Healthに所属することが発表されています。
5秒 | 1分 | 5分 | パワーウェイトレシオ |
19W/kg | 9W/kg | 6.5W/kg | 5.5W/kg |
トップの女子選手のパワーウェイトレシオは5.5W/kgにも達します。
この値は国内男子プロ選手にも引けを取りません。
選手名 | FTP | 体重 | パワーウェイトレシオ |
Evelyn Stevens(エヴェリン・スティーヴンス) アメリカ | 305 | 55 | 5.55 |
Courtney Nelson | 238 | 43 | 5.50 |
Andrea Ramirez | 294 | 54 | 5.44 |
Sarah Gigante | 266 | 50 | 5.32 |
Kristen Kulchinsky | 264 | 50 | 5.30 |
Ariadna Gutierrez | 254 | 49 | 5.24 |
Kristen Faulkner | 323 | 62 | 5.21 |
Erica Magnaldi | 233 | 45 | 5.18 |
エヴェリン・スティーヴンス
エヴェリン・スティーヴンス選手(アメリカ)は2016年に当時のアワーレコードを更新しました。
記録は47.98kmでした。
世界選手権のチームタイムトライアル優勝歴もあります。