4kmチームパーシュートが熱い!
2019年9月にクレイグ・グリフィン中長距離ヘッドコーチが日本ナショナルチームに就任しました。
クレイグ・グリフィンヘッドコーチはニュージーランド出身で自身も自転車選手でした。
アメリカナショナルチーム、カナダナショナルチームを歴任しています。
クレイグ・グリフィンヘッドコーチが就任した後、日本は次々と記録を塗り替えています。
大会名 | 記録 | 更新 |
2018アジア選手権 | 3分57秒801 | |
2019 全日本選手権 | 3分57秒488 | ー0秒313 |
2019-2020 ワールドカップ第4戦 | 3分56秒287 | ー1秒201 |
2020 世界選手権 | 3分52秒956 | ー3秒331 |
就任後に4秒8以上速くなっているよ!
ブリジストンサイクルが機材提供
機材の進化もタイム更新を後押ししています。
ブリジストンサイクルが日本ナショナルチームに機材提供しています。
空力、剛性、軽さ、接地を追求したフレームを提供しています。
価格はフレームで100万円、フレームハンドルセットで180万円!!
この記事は以下の論文を参考にしています。
「自転車競技4kmチームパーシュートにおいて交代局面での交代ミスを防ぐための方策の検討」 橋本直、黒川剛、山本正嘉 鹿屋体育大学
4kmチームパーシュートのルール
4kmチームパーシュートは1チーム4名で走ります。
4名が横一列でスタートします。
スタート後は縦一列になり、先頭交代しながらゴールを目指します。
4人1チームで先頭交代しながら4kmを走るよ!
ロードレースのチームタイムトライアルのトラック競技版だね!
4kmチームパーシュートは3人目のタイムを計測するので1名は離脱することができます。
ホーム側とバック側に分かれて2チームが同時にスタートします。
相手チームに追いついた場合はその時点で勝負が決まります。
4kmチームパーシュートを観てみよう!
実際のレースを観てみよう!
次の動画は日本チームがアジア選手権で金メダルを獲得した時です。
近谷涼選手、今村駿介選手、窪木一茂選手、沢田桂太郎選手という日本のトップ選手がチームを組みました。
相手の香港チームに途中で追いついたのでその時点で勝敗が決しました。
相手チームに追いついたら勝ちなんだね!
追いつかなかった場合は3番目選手のタイムが速い方が勝ちだよ!
4kmチームパーシュートの勝敗を決する先頭交代!
先頭が最も空気抵抗を受けます。
先頭選手が最も消耗するのでチームによっては一番強い選手が長く先頭を曳くなどの戦略があります。
トラック競技はバンクと呼ばれる傾斜のある競技場で行われます。
先頭交代する時は傾斜を利用してなるべくパワーを抑えます。
傾斜を利用して外側に大きく膨らみ、下りを利用して最後尾に付きます。
4kmチームパーシュートは先頭交代でパワーを極力抑えることが重要!
4つの場面
4kmチームパーシュートは4つの場面に分ける事ができます。
一番パワーが必要なのはスタート!
競技中のパワーと速度の変化
スタートは最もパワーを使います。
横一列でスタートした4名が縦一列になります。
先頭交代や追走といった場面ごとにパワーは変化します。
パワーはスタートが一番高いよ!
先頭の時は高いパワーで安定しているけど後ろにいる時はパワーが下がって安定しないね!
先頭を曳くときは高いパワーで一定速度が必要です。
先頭選手の速度が上下すると後ろの選手はクランクを逆回転させるブレーキが必要になります。
先頭選手の僅かな速度変化でも後ろの選手は無駄なパワーを使ってしまいます。
先頭選手は一定速度で曳く必要があるよ!
集団の後ろに付いている時は先頭よりも低いパワーで巡行できます。
先頭は一定速度で走るように努力していますが、僅かな速度変化は生まれます。
集団の速度変化に合わせて踏む必要があります。
4kmチームパーシュートで最も難しのが先頭交代です。
チーム全体の速度は一定が理想です。
速度が上下すると全員が消耗していしまうよ!
しかし交代のミスは起きてしまいます。
交代のミスで一番多いのが車間が開きすぎてしまうことです。
開いた車間を詰めるために急激にパワーを上げる必要があります。
パワーが急激に上下すると消耗して付いていけなくなるよ!
急激なパワーの上昇は疲労を蓄積させます。
交代のミスは致命的な影響を及ぼすことがあります。
先頭交代に失敗して車間が開くと追いつけなくなるよ!
次の動画は交代が失敗してチームが崩壊した例です。
インターハイ3位4位決定戦というハイレベルなレースでもミスは起こります。
世界トップレベルの4kmチームパーシュート
2020年トラック世界選手権でデンマークチームが世界新記録を出した動画だよ!
世界トップクラスの4kmチームパーシュートは60km/h以上で巡行します。
下の表は60km/hで巡行した時の各番手のワット数です。
先頭 | 2番手 | 3番手 | 4番手 |
607W | 430W | 389W | 389W |
先頭と後ろでは出力パワーが全然違うね!
速いチームほど先頭交代がスムーズだよ!
速いチームほど交代の質が高い事が分っています。
交代の時間と距離が短いです。
交代の時間と距離を短くすることが大切!
全日本選手権準優勝経験のある大学チームを解析したよ!
全日本選手権で準優勝経験のある大学生のチームを分析しました。
交代する時のパワーが先頭を走っている時よりも低く抑えれれば先頭交代は成功と言えます。
先頭を曳いている時よりも低いパワーで交代できれば「成功」としたよ!
先頭の20秒間よりも追走開始の3秒間の平均パワーが低い場合は成功です。
先頭交代で最もパワーを使うのは傾斜を下りるとき!
集団の最後尾に付くための速度が必要になるよ
先頭を曳いている時より交代する時のパワーが高い場合は失敗です。
パワーを抑えるために先頭交代するのに、逆にパワーを使ってしまいます。
傾斜の下りで速度を出せないと最後尾に付くために踏み込む必要が出るよ!
下のグラフは「成功」と「失敗」の速度、パワーの違いです。
「成功」のパターン
交代の下りでパワーを落とさずに追走に向けて加速しています。
下りを十分に使うことでパワーを抑えながら加速することに成功しています。
傾斜の下りを上手に使えればパワーを抑えて速度を上げれるね!
追走に必要な3秒間のパワーは低いのに速度は高い事が分りました。
低いパワーで高い速度が出るよ!
「成功」は「失敗」より早い段階でパワーを出しているね!
「失敗」のパターン
交代する直前のパワーが低下しています。
追走の場面に差し掛かってからパワーを上げています。
無駄なパワーを使っています。
傾斜を上るパワーや速度に差はありませんでした。
重要なのは傾斜の下りです。
傾斜を下る時の踏み込みのタイミングが遅いと「失敗」するよ!
交代のために傾斜を上がってから下がる時は最後尾の位置や速度を瞬時に判断する必要があります。
傾斜を切り返すための自転車操作も必要です。
やるべきことが多いので踏み込みの遅れが生じます。
傾斜を上って下る時は集団の状態を見たり自転車操作をしたりやることが多いよ!
僅かな踏み込みの遅れが「失敗」につながるんだね!
「成功」した時のパワー
先頭を曳いているときのパワーと比較します。
成功するときは傾斜を下る時のパワーが85%でした。
追走の3秒間のパワーは79%でした。
追走の3秒間は交代後に集団に付くときのパワーだよ!
先頭 | 傾斜を下る時 | 追走の3秒間 |
100% | 85% | 79% |
先頭の時のパワーと比べて傾斜を下る時のパワーが85%以下で集団最後尾に付いた時のパワーは79%以下なら成功です。
下りが85%以下、最後尾に付いた時が79%以下なら良い先頭交代なんだね!