国内サイクルロードレースは公道を封鎖するのが困難なため、10km程度の周回コースで行われることが多くあります。
Jプロツアーも開催される代表的な周回コースを紹介するよ!
群馬サイクルスポーツセンター
群馬サイクルスポーツセンターは6km周回でまとまった上りはないものの、周回あたりの獲得標高は約100mです。
Jプロツアーで17周回すると距離は102km、獲得標高は約1700mになります。
広島県中央森林公園
2021年に全日本選手権が開催される広島県中央森林公園はアップダウンの連続するコースです。
周回あたりの獲得標高は約230mです。
どちらのコースもアップダウンが連続するため、レース戦略が重要になります。
ロードレースは戦略が重要!
Vo2maxの高い人が必ずしも勝つわけではないよ!
Vo2maxが高い=勝利できるではないことはこちらの記事でも検証しています。
周回コースを合理的に走る方法を検証した論文を紹介します。
アップダウンのある自転車競技ロードレースの周回コースで最良のパフォーマンスを発揮するためのペース戦略の検討
中井彩子 橋本直 山口大貴 山本正嘉 鹿屋体育大学
筆者の紹介
中井彩子選手は1996年生まれの25歳(2021年現在)、宮崎県出身です。
小学校の頃は父親の影響でモトクロスバイクをしていました。
高校から自転車競技を始めました。
高校に自転車部がなかったため、主に一人で練習し競技力を磨きます。
高校卒業後は鹿屋体育大学に進学します。
2018年ロードアジア選手権大会U23個人タイムトライアル5位、ロードレース6位。
全日本選手権ロードレースU23女子優勝。
全日本大学対抗選手権自転車競技大会ロードレース優勝。
鹿屋体育大学卒業後の2019年からフランストップアマチュアチーム「UVCA Troyes」に所属しています。
鹿屋体育大学近くの一周10kmのコースで検証したよ!
どうやって検証したの?
検証方法
鹿屋体育大学近くの一周10kmの周回コースを利用して検証を行いました。
一周回が10.2kmで獲得標高は163mです。
コースを平坦区間、上り区間、下り区間に分けて検証します。
アップダウンが連続するコースだね
主観的運動強度を「非常に楽」から「非常にきつい」まで数字分けして走行しました。
上りや下りでも運動強度に変化がないように走行します。
走行時間、平均酸素摂取量、平均心拍数、平均パワー、平均速度を測定します。
努力度 | 走行時間 | %Vo2max | %HRmax | 平均パワー | 平均速度 | ||
20 | 19分19秒 | 82% | 95.3% | 227±76W | 31.5±15.7km/h | ||
18 | 20分23秒 | 79.6% | 92.7% | 210±61W | 29.9±15.0km/h | ||
16 | 20分47秒 | 73.2% | 91.1% | 205±55W | 29.4±15.2km/h | ||
14 | 22分25秒 | 71.6% | 83.9% | 175±49W | 26.8±15.6km/h | ||
12 | 25分3秒 | 56.9% | 74% | 140±47W | 24.5±14.8km/h | ||
10 | 29分1秒 | 45.7% | 85.6% | 113±45W | 20.9±13.0km/h |
%Vo2maxはVo2maxの最大値に対するパーセンテージだよ
%HRmaxは最大心拍数に対するパーセンテージだね
データを基にして、速度を1km/h上げるために必要なパワーを平坦、上り、下りで算出したよ!
検証①から分かったこと
主観的運動強度別に走行した結果分かったことだよ!
踏み込むなら平坦区間が合理的だよ!
上りは努力の割にタイム短縮に直結しないのでイーブンペースがおススメ!
コーナーの多い下りはペダルを回すことよりテクニック面に集中した方が合理的なんだね!
一定ペースで走った場合と検証①で分かった最も合理的なペースで走った場合を比較してみたよ!
検証①で分かった合理的ペース
一定ペース
両方とも同じ平均パワーになるように走行したんだね!
時間 | 速度 | パワー | 心拍数 | 仕事量 | |
合理的ペース | 21分48秒 | 28.1±15.4km/h | 177±7W | 177±7bpm | 266.4kj |
一定ペース | 22分4秒 | 27.8±15.4km/h | 178±6W | 178±6bpm | 270.9kj |
総仕事量は低いにも関わらずタイムは合理的ペースの方が速かったよ!
でも、平均パワーは同じなんだね
タイムが速かったのに疲労感は少なかったね
合理的ペースは下りで脚を回さずテクニック面に集中することにより疲労が回復できます。
一定ペースは脚を回し続けるため疲労が回復せず、上りで消耗しました。
今回の検証は一人で走った場合のタイムの縮め方だよ!
実際のレースではアタックに反応する力やレースの流れを見極める観察力も重要になるよ!