ケトジェニックダイエットってよく聞くけどロードレーサーに良いの?
話題のケトジェニックダイエット
ケトジェニックダイエットとは体をケトーシスの状態にすることです。
ケトーシスにより減量と持久力を両立させる事が可能として注目されています。
効率的な減量と無限のエネルギーを手に入れる事が可能とされています。
エネルギーが枯渇しないサイクリストにとって夢のような話です。
良い事ばかりな気がするけど・・・
ケトジェニックダイエットはダイエット方法としてはありだけど、ロードレーサーにはデメリットがあるよ!
低糖質トレーニングについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイクトレーニング】低糖質トレーニングのやり方3選 メリット・デメリットも紹介
ケトーシスとは?
ケトーシスは人類が飢えから生き抜くための工夫だったよ!
ケトーシスとはエネルギー源が糖質からケトン体に置き換わった状態の事です。
人類は農耕文化が発達する以前は植物由来の糖質が日常的に摂取できませんでした。
植物の糖質が手に入ればできるだけ摂取しました。
摂取した糖質は一部をエネルギー、残りを脂肪として蓄えました。
植物が不足すると蓄えた脂肪からエネルギーを得るためにケトン体を生成しました。
糖質が手に入らない時の緊急避難だったんだね!
ケトン体は通常の食生活を送っている人の血液中にはほとんど存在しません。
普通の食生活の人はケトン体がないよ!
糖質が不足すると脂肪をエネルギーにするため中性脂肪が肝臓に運ばれます。
中性脂肪をエネルギーに変換する過程で生まれるのがケトン体です。
ケトン体をエネルギーにすることで筋肉を分解せずに済みます。
血液中のケトン体が増えた状態をケトーシスと呼びます。
ケトン体が増えた状態をケトーシスって呼ぶんだね!
ケトーシス状態を作り出すダイエット方法は「ケトジェニックダイエット」や「低糖質ダイエット」と呼ばれます。
多くの本が出版され、外食産業も低糖質食を売りにしたメニューを販売しています。
糖質についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクトレーニングの補給食をコンビニで調達!一番大切なのは糖質!
ケトーシスになるには糖質を断つ必要があるよ!
炭水化物は1日50gまで
ケトーシスになるには炭水化物の摂取量を極限まで減らす必要があります。
具体的には炭水化物の摂取量を1日50gに抑えます。
炭水化物50gとはご飯の茶碗1杯分です。
油断するとすぐに超えそう・・・
炭水化物の摂取を抑えてもすぐに体は変化しません。
ケトン体が生成されるには一定期間が必要です。
すぐにケトーシスにはならないよ!
人にもよりますが通常2週間から3週間かかります。
最初は体調不良に注意
最初は風邪のような症状に悩まされるよ!
最初の1週間は体調不良の症状が出る事が多いです。
具体的には頭痛、ぼんやりする、吐き気、疲労感、イライラ、不眠、便秘などです。
風邪症状と似ているのが特徴です。
安定するには数か月が必要
ケトン体ができて体がケトーシスとして安定するには数か月かかることもあります。
この頃になると体は脂肪から生成されたケトン体をエネルギーとして使うようになっています。
独特の体臭
ケトーシスの人は独特の体臭がするよ!
ケトン体はアセトンを含んでいます。
アセトンがあるためにケトーシスが進行すると独特の甘酸っぱい体臭がするようになります。
体臭が甘酸っぱくなればケトーシスが進行していることになります。
グリコーゲンは筋肉などに1600kcalから2000kcalしか蓄えられません。
しかし脂肪量は多いのでケトン体は無限に使う事ができます。
理論上、無限のエネルギーを手に入れた事になります。
ロードレーサーにとってのデメリットを紹介するよ!
①ケトーシスにより糖質が利用できない体になる
エネルギー源である糖質が使いにくくなるよ!
糖質はロードレースにおいてハイオクガソリンの役割を果たします。
レース中のアタックやスプリントで爆発的なパワーを出す時に糖質が使われます。
ケトーシスになると糖質をエネルギー源にできなくなります。
無酸素パワー領域で糖質が利用できないので乳酸が生成されにくくなります。
乳酸は以前は疲労原因物質として悪者扱いされていました。
最近の研究では乳酸はエネルギー源となることが分かっています。
糖質は急激にエネルギーに変わるんだね!
ケトーシスの体にいきなり糖質を摂取すると気分が悪くなることがあります。
ロードレースはインターバルの連続です。
糖質を使って短時間の爆発的なパワーが出せなくなるのは致命的です。
爆発的なパワーには糖質が必要!
②ケトーシスは持久力を向上させない
脂肪の利用率が高まっても持久力は向上しないよ!
低糖質の状態を長期間続けると脂肪の利用率が高まります。
しかし脂肪をエネルギーにするのは糖質よりも8%多くの酸素を必要とします。
糖質よりたくさんの酸素が要るんだね!
脂肪をエネルギーとして利用すると効率性が低下してしまいます。
ケトーシスの有効性を検証した実験があるよ!
ケトーシスの有効性を検証するためにトップアスリートを使った実験が行われました。
摂取カロリーは同じにして高糖質と低糖質の食事でトレーニングキャンプをしました。
高糖質のグループは10kmのタイムが4.8%向上しました。
低糖質のグループは10kmのタイムが1.6%低下しました。
この実験は最終調整で高糖質食を摂らなかったという指摘がされたよ
レースの最終調整で高糖質食にするとタイムが向上するという意見があったため、次の実験をしました。
高糖質と低糖質でトレーニングした後に全員が高糖質で2週間調整練習しました。
合宿最後のレースでは高糖質グループも低糖質グループも同じようにタイムが向上しました。
低糖質グループはパフォーマンス低下はありませんでしたが向上もしませんでした。
低糖質でも持久力は変化しなかったんだね
ロードレースにおいてVO2MAXは非常に重要です。
ケトーシスは同じパワーを出すのにより多くの酸素を消費します。
結果的にVO2MAXは低下する可能性があります。
ケトーシス状態はVO2MAXを低下させる可能性が高いよ!
ケトーシスはトレーニングの障害となる
低糖質はトレーニングの質が低下するよ!
糖質は脳や筋肉の活動に欠かせません。
ケトーシスの状態を作る過程で糖質が不足すると体に悪影響があります。
頭痛やイライラ、疲労感が出ます。
糖質をエネルギー源にできないのでトレーニングの質が低下します。
同じ距離を走っても疲労感が大きくなります。
同じパワーを出すのがより困難になります。
自分が弱くなったように感じるでしょう。
質の高いトレーニングは難しいね・・・
長期間継続するのが困難
ケトーシスを維持するのは強い意志が必要!
ケトーシスは空腹感が少なく血糖値の変動が少なくなります。
中性脂肪の減少やインスリン感受性の向上、血圧低下といったメリットがあります。
健康上のメリットもあるけど・・・
多くの人はケトーシスを半年以上続けるのは難しいと感じます。
1年以上継続できる人は稀です。
外食などで糖質を避けるのは難しいです。
米、パン、パスタなどは食べられなくなります。
ジャガイモやサツマイモなど糖質の多い野菜も避けなければなりません。
気軽に外食できないよ~
メニュー選びに苦労することになります。
炭水化物を1日50g以下に抑えるには3食を自炊する必要があるかも知れません。
ケトーシスの状態でケーキやバナナを食べると気分不快になることもあります。
ケトーシスは食事制限のハードルが高いので長期間続けるには相当な決意が必要です。
ケトーシスを続けられるのは意志の強い人だね!
グランフォンドなど超長時間レースでは有利になるかも・・・
ケトーシスは糖質を一切断ってケトン体を生成します。
ケトーシスは継続するのは困難ですがダイエットには有効な方法です。
ロードバイクを含む持久系選手にはあまり向いていません。
体重は減りやすくなりますが持久力が向上する訳ではないからです。
強度の高い効率的なトレーニングには糖質が必要です。
9時間から24時間続くグランフォンドやウルトラマラソンのような競技ではケトーシスが有効かも知れません。
少ない補給食で何時間も動くことが可能だからです。
補給食が少ない事で胃腸への負担が減ります。
ウルトラマラソンのリタイヤの大きな理由である胃腸障害を防ぐことができます。