ZWIFTワーカー

なぜロードバイクは疲れるのか 3種の疲労とその原因



Contents

ロードバイクが疲れる原因

ロードバイクに乗ると疲れます。
ロードバイクに限らず、全ての運動に疲労感があります。

疲労はテクニックである程度避けることができます。

しかし、永遠にロードバイクで走る続けることはできません。

トラックの短距離選手は1分間で疲労困憊します。

ロードバイクに乗れば、疲労は避けられません。

ロードバイク 3種類の疲労

ロードバイクの疲労は、大きく3種類に分かれます。

  1. スプリントなど瞬間的な疲れ
  2. ロングライドなど長時間の疲れ
  3. トレーニング後も数日回復しない疲れ

ロードバイクの疲労は様々です。

短時間高強度と長時間低強度は、それぞれ違う要因で疲れます。

乳酸が疲れの原因ではない

以前は、乳酸の蓄積が疲労の原因と考えられていました。
現在は、乳酸は疲労の原因ではなく、エネルギー源であると考えられています。
人のエネルギー源は、脂肪と糖です。
安静時のエネルギー源は、脂肪:糖の使用比率が2:1です。
ロードバイクなど、強度の高い運動をする時は使用比率が変ります。

脂肪:糖の使用比率が1:2になります。
VO2MAX80%の強度でトレーニングすると、相対的に脂肪の利用は下がります。

脂肪の使用比率は下がりますが、絶対使用量は増加します。

VO2MAXについてはこちらの記事を参考に

ロードバイク  Vo2maxが上がらない5つの要因

脂肪は体内に豊富に蓄えられています。
単位当たりのエネルギー量も多く、優れたエネルギー源です。
しかし、脂肪は水に溶けないため、エネルギーにしにくい物質です。

脂肪についてはこちらの記事を参考に

【ロードバイクと食事】ロードレーサーにとって「良い脂質」「悪い脂質」 脂質を知れば速くなる!
糖は肝臓や筋肉に蓄えられています。
糖の貯蓄量は、肝臓に500㎉、筋肉に1500㎉で限られています。
脂肪に比べると、あまり多くありません。
糖は水に溶け、素早くエネルギーに変えられます。

糖についてはこちらの記事を参考に

【ロードバイクと食事】糖質を使いこなしてロードレースに勝つ方法
ロードバイクをゆっくり漕ぐときは、脂肪が多く使われます。
スプリントやVO2MAX強度など、強度の高いトレーニングをする時は使い勝手のいい糖がエネルギー源になります。
糖はグリコーゲンやグルコースの形で分解されます。

糖を分解するのはミトコンドリアや細胞質です。
糖をミトコンドリアで分解する時は、酸素が必要です。
糖を細胞質で分解する時は、酸素を使いません。
強度の低い運動の時は、ミトコンドリアで多く分解されます。

ミトコンドリアについてはこちらの記事を参考に

【ロードバイク】Vo2maxとミトコンドリアの深い関係
強度の高い運動をすると、ミトコンドリアで分解しきれなかった糖を細胞質で分解します。
グリコーゲンのエネルギーは、乳酸を介して全身に配分されます。

強度の高い運動をすると、酸素を使わない細胞質での分解が増えます。

この時、血中乳酸濃度が上がります。

この事が、乳酸が疲労原因物質だと誤解される要因になりました。

乳酸はエネルギー源であり、疲労原因物質ではありません。

乳酸についてはこちらの記事を参考に

乳酸を知ってロードレースに勝つ方法 LT向上ZWIFTワークアウト

①スプリントなど瞬間的な疲れの原因

トラック選手、競輪選手などは、1分間の全力疾走で疲労困憊します。

ロードレースでも、スプリントは疲労度は高いです。

速筋を使った疲労

速筋には、筋グリコーゲンが豊富に蓄えられています。
スプリントは、速筋を多く使う運動です。
スプリントすると、蓄えられた筋グリコーゲンのエネルギーが乳酸を介して遅筋に運ばれます。
筋グリコーゲンは、筋肉の直接的なエネルギー源です。
枯渇すると、筋収縮に必要なカルシウムの働きが阻害されます。

速筋についてはこちらの記事を参考に

筋タイプを知ってロードレースに勝つ方法 速筋・遅筋を徹底解説   

速筋から遅筋に運ばれた乳酸は、通常なら遅筋で消費されます。

スプリントは遅筋の動員が少ないため、乳酸が消費されません。

その結果、血中乳酸濃度が上昇します。

筋グリコーゲンの枯渇

スプリントなど、短時間高強度のトレーニングをすると筋グリコーゲンが枯渇します。

筋グリコーゲンが枯渇すると、動けなくなります。
筋グリコーゲンが枯渇すると、「疲れた」と感じるようになります。

筋肉が収縮できなくなります。

瞬間的に激しい運動をすると、体は緊急事態だと認識します。

緊急事態を乗り切るために、過剰な量の糖を分解しようとします。

アドレナリンの放出

激しい運動をすると、アドレナリンが放出されます。
アドレナリンは緊急ホルモンです。
糖の分解を促進する働きがあります。
多量の糖分解は長続きしません。
糖分解の結果、多量の乳酸が産生されますが、消費が追いつきません。
スプリントをすると血中乳酸濃度が上昇するのは、産生量より消費量が下回るためです。
血中乳酸濃度は疲労を測る目安になりますが、原因ではありません。
スプリントなど、強度の高い運動は無酸素運動と呼ばれます。
しかし、体内が無酸素になることはあり得ません。
血中乳酸濃度は、酸素があっても糖分解が高まれば上昇します。
血中乳酸濃度が高い=無酸素トレーニングではありません。

本当の意味での無酸素トレーニングは、理論上あり得ません。

血中乳酸濃度についてはこちらの記事を参考に

【ロードバイク】乳酸の出来にくい・溜まりにくい体になれる乳酸閾値上昇トレーニングとは!?

リン酸の過度な産生

激しいスプリントでは、リン酸が多量に産生されます。
リン酸は、筋収縮に必要なカルシウムの働きを阻害します。
リン酸濃度は1分から2分で急激に回復します。

スプリントの時に感じる、焼きつくような痛みの原因になっている可能性があります。

②ロングライドなど長時間の疲れの原因

ロードバイクで感じる疲れの、最も多いものです。

ロングライドや長時間のレースは、誰もが疲労感を感じます。

疲労の原因は様々

ロードバイクに長時間乗った時の疲労の原因は、様々です。
色々な要因が複合的に関係し、疲れます。
ロードバイクに長時間乗っていて疲労感が急激に増すのは、LT以上のトレーニング強度です。
LTは乳酸閾値のことです。
LT以上の強度では、血中乳酸閾値が急上昇します。
LTの強度以上でペダルを漕ぐと、体内で様々なことが起こります。

LTについてはこちらの記事を参考に

冬のロードバイク 低強度・長時間VS高強度・短時間 どちらがベスト?

筋グリコーゲンの枯渇

筋肉には、筋グリコーゲンが蓄えられています。
筋肉の直接的なエネルギー源である筋グリコーゲンがなくなると、筋収縮が阻害されます。
筋グリコーゲンの枯渇が、筋収縮に必要なカルシウムの働きを妨げるためです。
乳酸が産生できなくなり、疲労します。

マラソンの後半は血中乳酸濃度が低下することが知られています。

筋グリコーゲンが枯渇し、乳酸が産生されにくくなるためです。

エネルギー源である乳酸が産生されないと、失速します。

体温の上昇

ロードバイクに乗ると、体温が上昇します。
ほど良い体温の上昇は、良い影響を与えます。
血管が拡張し、酸素反応が高まります。
その結果、エネルギー産生が向上します。
過度な体温の上昇は、悪い影響を与えます。
体温が過度に上昇すると、エネルギー産生に必要な酵素の働きを妨げます。
多量に発汗することにより、血液が濃縮されます。
血液が濃縮されると、酸素運搬能力が低下します。

暑さについてはこちらの記事を参考に

真夏のロードレースで勝つために 暑熱順化を徹底解説

交感神経の活性化

ロードバイクに乗ると、交感神経が活性化されます。
交感神経が活性化されると、アドレナリンが放出されます。
アドレナリンが放出されると、糖の分解が促進され疲労感を感じます。
アドレナリンは精神的な疲労の原因にもなります。

適度な交感神経の活性化は、疲労を軽減させます。

脱水

ロードバイクに長時間乗ると、脱水になります。

適切な水分補給をしていれば、ある程度防ぐことができます。

脱水により、血漿量が減少します。

その結果、血液が濃縮されます。

酸素を運搬するのは血液です。

血液が濃縮されると、酸素運搬能力が低下します。

筋収縮が阻害され、疲労の原因となります。

③トレーニング後も数日回復しない疲れ

数日間続けてロードバイクに乗ったり、レースが続いたりすると、疲労が蓄積します。

トレーニング後も続く疲労は、スプリントで感じる疲れとは別です。

トレーニング後の疲れは、筋肉の破壊と修復の過程で起こります。

トレーニングで起こる筋肉の破壊

ロードバイクに乗ると、筋肉が破壊されます。
ハードなトレーニングをした場合は、筋肉痛になります。
疲労の原因である筋グリコーゲンの枯渇は、数時間で元に戻ります。
血中乳酸濃度も数時間で元に戻ります。

しかし、疲労感は残ります。
ハードなトレーニングが数日続いたときの疲れに血中乳酸濃度は関係していません。

疲労は筋修復の過程で起こる

筋肉痛は、筋修復の過程で起こります。
トレーニング直後は痛みを感じません。
トレーニングが終わって、半日から数日後に痛みのピークを迎えます。
筋肉痛の原因は諸説あり、はっきりと分かっていません。

筋肉痛についてはこちらの記事を参考に

ロードバイクの筋肉痛 治る前にトレーニング再開してもOK?
筋肉痛が続く期間は、疲労を感じます。
数日続く疲労は、筋肉の修復の過程で起こると考えられています。

回復についてはこちらの記事を参考に

ロードバイクのリカバリー戦略 回復食のタイミング・量・注意点

日常生活の疲れ

日常生活で起きる疲労は、ロードバイクとは別種の疲労です。
トレーニング以外で緊張する場面が多いと、疲労感を感じます。
デスクワークも疲労の原因となります。
脳の唯一のエネルギー源は糖です。
トレーニングを行わない日でも、脳は糖を消費します。
グリコーゲン量の維持は、疲労をコントロールする上で非常に重要です。

日頃の食生活や睡眠に気を付けることは、疲労の軽減に非常に有効です。

疲労≠悪

ロードバイクに乗ると疲れますが、疲れるためにロードバイクに乗るとも言えます。

疲労は不快感だけではありません。

心地よい疲労もあります。

ロードバイクで感じる心地よさ

ロードバイクに乗ると疲れますが、同時に心地よさも感じます。
ロードバイクに乗ると、心拍数が上昇し、血液循環が促進されます。
代謝が高まり、体温が上昇します。
交感神経が高まり、アドレナリンが放出されます。
アドレナリンの放出は、ベータエンドルフィンを産生させます。

ベータエンドルフィンが産生されると、脳が心地よく感じます。
体は疲労しますが、精神面でリフレッシュできます。

疲れは体からの信号

疲れは体からの信号です。
過度な疲労感は、体の適応範囲を超えているとの信号です。
疲労感がなければ、体はオーバーヒートして危険な状態になってしまいます。
疲労感は、体を守るために必要不可欠です。
トレーニングが続き、疲労が回復しない時は休息を優先させます。
体からの信号を無視し続けると、オーバートレーニングを招きます。
交感神経の活性化が続き、不眠、倦怠感、食欲不振の症状が出現します。
日常生活での精神的ストレスも、オーバートレーニングの要因になります。
休むこともトレーニングの一環です。

オーバートレーニングについてはこちらの記事を参考に

ロードバイクのオーバートレーニング 9つの原因と予防方法

 

 

 

Follow me!

モバイルバージョンを終了