インターハイは「全国高等学校総合体育大会」のことです。
高校生全国1位を決める大会です。
歴代の優勝者の顔ぶれを見ると、プロロードレーサーや競輪選手など第一線で活躍している選手ばかりです。
自転車のインターハイは、第1回が昭和25年に始まっています。
自転車は機材スポーツです。
身体能力の向上の他に、機材の進化もタイム更新に関係します。
今回は1km、3km、4kmチームパシュートのタイムがどれくらい速くなっているかを見てみよう
1kmタイムトライアルは、その名の通り1kmのタイムを競います。
スタートは「スターティングマシーン」を使います。
選手は0kmから加速し、60km/hまで加速します。
400mバンクなら2周半、333mバンクなら3周します。
競輪学校の入校基準が1分10秒。
世界記録は56秒303、日本記録は1分00秒017、学連記録は1分01秒390です。
これらの記録はメキシコの高地の室内バンクで出た記録です。
第1回インターハイの1kmのタイムは1分23秒8。
そして2022年インターハイ1kmのタイムは1分3秒798です。
この記録で優勝したのは、中石湊選手(函館大谷)です。
大会新記録でした。
第1回インターハイと比較して、約20.002秒速くなっています。
第1回インターハイと比較して、2022年は131%速くなっています。
グラフにするとかなりタイムが縮まっているのが分かるね
1990年までは記録が毎年のように更新されました。
2000年に入ると、記録更新は困難になってきます。
1kmのインターハイ記録は限界まで来ている
正式名称は3kmインディヴィデュアル・パシュート(3km個人追抜競争)です。
予選は、3kmのタイムを競います。
決勝は、ホーム側とバック側に分かれます。どちらかが追い抜いた場合は、その時点でレース終了となります。
追い抜けなかった場合のみ、タイムで勝敗を決します。
高校生では3kmですが、大学生以上では4kmとなります。
インターハイも1989年までは4kmでしたが、1990年から3kmとなっています。
1990年の3kmインディヴィデュアル・パシュートの記録は3分42秒94です。
そして2022年インターハイの記録は3分22秒230(予選タイム)です。
3分20秒697インターハイの記録として最も速いのは、2018年に兒島直樹選手が出した3分20秒697です。
両者のタイム差は約22秒2で、111%速くなっています。
4kmチームパシュートは、4名で競技します。
ホーム側とバック側に分かれて、相手を抜かすことを目標に4kmを走ります。
空気抵抗を減らすために先頭交代するため、チームワークも必要な競技です。
先頭から3人目のタイムを計測するので、途中で1名が離脱できます。
日本記録は3分51秒055です。
ジュニアの日本記録は、2015年にカザフスタンで記録された4分11秒573です。
ナショナルメンバーで挑んだ大会で、メンバーは沢田桂太郎、安川義道、徳田匠、今村駿介です。
近年、ジュニアの4kmチームパシュートはナショナルメンバーで出場する機会がありません。
インターハイは学校別のチームです。
仮に、ナショナルメンバーでチームを組んだ場合は、記録の大幅更新が期待できます。
インターハイで4kmチームパシュートは第1回の1950年から行われています。
タイムは5分53秒0です。
そして2018年インターハイのタイムは4分19秒884です。
両者のタイムを比較すると135%速くなっています。
4kmチームパシュートは距離が長く、先頭交代のテクニックや長距離選手を4人揃える難しさがあります。
インターハイは学校単位で出場するので、選手を4名揃えるのも大変です。
タイムが伸びている理由は、機材の進化や競技人口の増加、トレーニング方法の進化が考えられます。
4kmチームパシュートについてはこちらの記事を参考に
ここからは「陸上競技の記録の上昇率に関する研究」三原大介 を参考にします。
この研究では1980年と2011年の高校生トップ100名の記録を比較しました。
距離 | 1位の上昇率 | 100位の上昇率 |
100m | 2.5% | 3.5% |
200m | 3.3% | 2.8% |
400m | 1.3% | 2.2% |
800m | 1% | 1% |
1500m | 2.8% | 4% |
5000m | 3.1% | 3.7% |
タイムは上昇しているけど、自転車競技ほどではないね
自転車競技は機材の進化と、競技人口の増加によるレベルアップが考えられるよ
陸上は機材の進化の恩恵を受けにくい上に、昔から競技人口も多いものね
インターハイのタイムは、1950年と比較すると全く別物です。
そしてこの進化は、今後も緩やかになるものの続いていくと考えられます。
競技人口の増加やトレーニング方法の進化がタイム上昇率のカギとなりそうです。
ジュニア世代の進化はエリートの進化に直結しますので、今後は世界との差が縮まることが期待されます。