タイムトライアルは選手の力が丸裸になるよ
タイムトライアルは「真実のレース」とも呼ばれます。
一定区間のタイムを競うという自転車レースで最もシンプルな競技です。
タイムトライアルはシンプルな競技ですが、簡単ではありません。
ロードレースのようにライバルの後ろで空気抵抗を減らすことは出来ません。
ゴールスプリントで相手を差したり差されたりといった駆け引きもありません。
天候の急変や機材トラブルがなければ、最も優れた選手が勝利します。
シンプルだけど奥が深いね
タイムトライアルについてはこちらの記事も参考に
トラック競技の走り方!~200mFTT・1kmTT・4kmIP
タイムトライアルは空気抵抗との闘い
タイムトライアルは、空気抵抗との闘いです。
トップ選手は、F1開発に使う風洞実験室でフォームを調整します。
アマチュア選手でも、簡単にフォームを改善する方法があります。
ローラー台の前に鏡を置いてフォームを調整します。
スマートフォンで動画を撮るのも良い方法です。
これなら誰でも出来るね
単純な方法ですが、前方から見たシルエットを出来るだけ小さくすることで空気抵抗を減らすことが出来ます。
上半身を1cm下げるだけでタイムが向上します。
この時に頭を下げすぎないように注意します。
頭を下げすぎると、前方確認の度に空気抵抗が増大してしまいます。
空気抵抗は、機材を除けば主に上半身の姿勢で決まります。
上半身のシルエットを小さくする事が大切
必勝法①で改善したタイムトライアルポジションは、慣れない姿勢です。
TTポジションで長い時間走るのは難しい・・・
タイムトライアルでしか使わない極端なフォームです。
頭を下げ、背中を丸め、肘を出来るだけ狭めています。
関節可動域(ROM)が小さい選手は故障につながります。
持っているパワーを100%発揮することもできません。
タイムトライアルポジションで長時間トレーニングすると、体の各部に無理が生じる場合があります。
その場合は、自分の関節可動域(ROM)を見直しましょう。
関節可動域(ROM)が小さいと故障につながるよ
関節可動域(ROM)についてはこちらの記事を参考に
健康にロードバイクトレーニングしたい!!関節可動域(ROM)の話
専用のフレームを導入するのがベストだけど難しいね
タイムトライアル専用のフレームは、TTバイクと呼ばれます。
TTバイクはエアロダイナミクスが追求され、極限まで空気抵抗を減らした設計になっています。
タイムトライアルのためにTTバイクを導入するのが理想的ですが、多くのアマチュア選手にとって現実的ではありません。
専用のTTバイクを用意しなくても、タイムトライアルは出場できます。
費用対効果の高いパーツは、ハンドル周りの交換です。
費用対効果が高いのはハンドル周りのパーツ
ロードレースとタイムトライアルを同じフレームでする場合は、ステムを交換します。
ステムを下向きに変えたり、スペーサーを取り外したりします。
そうすることで、上半身を低くすることが出来ます。
タイムトライアル用のハンドルは、ブルホーン型のハンドルバーの中央にアームレストとハンドルバーエクステンション(DHバー)がセットされています。
ブレーキレーバーは、ブルホーンバーにあります。
変速はDHバーにあります。
ハンドルをDHバーにすることで、エアロポジションを維持出来るようになります。
ハンドルバーエクステンションは、上方へ傾斜出来るように調整します。
各部の微調整が出来る製品を選ぶ事が大切です。
適切なフォームは選手によって違います。
エアロヘルメットは体の上を流れる空気の流れを改善することが出来ます。
エアロヘルメットにシールドを付け空気抵抗を削減したモデルもあります。
エアロヘルメットで40km/hで巡行した場合、5Wから10Wの削減になると言われています。
TTポジションでパワーが出せるようになろう
ブレーキから手を放し、肘をついたTTポジションは多くの選手が不慣れです。
TTポジションは、乗れば乗るほど慣れていきます。
TTポジションが自然に感じるほど乗り込む事が大切です。
最初は直線の多いコースで練習しましょう。
DHバーを装着すると曲がりにくくなり、ブレーキングも遅れます。
事故に注意して練習しましょう。
ローラー台で乗り込むのも有効です。
曲がったり止まったりしにくいから事故に気を付けないとね
タイムトライアルは距離に応じて一定のパワーで走ることが大切です。
パワーが上下すると疲労につながります。
タイムトライアル向上のためのワークアウトをトレーニングに取り入れます。
乳酸処理能力向上ワークアウト
乳酸処理能力向上とメンタルを鍛えるワークアウトです。
ウォーミングアップ | メインセット | クールダウン |
15分(30秒スプリント×5回) | 30秒スプリント×6回を2セット セット間のレストは5分間 その後1分間タイムトライアル×5回 | 10分 |
乳酸処理能力についてはこちらの記事を参考に
乳酸除去能力を上げるには!?ZWIFTワークアウトプランも紹介!!
持久力向上ワークアウト
タイムトライアルの基礎である持久力を向上させるワークアウトです。
シーズンオフに取り組むと効果的です。
メインセット |
アップダウンのあるコースで3時間耐久走 途中でハイケイデンス1分×10回 急坂ダンシング2分×3回 5分登り1回 |
持久力についてはこちらの記事を参考に
VO2MAX向上ワークアウト
VO2MAXはタイムトライアルに最も重要な能力です。
VO2MAXを向上させることはタイム短縮に効果的ですが、きついトレーニングが必要です。
VO2MAXについてはこちらの記事を参考に
ウォーミングアップ | メインセット | クールダウン |
15分(10秒スプリント×10回) | 3分間全力走×5回 インターバル間のレストは5分 | 15分 |
スプリントワークアウト
タイムトライアルにスプリント能力は不要と思われがちですが、そうではありません。
長時間維持できるパワーは、最高パワーと関係します。
スプリントワークアウトに心拍計は不要です。
全力でもがきましょう。
ウォーミングアップ | メインセット | クールダウン |
15分(15秒スプリント×5回) | スプリント10秒×6回を3セット インターバルは2分・セット間のレストは5分 | 15分 |
スプリント能力についてはこちらの記事を参考に
ハイケイデンスワークアウト
TTポジションでケイデンスを上げる事は、最大パワーを出すために非常に重要です。
TTポジションに慣れないと、スムーズなペダリングが出来ません。
トレーニングを重ねるごとにスムーズなペダリングが身に付きます。
ウォーミングアップ | メインセット | クールダウン |
10分 ハイケイデンス×5回 | 1分120rpm×5回 1分140rpm×3回 ※最後の10秒は更に上げる 1分140rpm×1回 ※最後の20秒は更に上げる | 15分 |
短いタイムトライアルなら、カーボローディングは必要なし
20kmから40km程度のタイムトライアルの場合は、長期的なカーボローディングは不要です。
前日に炭水化物中心の食事を摂りましょう。
脂肪の多い食事は避けます。
朝食も炭水化物を中心にします。
レース前はカフェインを摂るのも効果的です。
短いタイムトライアルの場合はボトル不要です。
炭水化物についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクトレーニングの補給食をコンビニで調達!一番大切なのは糖質!
タイムトライアルで、コースの試走は非常に重要です。
走り慣れないTTポジションで無理な速度で曲がると、落車につながります。
カーブの進入速度やアップダウンを確認しましょう。
カーブは進入速度を確認
路面状態の確認も大切です。
アスファルトの穴やグレーチングの有無も確認します。
ロードレースと異なり、タイムトライアルは自分の好きなラインで走れます。
最適なラインを試走の段階で決めておきましょう。
試走はある程度速度を上げて行います。
可能なら、本番と同じ速度でテクニカルなカーブを曲がりましょう。
レース本番ではアドレナリンが出て、試走以上の速度が出ます。
カーブへの進入速度が速すぎると、落車の原因となります。
十分なウォーミングアップをしないと、100%の力を発揮できません。
せっかくのトレーニングが無駄になってしまいます。
15分楽に走った後に10秒スプリントを3回します。
ウォーミングアップは、最低でも20分間行います。
必要なら40分間行います。
短いタイムトライアルほど、長いウォーミングアップが必要です。
ウォーミングアップについてはこちらの記事を参考に
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レース前にストレッチは不要です。
徐々にパワーを上げ、筋温を上昇させます。
レース前のストレッチについてはこちらの記事を参考に
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タイムトライアルでオーバーペースは命取りになるよ
スタート前はどんな選手でも緊張します。
スタート前の過度な緊張は、オーバーペースを招きます。
タイムトライアルで最も重要なのは、ペースコントロールです。
スタート前は冷静であるべきです。
タイムトライアルの最初で頑張りすぎると、必ずペースダウンします。
一度ペースダウンすると挽回する事は不可能です。
タイムトライアルは出走時間が分単位で決まっています。
スタート時間に遅れないようにしましょう。
気持ちの余裕を持ってスタート台に上がることが大切です。
平坦コースのタイムトライアルでは、一定のパワーで巡行するのが鉄則です。
アップダウンのあるコースでは事情が違います。
登りや向かい風は、ある程度踏み込んだ方がタイムが出ます。
タイムトライアル終盤にペースが落ちるのは、オーバーペースです。
逆に余力を残してゴールした場合はアンダーペースです。
ゴールラインでオールアウトするのがベストです。
レース本番と同じ距離を走り込み、自分のペースを見つけましょう。
タイムトライアルのペース配分についてはこちらの記事を参考に
アップダウンの周回コース 一定ペースVS変則ペース 速いのはどっち!?