ロードバイクは衝撃が少ないので、体に優しいスポーツです。その反面、ランニングに比べて骨がもろくなると言われることがあります。
ロードバイクは、骨が丈夫になり難いスポーツであることは事実です。
他のスポーツは、骨が丈夫になるものもあります。
しかし、ロードバイクにばかり乗っていると骨がもろくなったり、骨粗しょう症のリスクが高まることはあり得ません。
ロードバイクに乗っても骨が丈夫になり難いですが、もろくなることはありません。
ロードバイクにばかり乗っていると骨がもろくなる、と言われる理由に挙げられるのが、衝撃の少なさです。
シーズンオフは衝撃のあるランニングをして骨を丈夫にした方が良い、と言う人もいます。
ロードバイクだけが、衝撃の少ない運動ではありません。
水泳やウェイトリフティングは、ロードバイクと同様に衝撃がありません。
重量挙げの選手に骨粗しょう症が多いという話は聞きません。
重量挙げの選手は、骨が丈夫そうなイメージがあります。
一方で衝撃を受ける運動である陸上長距離選手は、疲労骨折が多いです。
ロードバイクばかり乗っている人は、衝撃を伴う運動を取り入れる必要があるのでしょうか?
ロードレーサーの骨密度は、他の競技より低いのでしょうか。
人間の体には、大小含めて約200本の骨があります。
骨の役割は、主に次の3つです。
骨の外側は、皮質骨という非常に硬い組織でできています。
中の部分は、海綿骨といってヘチマのような網目構造をしています。
骨は白い棒状のイメージがありますが、実際は違います。
骨は無機質ではなく、生きた組織です。
筋肉と同じように、日々新しく生まれ変わっています。
骨が作られる量より壊される量が上回った状態が、骨密度の低い状態です。
骨密度とは、骨を構成するカルシウムやミネラルがどれくらい詰まっているかという事です。
骨は筋肉のように日々生まれ変わるイメージがありませんが、骨も筋肉同様に日々生まれ変わっています。
骨は絶えず吸収と形成を繰り返し、約10年で全て入れ替わります。
骨の強さは、骨密度によって評価されます。
骨密度の低い人は、骨粗しょう症となります。
骨粗しょう症とは、骨量が少ない状態になることです。
骨の脆弱性が増し、骨折のリスクが高くなります。
骨密度の低下は、疲労骨折を招きます。
骨密度が最も増加するのは、青年期です。
骨密度は、加齢と共に低下していきます。
有酸素運動より無酸素運動の方が、骨密度を上げる効果があります。
速筋の方が機械的刺激が強いためです。
タンパク質不足は、骨密度の低下につながります。
タンパク質についてはこちらの記事を参考に。
骨密度が低いとどうなるか
骨密度が低いと、疲労骨折しやすくなります。
疲労骨折とは、ランニングなどの小さな衝撃が繰り返し加わった結果、微小骨折することです。
通常の骨折は1回の大きな外力で骨が折れるのに対し、疲労骨折は長期間の小さな外力で骨にひびが入る事です。
疲労骨折は完治まで多くの時間がかかります。重症の疲労骨折は完全骨折につながります。スポーツ選手にとって深刻な障害です。
スポーツ選手は、運動することで骨に負荷がかかります。
骨代謝が活発になるため、骨密度が高くなります。
ロードバイクは、他のスポーツに比べて骨量増加が少ない競技です。
下の表は、各種スポーツが骨の健康に及ぼす影響です。
高い骨形成 | 中程度の骨形成 | 低い骨形成 | 骨形成なし |
バスケットボール | ランニング | ウォーキング | 自転車 |
バレーボール | 強度の高いウォーキング | ヨガ | 水泳 |
テニス | 筋トレ | ティラピス | |
縄跳び | 階段上り |
ロードバイクは、心肺機能に大きな効果があります。
骨形成には、影響のないスポーツと言えます。
有酸素能力についてはこちらの記事を参考に
ロードバイクの有酸素能力を最大限に引き上げるZ2トレーニング徹底解説
長距離選手に多いスポーツ障害に、疲労骨折があります。
ランニングは、小さな衝撃が長期間加わります。
過度のランニングは骨密度を低下させ、疲労骨折を招きます。適度なランニングなら疲労骨折しません。
長距離ランナーは、一般の人に比べて骨密度が低い傾向があります。持久系運動は骨の強化には不向きであるとしています。
週に20kmから30kmのランニングであれば骨密度が上がります。それ以上の距離を走ると骨密度は低下します。
リカバリについてはこちらの記事を参考に
【ロードバイク】科学的根拠のないリカバリーライドと効果のある完全休養のどちらをするべきか
水泳選手の骨密度
水泳はロードバイク以上に、衝撃の少ない運動です。
水泳選手は他競技の選手に比べて骨密度が低いことが知られています。
バスケットボールやバレーボールの選手や重量挙げの選手は、衝撃負荷がかかるため骨密度を維持できます。水泳選手は衝撃負荷がないため、骨密度が低い傾向があると言われています。
20名の大学水泳選手を対象に、体格と骨密度の関係を調べました。
水泳選手の平均骨密度は一般的日本人と比較して同程度でした。
平均は同じですが、個人の値は80%を下回る選手もいれば、120%を超える選手もいました。
詳しく調べると、筋量が多い選手ほど骨密度が高い傾向があることが分かりました。
ウェイトトレーニングをすることにより、力学的刺激が加わり、骨密度が上昇します。
もう一つに要因として考えられるのが、高い筋量がもたらす緊張力による骨への牽引刺激です。
強い筋肉により骨が牽引され、骨密度が上昇するという事です。
衝撃の少ない競技でも、ウェイトトレーニングを取り入れることにより骨密度低下を予防できます。
50歳代のウェイトリフティング選手を対象にした調査しました。
ウォーキングなどの運動をしている人と、ウェイトリフティングをしている50歳代で比較しました。
結果はウェイトリフティングをしている人の方が筋断面積が大きく、腰椎骨密度も高いというものでした。
ジュニアウェイトリフティングの選手(17歳)は一般成人よりも骨密度が高いことも分かりました。
有酸素運動をした人と無酸素運動をした人の骨密度を比較した調査があります。
結果は、無酸素運動が骨密度を増加させたのに対して有酸素運動では骨密度に変化はありませんでした。
このことからも、骨密度の増加には機械的刺激が必要であることが分かります。
筋トレについてはこちらの記事を参考に
骨密度は青年期で最も増加し、骨量は30歳から40歳でピークを迎えます。
そして運動習慣のない人は緩やかに骨密度が低下していき、高齢者は骨粗しょう症が増えます。
骨密度を高めるには有酸素運動ではなく無酸素運動が有効です。
機械的刺激が加わるウェイトトレーニングが、骨密度を上げるに有効です。
ロードバイクばかり乗っていると衝撃がないことに加え、有酸素系の種目が多くなるので骨密度が低下する可能性が高いです。
ランニングをして、ある程度の衝撃を加えるのは有効です。
毎日過度に衝撃を加えすぎると、逆効果です。
骨密度を上げる最も有効な方法は、ウェイトトレーニングで機械的刺激を与えることです。ウェイトトレーニングに加えて、ウォーキングや軽いジョギングも効果的です。
カルシウムとビタミンDの摂取は、骨の健康に非常に重要です。
カルシウムとビタミンDが不足すると、骨量が減少します。
骨は、カルシウムの貯蔵と供給の役割があります。
カルシウムの欠乏状態は続くと、骨が弱体化します。
成人のカルシウム推奨摂取量は1000mg/日です。
ロードバイクをしている人が一般の人より多くカルシウムを摂取すべきかどうかは、はっきりしていません。
1500mg/日のカルシウム摂取が、疲労骨折のリスクを軽減させるとする研究もあります。
ビタミンDは、骨の健康な発達に不可欠な栄養です。
ビタミンDは、血中カルシウム濃度を維持する働きがあります。
ビタミンDは、日光を浴びることで皮膚から合成することができます。
食事から摂ることもできます。
ビタミンDは、脂質の多い魚、卵黄、乾燥きのこに多く含まれています。
食事による十分なカルシウムとビタミンDの摂取は、疲労骨折を予防します。
骨を丈夫にするサプリメントが多数販売されています。
カルシウムはビタミンDは、食事から摂ることが基本です。
食事のみでは必要量を摂取できない場合のみ、サプリメントの利用を考えます。
ビタミンDをサプリメントで過剰に摂取しても、中毒を引き起こすことはほぼありません。
非常に高濃度のビタミンDを摂取した場合は、麻痺を引き起こすことがあります。
その他、倦怠感、嘔吐、便秘になることがありますが、非常に稀です。
カルシウムやビタミンDが足りているかを知る方法は、血液検査です。
ビタミンやミネラルについてはこちらの記事を参考に
ロードバイクが速くなるためのビタミン・ミネラルの摂り方とサプリメント活用方法